クレイジーハットは盗まない (ガガガ文庫 か 10-1)
刊行時は『クレイジーハットは盗まない』。人形を盗む怪盗シャルルが、身に覚えのない予告状をきっかけに島の秘密へ踏み込むアクションファンタジー。
作品情報
人形専門の怪盗が、偽の予告状から魔女の島の謎へ引き寄せられます。
受賞時タイトルは『Magicians Mysterion -血みどろ帽子は傀儡と踊る-』。刊行時には著者名も神無月セツナ、タイトルも『クレイジーハットは盗まない』としてガガガ文庫から出た。
レビュー要約
-
怪盗ものらしい華やかさと、ライトノベルらしいキャラクター配置が読まれている。王道感を楽しむ声と、展開の軽さを指摘する声がある。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2014-07-18
- ページ数
- 325ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784094514964
- ISBN-10
- 4094514961
- 価格
- 1 JPY
- カテゴリ
- 本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル
「私の恋人を、いただきに参上する!」 主人公・シャルル=クロウリーは過去のある出来事から“ヴィスク”と呼ばれる人形を盗む怪盗となり、それらを所有する貴族たちから次々と人形を盗んでいた。そんなある日、シャルルは自分が出した覚えのない予告状がリオネ・ダユーという島に届いていることを知る。従者でありパートナーの少女・アンティークを伴って、その島に向かう途中、彼らを逮捕しようと追う騎士警察の一員で幼なじみのポシェットと遭遇。逮捕されそうになるも、なんとか彼女を説得し、無事に入島を果たす。 そこでシャルルたちは、この島を支配している“100年を生きる魔女”と言われる統治者・メイル=ゴーティエとその娘であるメイツェルと出会う。不老不死と呼ばれるゴーティエの秘密を知ることができれば、自分とアンティークの目的を果たすことができるかもしれないと考えたシャルルは翌日、彼女たちが住む大聖堂へと乗り込むが、そこで彼は家から脱出しようとしているメイツェルを発見し、助け出す。そこでシャルルはメイツェルからこの事件の真実、そして自分たちが目指すものの存在を知る――。 第8回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞のアクションファンタジーが開演!
レビュー
-
キャラの造形、ストーリーの構築ともに一本調子過ぎてお話にならない
第8回小学館ライトノベル大賞「優秀賞」受賞作品 物語は主人公の怪盗・シャルル・クロウリーがさる貴族の館から「ヴィスク」と呼ばれる人形を盗み出す場面から始まる。魔力の塊である花飾りで 人間の様に動くヴィスクは貴族の愛玩用であったり、護衛用であったりと様々な用途に用いられていたが、怪盗シャルルは相方のヴィスクである アンティークとともにヴィスクを貴族たちから解放して回っていた。そんなある日、シャルルは新聞紙上に自分が出した覚えのない予告状が届いた ニュースを目にする。閉鎖的な事で知られるリオネ・ダユーという海の上に浮かぶその町は100年を生きる魔女に支配されていると言うが… 呆れるほどにストーリーも登場人物の言動もメリハリという物を欠いた一本調子な作品だったというのが第一印象。タイトルから始めはミステリという 印象を抱き、紹介文からはアクション物という事が窺い知れるが、読んでみたら終始ダラダラとしたエロコメであった エロコメというジャンルその物を否定するわけではないが、主人公がパートナーのアンティークとリオネ・ダユーに乗り込む列車での客室内の場面から 幼馴染で騎士警察のポシェットとの遭遇、リオネ・ダユー最大の秘密であった歌姫・メイツェルとの出会い、女性キャラが出ている場面が ほとんど主人公のセクハラまがいの言動(というか実際に胸を揉みまくったりスカートを捲って下着を見たりしているのだから痴漢に近いのだが)で 埋め尽くされており本来シリアスになるべき主人公が怪盗になった動機の告白の場面やメイツェル奪還のクライマックスシーンまでエロコメ調が 変わらないので話の雰囲気自体がおそろしくノッペリとしている。要するに濃い味の料理を延々と食ってるのと同じで途中で飽きてしまうのである 基本の雰囲気がコメディでもシリアスでもどこかで雰囲気を変えて読者に「口直し」をさせて飽きがこない様にするのは話作りの基本中の基本だと思うんだが この作者はどうにもその辺りを全く気にしないらしく、やたらとテンションが高いエロ漢みたいな主人公を大騒ぎさせるばかりで読んでいる方は途中で そのノリに付いていくのが難しくなるのである。しかも文中にやたらと「!」を多用するので芸人が舞台上でひたすらバカ騒ぎをするのを見ている様な 白けた雰囲気まで漂ってくる。「!」は読者の頭の中に生じさせる物であって、文中に多用すれば話が盛り上がるという物ではないと思うんだが… 伏線の使い方もまるっきりなってない。作中にユージーンという医術系魔法使いが出てきて先行して出てきた狼型の魔獣を使役していた事を明かすのだけど 事前にそれらしい伏線を張っていれば「ああ、そういう繋がりがあったのか」と読んでいる側にも驚きが生じるのだろうけど伏線らしい伏線がまるっきりないので 新事実を明かされても読んでいる側としては「あ、そうですか」以上の感想が出てこない。作中で明かされる事実がほぼ伏線無しなので終始「あ、そーですか」となる その一方で主人公とアンティークが一心同体の存在という事は見え見えなのに主人公の過去を告白する場面で「驚愕の新事実!」みたいに明かされても 「いや、それは分かってるし」としか返しようが無いのである キャラクターの方も数はやたらと多いのだがストーリーの進行上ほとんど活用されていない。主人公自体が単独行動ばかりしている上に謎の方も 一人で明かしてしまうので周りのキャラは空騒ぎばかりしているようにしか見えない。特にヒロイン勢はパートナーのアンティークにしても幼馴染の ポシェットにしても、囚われの歌姫であるメイツェルにしても最初から主人公に対して好意100%な上に大して独自の行動を取る訳でもないので お色気要員以上の印象が残らなかった。特にポシェットに至っては警官な癖に着込んでいる制服がミニスカートであるという時点で最初からお色気しか 見せ場が無い事が見え見えであざといという印象しか残らない。そもそも主人公のシャルル自体も大して物を考える訳でもなくご都合主義みたいな便利魔法で あれこれ解決してしまうのでエロ魔というイメージを覆すには至っていない。 メイツェルとシャルルのやり取りはあからさまに「カリオストロの城」のルパンとクラリスそのまんまで唖然とさせられる。もう少し工夫できなかったのか、これは? 話も一本調子な上に、キャラクターが揃いもそろって空騒ぎしか見せてくれない事でおよそ単純なエロコメという印象以外の印象が残らなかった 読者をまったく意識せずに自分が書きたい物を書き連ねるだけなら商業出版で書く意味は無いと思うんだが…
-
美少女をしっかりと書ける期待の新人
本年度ガガガ文庫新人賞はどれもいい作品ですね。 主人公含め、それぞれのキャラクターにきっちりと見せ場や魅力をアピールできています。美少女が特に可愛らしくかけており、適度なエロも入れることできっちりとしたサービスシーンが在り、読んでいてしっかりとキャラクターを好きになってもらうことを意識した作品であると感じました。 魔術設定や舞台設定もきっちりとオリジナリティが有り、時計の使い方などは絵的にもイメージしやすく良かったと思います。バトルに関しても、その勢いがしっかりと出ており臨場感のあるものになっていました。一方で、全体的な俯瞰描写などでわかりにくい場所は散見したものの、やはりきっちりとした美少女の可愛らしさが出ている作品はほんとうに良いと思います。ガガガ文庫優秀賞ここにあり、という感じでした。