日本の文学賞

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スチームヘヴン・フリークス (ガガガ文庫 い 7-1)

小学館ライトノベル大賞 ガガガ文庫部門

スチームヘヴン・フリークス (ガガガ文庫 い 7-1)

伊崎喬助

刊行時は『スチームヘヴン・フリークス』。蒸気と神秘が発展させたアメリカの街ビザーバーグを舞台に、怪人たちが暴れ回るスチームパンク風ライトノベル。

スチームパンクアメリカ怪人都市冒険

作品情報

蒸気と霧の街で、怪人たちの騒動がアメリカンな疾走感で広がります。

受賞時タイトルは『LC1961』。ガガガ文庫刊行時に『スチームヘヴン・フリークス』へ改題され、蒸気と神秘で発展した街を舞台にした物語として刊行された。

レビュー要約

  • 世界設定と構成力の強さが評価される一方、キャラクター面の好みは分かれる。独自の都市描写が作品の核になっている。

書籍情報

出版社
小学館
発売日
2014-07-18
ページ数
339ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784094514988
ISBN-10
4094514988
価格
30 JPY
カテゴリ
本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル

そこは、蒸機と神秘、怪人の街。 時は1961年、アメリカ。 正体不明の霧・ミアズマによって発展した街ビザーバーグは、蒸気天国の異名をもつ世界有数の工業都市である。そこでは、ミアズマを重蒸気に変換し動力源としたクラフト技術が発達し、ミアズマの影響で超能力に目覚めた新人類《ミスティック》や、体細胞の変質を遂げたクリーチャーなどが跳梁する“何でもあり”の街として名を馳せていた。 ビザーバーグで何でも屋を営むスチームシーカーコンビ、《奇術師》ニコラスと《真鍮男》ザジは、あるとき怪しげな探偵の依頼を受ける。それは、かつて世界を闇に陥れた悪の秘密結社《ディスコルディア・リーグ》に関わる、とある男を保護することだった。だが、男の確保に乗り出したとたん、ディスコルディアの遺産を狙うマフィア、世間を賑わすクラフト犯罪者とぶつかり合うことに。さらにはビザーバーグ市警や、この街を守る正義の少女ミスティック・チーム、《トライデント》まで動き出し――!? いま“夢の街”を舞台に、盛大で壮大なバカ騒ぎが幕を開ける! 第8回小学館ライトノベル新人賞にて“優秀賞”を受賞、怪人跋扈のスチームヘヴン・ファンタジー!!

レビュー

  • 上質の娯楽作品

    辻真先さんが、ツイッターで「良作である」と、呟いてらしたので購入。 というか、それがなかったら完全にスルーしていましたごめんなさいorz ラノベはどうしてもチェックが後手後手に回りがちで……。 閑話休題。 結論から言ってしまえば、魅力的な舞台仕立てにガジェットが登場しまくりの、スピード感あふれる愉しい蒸気の世界の物語だった。 奇抜な設定だけでなく、冒頭から最初の事件に至るまでの流れ、というか文章力も本当に秀逸で、ここはぜひに現物を読んでいただきたい所存。 (いやだって、迂闊に触れたらつまんなくなってしまうし) 特に難解な用語も言い回しもなくさらっと読めるのも、個人的にはポイントが高い。正直最初は「ラノベでスチパン?!」とも思ったけれど、これがきっかけで剣と魔法を超えた次、「蒸気と歯車の世界」に興味を持ってくれる人が増えるといいなあ、と切実に思う。 昨今、アクセサリーや革製品などのデザイナーさんたちの間で「スチームパンク」がちらほらと取り上げられ、定期的にイベントなども開かれるようになっていることだし。 ただ、世界が濃密でこってりしている分、主人公とヒロインの性格づけが薄味かなあ……と思わないでもなかった。今後の展開に期待したい。

  • ジェットコースターの様な視点の高速ザッピングが痛快な群像劇型ハードボイルドストーリー

    第8回小学館ライトノベル新人賞「優秀賞」受賞作品 物語の舞台は1961年、アメリカ合衆国はペンシルバニア州の工業都市ビザ―バーグ 20年前の海軍の実験以来生じたミアズマという不思議なエーテルがエネルギーとして 活用されミアズマを動力として用いた「クラフト」と称される蒸気式の機械が発達し、 街の至る所で用いられている。三つのレンズが付いたゴーグルで顔の半分を覆った 「奇術師」ニコラス・ハルトゼーカーと相方で巨大なスチームアーマーを着込んだザジは ビザ―バーグの何でも屋・スチームシーカー「バスカーズ」を営んでいた。そんな彼らの 元にエリオット・サンダースという探偵がマッドサイエンティスト集団「ディスコルディア・リーグ」の 遺産の在りかを知っている男の居場所を探す為の協力を依頼してくるが… 街の何でも屋コンビと街の英雄である超能力者集団、警察の凸凹コンビに如何わしい探偵、 マフィアの荒くれ者や奇怪な犯罪者、妖艶なムードを放つシスターから果てはマッドサイエンティスト までありとあらゆる胡散臭い連中が縦横無尽に駆け巡るジェットコースターの様に スピーディーでありながら恐ろしく密度が高い群像劇型冒険活劇。「これぞエンターテイメントの本道!」と 唸らされた本作の特徴を表すならこんな所かと 特に十数ページ、短い時は数ページ、アクションが多めの場面になると場合によっては 数行ごとに語り手の視点がザッピングの様に切り替わり、一つのシチュエーションを映画撮影の カメラがあらゆる角度から追う様に描きだしてジェットコースターの様に大胆に読者の 視点を振り回す特徴的な文体が印象に残った。上にも書いた様に本作は一冊のライトノベル としては例外的なぐらいに登場人物の数が多いのだけれどもその一人一人の個性を殺す事なく 無駄キャラを出さずに群像劇として描き切る為にはこのザッピング型の文体以外にはあり得ない 下手な作家がやると読者が語り手の切り替えに付いてこれずに置いてきぼりになるのだが、 少なくともその場面の語り手を見失うという事が無かった事を考えれば新人作家としては 破格の文章テクニックと思われる しかもスピード感だけに頼るのではなく、文章のそこかしこにニヤリとさせられる 仕掛けが散りばめられている。冒頭は一人の女性がチンピラに絡まれている所を 通りがかった男に助け出される場面から始まるのだが、読者に一度は「ああ、この男が主人公か」 と思わせておいて第一章を丸々使った大どんでん返しを仕掛けてくる掴みの巧さから只者では無い センスを感じさせる。スチームパンクらしく実在の科学者や発明家の名前を出してきたり、 ミアズマ発生原因に「フィラデルフィア計画」を用いたりとSFやオカルト・都市伝説の 要素を惜しげもなくブチ込み果ては「いいねえ、西部劇は大好きだ。子供が不思議な力で 大人をぶちのめしたりしないからな」とライトノベルの現状をディスる様な何気にメタな 台詞を挟んできたりとあの手この手で読者を楽しませようという作者のサービス精神の 豊富さが窺えた ライトノベルの現状に挑戦的なのは台詞回しだけではなく、物語を通して常に感じられた ハードボイルドな雰囲気にも見受けられる。60年代のアメリカを舞台にした辺りからも 分かる様に雰囲気は徹底して良い意味でバタ臭い。体を張っての活劇を演じながらも常に 余裕を失わず洒落とパンチの利いた台詞を繰り出す主人公ニコラスを始め、腹に一物 ありそうな探偵のエリオット、蒸気機関関連専門の警官コンビデイナとレイが大人の筋の 通し方を見せてくれる辺りは少年少女にやたらと都合が良い昨今のライトノベルでは中々 味わえない雰囲気を漂わせていた 物語の方も長年お互いを探し続けていた一組の男女の一つの愛に終わりを迎えさせながら、 そこに「失うことにも意味と救いはあるのだ」というビターながらも深い物を感じさせる 大人の哲学を貫き通してみせる辺りはウェットさを微塵も感じさせないハードボイルドに 徹する姿勢を感じさせ「ライトノベルでもハードボイルドは可能なのだ」という意欲的な ものを見せてくれた ザッピング的な文章で膨大な登場人物をビシバシと動き回らせ、エンターテイナーとしての 姿勢を終始貫き、何より近年のライトノベルでは珍しい徹底したハードボイルド主義を 押し通した見事なまでに型破りな新人賞受賞作品。これこそエンターテイメントである

  • 珍しいスチームパンクライトノベル

    面白いです! スチームパンクといえば変な機械ですが、魔法も登場します。主人公は軽口もたたきますがほどよいハードボイルドで、相棒は無口だけど頼れる奴。これらにピンとくる方はきっと楽しめると思います。 スチームパンクという余り主流ではないジャンルを扱った作品ですが、別段分かりづらいという印象はなく、かと言って読み応えがないということもない、個人的には絶妙な内容でした。 最近の「とりあえず女の子が出てウハウハ」的なライトノベルはちょっと…という人に読んで貰いたいです。きっと楽しめるはず!

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