飽くなき欲の秘蹟(サクラメント) (ガガガ文庫)
受賞時題名の作品で、刊行時には異能を扱う商会をめぐる物語として展開された。
作品情報
秘蹟商会は、受賞記録と書誌確認から輪郭を整理できる小山恭平の作品である。
秘蹟商会は、小山恭平による作品で、異能取引を中心に読める。受賞作としての記録を起点に、単行本化または刊行情報が確認できる場合はその書誌識別子を採用し、確認できない場合は雑誌号や別資料の番号を流用せずに整理した。
レビュー要約
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反応は作品の題材と語り口に向けられている。設定や問題意識を評価する読みがある一方、公開情報が限られる作品では書誌的な確認を優先して慎重に整理した。
書籍情報
- 出版社
- 小学館
- 発売日
- 2015-07-17
- ページ数
- 294ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784094515596
- ISBN-10
- 4094515593
- 価格
- 1 JPY
- カテゴリ
- 本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル
もしかしてお姉さん、異能持ちですか? 僕――世杉見識は目を放すとすぐサボる、意識の低いアルバイトである。自慢することではない。 バイト開始当初は、「能転売業なんてうさんくさ過ぎる、すぐに逃げよう」なんて思っていたけど、異能関係者は変わっている人が多くて、ちょっと楽しいと感じている。 異能というのは――超能力とか秘蹟とか、そんな呼ばれ方をする、とにかく不思議な力のことだ。それは人の願いと共に現れ、いつのまにか消えていく、一時の奇跡である。 そう稀少なものでもないが、誰もが自由に手にできるわけではない。 だから、持たない者は皆こう言う――自分も欲しい。 欲しいと思う人がいるのなら、そこにビジネスチャンスは生まれる。 異能を売りたい人と、異能が欲しい人を結ぶお仕事――異能転売業はこうして成立した。 僕の働く秘蹟商会もそんな異能転売業社の一つである。 店舗は埼玉の片隅にある古い建物。働いているのは店長とアルバイトの僕二人だけ。まだまだ規模は小さいが、明日の成功を夢見て僕らは日夜奮闘している。 「さてと・・・・・・ ポンコツかわいい店長のために、異能力保有者を捜しに行きますか」 第6回小学館ライトノベル大賞審査員賞受賞作。
レビュー
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設定だけはかなり良かった
異能転売業という面白そうな設定に惹かれた。けど、全然異能がでてこない。 主人公は異能を買い取るために異能保持者に近づくのだが、その交渉法がダメ。せっかくの面白い設定なのだから、色々な異能を駆使して問題を解決して欲しかった。主人公はインターネットを使ったり、勉強したり、などなど全然異能を使わずに問題に取り組む。そしてそのやり方が稚拙でつまらない。 ここまで面白い設定をここまでつまらない物語に昇華するとは逆に驚いた。
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「異能もの」としては派手さに欠けるが作者のダークな人間観がなかなか面白い
第6回小学館ライトノベル大賞〈審査員賞〉受賞作 物語は主人公の高校生・世杉見識がバイト先である異能が欲しい人と異能を売りたい人を結び付ける事を商売にしている 異能転売業者「秘蹟商会」の店長のゆおさんに代わって売り物になりそうな異能の持ち主を探している場面から始まる 強い願いを持つ人に宿る異能と違い、一年前のひき逃げ事故で頭部を怪我した結果「欲」というものが失われた見識は ゆおさんの父親から与えられた人間の様々な欲の強さを自由に調整できる杖で「異能に対する欲求」を強化し駅前を行き交う人々を観察するが、 なかなか売り物になりそうな強い異能を持つ人間は見当たらない。異能を探し始めて三日目、町での探索がうまく行かない見識は いい加減うんざりしかけていたが、高校でぼんやり外を眺めると校庭の中央で走り高跳びの練習をしていた一人の女子生徒が 強い異能を纏っている事に気付く。女子生徒の体が掠った様に見えたバーは落下する事無く、その振動を止めた「振動を止める異能」であれば 買い手が付きそうだと判断した見識は件の女子生徒、一二三英惟花を喫茶店に呼び出し、異能を売るつもりが無いか交渉を始めるが、 英惟花は今は売れないと拒否。理由を尋ねる見識に絶対に負けられないライバルが陸上部内にいると答える英惟花 見識たちを喫茶店の窓の外から見張る一人の少女・風利がそのライバルと言う英惟花と一旦別れる事にした見識だったが、 別れ際に英惟花の手が走り高跳びでは出来る筈の無いマメだらけである事に気付き疑問を抱く… 世界観の特徴として、異能者はその力の強弱を別にすれば割と身近にいるという点が目を引く。公式の紹介文を読んだ限りでは 異能をビジネスの材料にするという点を売り物にした異能物の一種だという感触だったのだけど、意外な事に「異能」そのものは 余り表に出てこない作品だった。一応、異能は出てくるのだけど、重視されるのは「異能を使って何をするか」ではなく 欲望・欲求が強い人間に「異能」が宿るという作品世界の設定を前提に、「異能を産み出すほどの強い感情を異能者が どんな経緯で抱くに至ったのか」、という登場人物の過去を掘り起こす事で、それぞれの人物のキャラクターを掘り下げていくタイプの物語 話の方は二つの中編から構成されている 前半は冒頭に書いた二人の女子陸上部員、性格は良さそうなのに周りの女子部員からハブられている英惟花と猪突猛進的な性格で 英惟花のガーディアンみたいな態度を取る風利の小学生の頃から八年間に渡って続いて来た共依存的な関係と、 それぞれの実家の商売が関係した英惟花の父親の死、どんくさかった風利の成長と、その成長を素直に認められない英惟花の焦りから来る アンビバレンツな感情が少しずつ掘り起こされ二人の関係が変化していく様が描かれている 後半は秘蹟商会に新しいバイトとして雇われた見識の一学年下の女子高生、漆一色が異能の買い取りに出掛けた 富裕な医者の孫・公一と出会い、離婚で家を出ていった母親からの手紙を自由に読ませて貰えない幼い少年を何とか助けてやろうと 過剰に肩入れする背景を一色自身の母親への「愛情」と、熱心な平和活動家だった母親との関係から発生した闇の部分が 明かされていく過程が描かれている 異能はまったく絡んで来ない訳ではないのだけど、あくまで描かれるのは共依存や子供からの愛情を当たり前のように搾取する 「毒親」といった人間関係の闇の部分で作者のダークな人間観がかなり強く反映されている様に思われる。特に調査役の見識と 安楽椅子探偵的なポジションのゆおさんがヒロインたちの抱える闇を明かす部分には野村美月の「文学少女」っぽい物を感じた そういった意味で非常にガガガ文庫らしいというか尖った作品であり、決して万人向きでは無いが、逆に「濃い人間関係の描写」を求める ディープな読者には楽しめる作品ではないかと 特に終盤で明かされる見識やゆおさんの過去も含めて、親と子の関係と言う部分に関しては作者がかなり拘っていると感じられた 逆に言えば、その人間関係を描く事に拘り過ぎて、異能関係の部分はいささか粗く感じられたのも事実。特に見識の交通事故に伴って生まれた 「無欲人間」という設定や、その見識に欲望を湧かせるアイテムである杖の設定はどうにもこなれておらず、この設定が出てくる度に ひっかかりを感じてしまった事は否定できない。またサブキャラであるヒロインたちを描くのに尺を使い過ぎて主人公の見識や ゆおさんの描写が少ないのも気になった 人物描写を中心に非常にクセの強い作品であり、また各登場人物の描写のバランスといった部分にもまだまだ荒削りの部分を感じるが、 探偵役の主役二人が脇役の抱える人間関係の闇を解き明かしていく部分には独特の魅力が感じられた。磨けば光るタイプの 作家さんだと思われるので、もうちょっと見続けたいと感じた一冊
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店主がかわいい
とても読みやすく、一気に読んでしまいました。読みやすいというのは語りと描写のバランスが良く、またキャラが立っていてその行動に矛盾がないというのが条件ではないかと思うので、その辺りが上手いなと感じました。 また、店主のキャラがあざと可愛い。見識くんだけでなく読者の心をつかむキャラですね。 ただ、敵キャラの小物さは気になりました。そこまでされるほど悪いことした? となってしまったのは少し引っかかるところです。 全体的にはとても良かったので、次の作品が楽しみです。
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