作品情報
足のはえる果実や人を食う植物が、変異した世界の不気味な生命感を立ち上げる。
『メタモルフォセス群島』は、表題作のほか「毟りあい」「五郎八航空」「定年食」などを収める短編集。日常の論理を少しずらしたところから、身体、社会、家族、老いの不安が奇妙な笑いを伴って噴き出す。
レビュー要約
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幻想性と不気味さを強く残す作品群として読まれている。表題作の生物描写は鮮烈で、笑いと恐怖が同時に立ち上がる点が支持される。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 1981-05-01
- ページ数
- 291ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784101171128
- ISBN-10
- 4101171122
- 価格
- 110 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
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レビュー
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まさに筒井康隆の世界
読みやすく,それでいて筒井康隆の世界が堪能できる. 筒井康隆入門に
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短編集
入りやすい短編集です。1話目から、これか!という感じですが、この著者が好きならさくっと楽しめると思います。
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この本を手に取ろうと思ったのは
著者自身のツイッターでの呟きでした。韓国で映画化の話を持ちかけられたとかで、あの半島の国民は一体どうたらこうたら書いてあって、 実際読んでみると彼の他の著作の例に漏れず激烈なものでした。面白いとか笑えるというのはそうだけど、それ以外の意図はあるのかな?なんて思って眺めます。
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合法的読書ドラッグといって良い
筒井康隆で最初に読んだのがこの作品。 高校2年生の夏、駅ホームにあるKIOSKで購入。 電車に揺られながらページをめくったが、その描写力は映像が見えるような薄気味悪さとリアリティが強烈だった。 「毟りあい」は狂人への入り口、「走る取的」は得体の知れない恐怖、「メタモルフォセス群島」の絶望感は特に秀逸で、私の中で筒井康隆最高傑作になっている。 これ以降何十冊と筒井を読み続けているが、未だに日本でこの人を超えるエンタテイメント作家は現れていないように思う。 筒井康隆を読んだ事が無いという人がいたら、一番に読んでほしい作品。 読後にたちまち禁断症状と中毒症状が出現、次々と読まずにはいられず決して抜け出せなくなる。 合法的読書ドラッグといって良いだろう。 ★の数が5つではとても足りないほどだ。
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時代を超えても切り口の鋭さは衰えず。
野田秀樹の「THE BEE」の原作を読むために購入しました。1992年に読んだ「朝のガスパール」以来のツツイでしたが、35年も経っているにも拘らず、全く色あせていないのに驚かされました。却って今のやわい作家よりも突抜けていて、また、コントのような落ちも意識されていて、怖さとユーモアが一体になっておりました。さらにツツイを読み進めようという気になる1冊でした。
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典型的な筒井ワールドなんだけど
日常から狂気に一気になだれこむスラップスティックな短編コメディーが並ぶ。各文にいちいちギャグを絡めて積極的に笑いを取りにいく関西人根性、小説というより演劇のような饒舌な台詞まわしなど、典型的筒井ワールドが展開された一冊で、入門編としては最適だと思う。 ただ、僕が筒井康隆という作家を認める理由は、「小説」という表現形式に自己言及したり、いわゆる「小説」の型を壊しにかかるようなモダニストとしての資質にある。(例えば、殆ど漫画のようなコマ割りを採用した「上下左右」のような作品を思い出してほしい。)漫画で喩えるなら赤塚不二男のような仕事をやった人でもあるので、そういうモダニスト的側面が味わえる作品を欠いている点で、この一冊に関しては相対評価で「並」の評価をしました。 オススメは専門家も認めた植物学の知識に裏打ちされた表題作、SFでいう「パラレル・ワールド」を兵庫県に実在する駅前で文字通り展開させてみた「並行世界」あたりですかね。
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恐怖を感じる
短編集がいくつか入っています その幾つかは読んでいる途中で眉間にしわが寄りました。 つまらなかったからではありません。描かれている人間に恐怖したからです。 ありえない。 と頭の中で思いつつ。胸の奥底でありえるかもしれないと思ってしまう そうなったらどうしようと、半ば強迫観念のような気持ちに圧迫される。 そうなったら嫌だなと思いながら恐る恐るページを捲る。 けれど予想していた中で最悪の結果がそこにある。 なぜこのような作品が書けるのか すごいとして言いようがありません
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突然変異的傑作短編集
作者の初期の短編集。「宇宙衛星博覧会」では人間の体をテーマにしていたが、本作ではまとまったテーマはないようである。しかし、秀作が多い。 収録作品は以下の通り。「毟りあい」、「五郎八航空」、「走る取的」、「喪失の日」、「定年食」、「並行世界」、「母親探し」、「老境のターザン」、「こちら一の谷」、「特別室」、「メタモルフォセス群島」。 「毟りあい」は妻子を脱獄囚に人質に取られた主人公が、脱獄囚の家で脅迫合戦を行ない、それがエスカレートしていくという作者得意のパターン。「五郎八航空」は主人公が農家のオバさん(勿論無免許)が操縦する飛行機に乗る体験を描いたナンセンス・ギャグの傑作で、ファンの間でも人気が高い。「走る取的」は酒場で幕下力士と目を合わせたばかりに、その力士に追われるサラリーマンの姿を描いたもの。無言で追ってくる力士の姿は異様な程の迫力があり、途中で何かのオチがあるのではという予想は裏切られ、そのまま結末に至る悪夢談。これも、当時話題になった。「平行世界」は超常現象によって、同一の世界が上下に段々と重なる世界を描いたもの。自分自身を観察する時の嫌悪感が良く出ている。「こちら一の谷」は「ヤマザキ」と構想が近いが、義経の馬駆下りを史料、実際の地形との比較からオチョクッたもの。タイトル作の「メタモルフォセス群島」は意外や正統的なSFで、放射能の影響であらゆる生物が突然変異した島々での不気味な世界を描いたもの。 最近は書店へ行って筒井の棚を見ても、「自選ホラー傑作集」、「自選ドタバタ傑作集」といった本ばかり並んでいる(後は「富豪刑事」だ)。こうした、初期の短編集を棚に積んでいて欲しいと思うのは私だけだろうか。
関連する文学賞
- 星雲賞 第8回(1977年) ・受賞