自壊する帝国 (新潮文庫)
『自壊する帝国』は佐藤優による2007年回の受賞作です。人物や社会、記憶との向き合い方を軸に、受賞作として評価された主題を読者に伝える作品です。
作品情報
自壊する帝国は、佐藤優の筆致で人の選択と時間の重みを描く受賞作です。
『自壊する帝国』は、佐藤優の受賞作として知られる作品です。NDL OPAC または出版社ページで単行本・文庫の ISBN を確認し、日本の紙書籍は ASIN と ISBN-10 を同値として補完した。 作品ページでは、確認できた刊行状況と、賞の記録からたどれる作品の位置づけをもとに紹介します。
レビュー要約
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読者からは、題材への距離の取り方と落ち着いた語り口が評価されている。派手な展開よりも、人物の内面や背景を追う読み方に向いた作品として受け止められている。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2008-10-28
- ページ数
- 603ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-13
- 9784101331720
- ISBN-10
- 4101331723
- 価格
- 1045 JPY
- カテゴリ
- 本/社会・政治/外交・国際関係/エリアスタディ/ロシア・ソビエト連邦
ロシア大復活は予見されていた。 大宅賞・新潮ドキュメント賞ダブル受賞。最新情勢116枚大幅加筆! ソ連邦末期、世界最大の版図を誇った巨大帝国は、空虚な迷宮と化していた。そしてゴルバチョフの「改革」は急速に国家を「自壊」へと導いていた。ソ連邦消滅という歴史のおおきな渦に身を投じた若き外交官は、そこで何を目撃したのか。大宅賞、新潮ドキュメント賞受賞の衝撃作に、一転大復活を遂げつつある新ロシアの真意と野望を炙り出す大部の新論考を加えた決定版! 解説・恩田陸 目次 序章 「改革」と「自壊」 第一章 インテリジェンス・マスター 見習外交官/イギリス陸軍語学学校/亡命チェコ人の古本屋/旅立ち 第二章 サーシャとの出会い モスクワ、雀が丘/GRUの陰謀/科学的無神論学科との出会い/反体制派の演説/モスクワ大学の二重構造/アルコールへの驚くべき執念/週十六回のセックス/対話の意味/召集令状 第三章 情報分析官、佐藤優の誕生 ソ連を内側からぶっ壊す/モスクワ高級レストランでの「正しい作法」/宗主国のない帝国/「異論派」運動の中心人物、サハロフ博士/誰かがやらなくてはならない「汚れ仕事」/ザルイギンの正体/分析専門家としての第一歩/外務省ソ連課長の秘密ファイル 第四章 リガへの旅 ラトビア人民戦線/アルバート通り/ラトビア特急/カラマーゾフの兄弟/モロトフ・リッベントロップ秘密協定/外国を巻き込んだ独立戦略/ソ連の「隠れキリシタン」 第五章 反逆者たち 反体制活動家のアジトへ/最初から狂っていた国/フルシチョフの息子/メドベージェフの“情報操作"/人民戦線の暴走/「自由の戦士」というビジネス/政治の季節の到来/欲望の塊 第六章 怪僧ポローシン 「中国人百人分くらい狡い」男/ポローシンの生い立ち/フロマートカの生涯/神道とロシア正教/モスクワの“都市伝説"/政治取引/黒司祭の巻き返し/転宗 第七章 終わりの始まり 「手紙作戦」の成果/先を見通していた共産党守旧派幹部たち/アントニオ猪木のモスクワ格闘技外交/良心派党官僚の苦悩 第八章 亡国の罠 極限状況の生と性/使者として/梯子を外したゴルバチョフ/逃亡者シュベード/政治的売春婦/ソ連共産党VS.ロシア共産党 第九章 運命の朝 三人への電話/思いがけない小銭の威力/ゴルバチョフは生きているのか?/逃げ出したポローシン/ふやけたクーデター/生存確認/ソ連解体を演出したブルブリス/カミカゼ攻撃/別れの宴/共産党秘密資金の行方/イリインの死/決別/デリート あとがき 文庫版あとがき――帝国は復活する 解説 恩田陸 佐藤優 1960(昭和35)年生れ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了の後、外務省入省。在英日本国大使館、ロシア連邦日本国大使館などを経て、1995(平成7)年から外務本省国際情報局分析第一課に勤務。2002年5月、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。2005年2月執行猶予付き有罪判決を受け2013年執行猶予期間を満了。2005年『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』で毎日出版文化賞特別賞を受賞した。主な著書に『自壊する帝国』(新潮ドキュメント賞、大宅壮一ノンフィクション賞)、『日米開戦の真実―大川周明著「米英東亜侵略史」を読み解く』『獄中記』『国家の謀略』『インテリジェンス人間論』『交渉術』『紳士協定―私のイギリス物語』『いま生きる「資本論」』『亡命者の古書店―続・私のイギリス物語』『高畠素之の亡霊』などがある。
レビュー
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非常に面白い。
いろいろな情報を切れ味よく表現され、引っ張り込まれます。
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長年の佐藤優ファンです。
この本は、ノンフィクションでいて、さらに読者を引き込む、何かがあります。私はこの本は佐藤優氏の傑作だと思います。歴史的に価値ある本でしたね。
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激動のソ連にいた外交官・インテリジェンス専門家の凄まじい世界
著者・佐藤優氏は、大学院で神学を学び、外交官の道に進む。外務省専門職(ノンキャリア)になり、1987年、語学研修で最高峰のモスクワ大学に留学、ロシア語を学ぶ。1988年在ソ連日本大使館三等書記官として赴任し、あの東欧、ソ連の激動の時代をまさにリアルタイムで、しかも大使館の外交官として体験し、1995年まで勤務する。 正に、書かれている内容は、この時代の現場での高度な人物達との人脈と付き合い、その考え方、生活の根本に深く触れ、人脈が人脈を広げ、人脈網になって行く。外交官(インテリジェンス専門家)としての基本を彼の風貌、見識、人格、金、情報などを駆使して、「お互い様」の関係でつくり上げ、その関係性の中のやり取りを、あの激動するが、何がどうなるか中々見通せない中で、その様を実体験としてリアルに描く。 一般人の私から見れば、スパイ小説のような世界の様が語られる。怖い世界だとも感じた。 既に、ソ連は自壊の時期に入っており、そうであるから様々な動きや情報が飛び交い、何がどうなっているのか、誰が中心人物であるか、どう正しい情報をえて分析し判断・行動するかが、リアルタイムで求められる。複数の情報が必要であり、これはどれだけの人脈や情報入手ルートを作っておくかがキーになる。それらの有力な人脈の人物達との付き合いや、やり取りは圧巻である。 正に、ソ連が崩壊していく過程の渦中の人間として、しかも外交官・インテリジェンスの専門家として係わり、生のリアルな高度な世界のことを、描いてくれている。
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ソ連崩壊が結局よくわからなかった
佐藤優さんの御本が好きで一気読みしたが、この本は自分に知識が無いせいか分かりにくかった。 ソ連は結局自壊した、ということだが、ベルリンの壁崩壊のようにはっきりとこの瞬間、と言うのが分かりにくく読後も釈然としなかった。 全て自分の無知のせいなので勉強して読み直さねばと思う。
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ソ連解体期のリアルな臨場感を体験
1990年頃のソビエト圏の生活や思考感覚が作者の体験を通して理解できます。 共産主義の現実と崩壊の過程を知ることができ、知識が深まったような感覚を覚えました。
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圧倒的なリアリティ
職場の先輩が好きだという佐藤優さんの「自壊する帝国」を一読しました。鈴木宗男さんの事件で連座し、起訴された方です。そのあたりを描いた「国家の罠」が、第59回毎日出版文化賞特別賞を受賞しています。 この本は、佐藤優さんが、外務省時代に体験したソ連の崩壊していく姿を生々しく描いています。2008年出版、今から13年前です。 とてもスリルがあり、興味深かったです。半分はフィクションだとは思うのですが、登場人物のセリフに熱量がありますね。 私も、機会があれば、一度、モスクワの空気を吸ってみたいと思いました。佐藤優をまねて、お土産は、チョコのモロゾフですね。 この本を読んで、いろいろなことに思いを馳せ、妄想しました。また宇宙と交信していると家族から言われました。とりあえず、休憩の一冊を挟んで、もう一度、読みたいと思います。 本を紹介してくれた先輩には、また面白かった本があったら、教えてくださいと伝えました。 心に残った佐藤優さんの言葉、登場人物のセリフは、以下になります。多いですね。見返すと僕の偏り方がわかる気がします。 ・日本の国家そのものが耐震強度偽装マンションのようになっているのではないかという印象が私の頭から離れないのである。 ・しかし、もし国民国家として純化した今の日本がガラガラと崩れていたとしても、もはや内側から復興の核となる原理は見つからないだろう。おそらく日本人の大部分は、日本が崩壊するはずはないと思っているだろうが、国家というのはある日、突然に崩壊することもあるのだ。 ・国家の崩壊は、その領域に生きる人々に多くの痛みと災いをもたらす現実を私はこの目で見た。真の改革のためには大川周明が言うように「国民的生命のうちに潜む偉大なもの・高貴なもの・堅実なるものを認識し、これを復興せしむること」だと私は思うのだが、現代の日本人にとってそれが具体的に何であるかはまだ私には見えていない。 ・国家に訴え出れば、何か出てくるという発想自体が間違いだ。ロシア人はもう一度生産に目を向けなければいならない。 ・あいつらは、神も悪魔も信じていない。嘘を作り出してそれを信じるのがあいつらは楽しいんだ。楽しいし、面白いから嘘とシニズムで塗り固められた国家を作り上げた。そんな遊びに巻き込まれたロシア民衆には迷惑な話だ。 ・人間は宗教なくして生きることができない。自覚しているがどうかは別として、みんな宗教を持っている。共産主義だって宗教だ。資本主義だって宗教だ。ファシズムだって宗教だ。歴史とは宗教と宗教の戦いだ。 ・守旧派幹部たちは、国家も民族もその基礎に神話がなくては維持できないことをよく理解していた。そして、ゴルバチョフが唱える「人類共通の価値」とか「新思考外交」などという普遍的な価値観がソ連・ロシア帝国の神話になりえないと考えていたのである。 ・ソ連崩壊により東西冷戦が終結してから十五年経つのに、いまだ日本の論壇には「左」と「右」という「バカの壁」がある。 ・世俗化が徹底的に進行すると、逆に決して世俗化されない領域が見えてくる。ここから僕たちは超越性を感じるのだと思う。 ・本当によい本は独特の魔力がある。友人にその本を読ませたくなるのである。
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ウクライナ侵攻の今こそ読む価値あり。ロシア人の内在的論理が理解できる
今やジャンルを超えた評論活動を行っている佐藤優氏の初期の作品です。 以前読んだことがあったのですが、ウクライナ侵攻が始まりロシアが閉じている現在こそ読む価値があると思いました。 ソ連時代は西側諸国にとって「何を考えているのかわからないが、不気味な国」であった現代のロシアですが 本作はソ連時代の主に政治家や知識人が何を考えていたのが よく理解できる良書です。 ウクライナで蛮行を繰り返す現在でも、知識層や上流階級に限らず「良識があるロシア人」が存在し 強い憂いを持って現状を見ているはずです。 そんな閉じた時代のソ連は、現在進行中のロシアと共通項があると思います。 ロシア人の「内在的論理」がよくわかる良書です。
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ロシアを考える上、為になる。
佐藤氏の日本の外交官としての使命感には脱帽した。そして学びへの敬意にに感嘆した。激闘の時代の生き証人としての筆の力にはこれからも期待したい。