行きずりの街 (新潮文庫)
かつて教職を追われた男が、過去の事件と再び向き合うことになるサスペンス長編。失われた時間、街の記憶、男女の関係が絡み合い、志水辰夫らしい硬質な文体で展開する。
作品情報
過去に捨てたはずの街が、男をもう一度事件の中心へ呼び戻す。
『行きずりの街』は、志水辰夫の代表的サスペンス小説の一つ。日本冒険小説協会大賞国内部門を受け、後に映画化もされた。新潮文庫版の ISBN とページ数が確認できる。
レビュー要約
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渋い文体と過去を背負う主人公像が支持されている。物語の古典的な雰囲気を好む読者がいる一方、展開の重さや時代性を強く感じる読者もいる。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 1994-01-28
- ページ数
- 356ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 15 x 10.6 x 1.6 cm
- ISBN-13
- 9784101345116
- ISBN-10
- 4101345112
- 価格
- 1 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
女生徒との恋愛がスキャンダルとなり、都内の名門校を追放された元教師。退職後、郷里で塾講師をしていた彼は、失踪した教え子を捜しに、再び東京へ足を踏み入れた。そこで彼は失踪に自分を追放した学園が関係しているという、意外な事実を知った。十数年前の悪夢が蘇る。過去を清算すべき時が来たことを悟った男は、孤独な闘いに挑んでいった……。日本冒険小説協会大賞受賞作。
レビュー
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まあまあの美品
映画を観て、読んでみようと思いました。映画自体は駄作でしたが、小西真由美が色っぽかった。
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圧倒的な情景描写と心理描写
主人公は塾の教師です。 彼は、十二年前恋愛スキャンダルで勤めていた学園を追われ、離婚に追い込まれていました。 そして、塾の教え子である娘の行方を捜すために、再度上京します。 その捜索の過程で、過去の彼の事件の真実、その後の学園の出来事を知ることになり、更には、学園に蔓延っている「悪」の実態を知るに至ります。 この作者の作品を読むのは初めてですが、その情景描写・心理描写に圧倒され、一気に読み通しました。 基本はハードボイルドであり、ミステリーなのですが、主人公と元妻の十二年間の鬱屈した心情が、言外に滲み出ていて、ラストでほっとさせてくれる展開は堪りません。 又、一方で都会の余りに合理的な経済優先の考え方に対する苛立ちが、文章のあちこちに見えて、二人が丹波の田舎に帰る結末の納得がゆきます。 敢えてケチをつければ、一人の平凡な教師の周りの事件や人物が、一点に収斂すると言う偶然性には問題があるかも知れません。 でも、この圧倒的な物語の展開の前には、それも余り気になりませんでした。
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探偵はいつもボコボボコに
志水辰夫の「行きずりの街」を今頃になって、読み出した。 これが抜群に面白い。 読書家でなくても、なにを今更。。。っていう話題でしょうね。 お恥ずかしい。あちこちに、読み落とした作品がたくさん、あります。 25年以上昔に、ぜったいに僕の好みのはずだと、ミステリ通の友人から強く薦められた作家である。 僕好みの文章だと聞いた。 あ、僕自身は悪文だが、読むのはきれいな文章が好きだ。柄じゃなくて、すみません。 だから何度も試みたが、どうもキブンが乗らなかった。 類稀な文章力といったって、そんなに上手いかなあ。そうも思わないけれど。。。っていう感じだった。 今回、はじめて本気で読んでいる。今半分まで読んで書いている。 見切り発車だが、なるほど。。。すこし興奮している。そう、たしかに僕の好みのスタイルだ。 結構、部分的にかなりキザな文章もある。それがなんとも心地よい。 たとえばこうだ。 男はみんな糸の切れた凧になりたがるものなのだ。それで女が苦労している。 う~ん、こういうのが隠し味で、行間に埋もれて、散らばって書かれている。 地名が固有名詞なのもよい。場所が描写力をもって活写されている。 イマージナリー・ランドスケープ(デジャブじゃなくて)がある。 とくに、広尾から六本木までの空間的広がりの描写が冴えている。それも’90年代初頭のバブルの時代の頃だ。 鷺宮あたりの光景の描写もいい。 女の人の描き方が、チャンドラーほど柔でなく、ロス・マクほど透明でもない。 てきどに叙情的なのだが、観察には酷薄な視線があって、描写は乾いた感傷に留まっている。 うん、シミタツと短縮形で呼ばれるのが、よ~く理解できた。 シミタツというスタイルを感じた。 スタイルをもったハード・ボイルド作家は日本では、稀有なことである。 主人公はわりとボコボコにされるが、またルックスもぼんやりしているが、なんか雰囲気があっていい。 ちょっぴりクールで、そのくせ情もある。インテリで、内省的だが、無鉄砲。 まあ、矛盾している。 そこが凡庸に見えて、ヒロイックなのだ。 男の色気、うん、ありますな。 この作家の良質な部分は冒険小説にあるのではなく、正統派ハードボイルド小説にあるように思った。
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文章が上手いと聞いていたが…
半分で挫折しました。 志水辰夫は作家の中でも地の文に定評がある聞き、興味本位で手に取りました。 確かに上手な方です。しかしストーリーが単調で全体的に古さが漂っており、文章目当てでも今から読む小説ではないと感じました。 自分は男ですが、中年男性作家の書くおじさん文章というのが苦手で、若者に対する呪詛みたいな描写や女性への無邪気な偏見や性的な視線が年齢や社会的地位の向上とともに硬直化しているのを見るにつけ、思わず顔を背けなくなることがあります。 本作でもストーリーが動き出すと共にそうした側面が垣間見えてしまい、木村美紀というキャラクターが出てきたところで辛抱できず、相変わらずお遣いシーンが続くのを見計らって本を閉じました。
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クライマックスにどうにか盛り上がる
行方不明となった教え子を探す塾講師。周辺の謎に深入りするうち、予想外の陰謀に巻き込まれ..というハ-ドボイルド。 主人公の真っ直ぐさはシミタツ節の昭和な男で大変結構なのだが、めめしさと蛮勇ともいうべき思慮の浅さがどうにもいただけない。 予想外の陰謀とはいうものの、ちんまりした典型的なもので、ちょっと脱力してしまう。元妻との間にくすぶる愛情、命からがらの脱出行、危機一髪の連続でクライマックスにどうにか盛り上がるだろうか。 日本冒険小説協会大賞ですって!このミスNo.1ですって!映画化されたんですって!へー。
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ハードボイルド恋愛小説の秀作
ハードボイルド風サスペンスラブストーリー。 主人公は、正義感が強く、生徒からも慕われ、将来を嘱望された、名門女学院の優秀な教師だった。ある事件のため学校を辞め、今は郷里に退いて塾の教師をしている。ところが、塾の教え子の女生徒が東京へ出たまま行方不明になる。彼女を探しに東京へ出てきた彼は、彼女の失踪の裏に重大な秘密が隠されており、それは彼が学校を辞めざるをえなかった事情と密接に関連していることを知る。彼は生死を賭けて事件の真相に挑む。 一方、東京には、かつて激しく愛し合って結婚し、外的事情からやむを得ず別れなければならなかったもと女生徒で恋人の美しい女性がいる。事件の進行の裏で夫婦の再会、再びの愛が、濃密に描かれる。 この小説は、ハードボイルド小説であり冒険小説でもあるが、何よりも恋愛小説である。主人公夫婦の情愛の深さに心打たれる。主人公はタフだが、危ない場面に何度も遭遇しハラハラする。最後、ハッピーエンドに終わってほっとし、読者も幸せな気分になれる。
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志水辰夫の代表作、長編ハードボイルド小説だが・・・
志水辰夫の代表作ともいえる長編ハードボイルド小説。みごとな臨場感を感じさせてくれる濃密な文体、描写は、さすがといわずにはいられない。 しかし、ストーリーがいまひとつぱっとしないのである。ハードボイルドなストーリー展開にキレがなく、読後、モヤモヤ感がつきまとう。1ファンとしては『いまひとたびの』『きのうの空』といったシャープで心にズシリとくる短編集こそ志水辰夫の真骨頂、絶対にお奨めといいたい。
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☆1つもつけたくないけど
作者にとっては丹精こめた作品だろうし、あまり愚弄するのもイヤなんですけど。 と、言いつつ一応お金を出して購入させてもらった者として、言いたいことは言わせていただきたいです。 とにかくヒドい作品! 作者のご都合で話が進んでいくデタラメぶりと、 まったくリアリティのない登場人物たち。なんら一貫性のない行動を取る登場人物たちア然、呆然。 そんでまた主人公の魅力がないことといったら…。 1〜2行で十分な状況描写が1ページ以上描かれていたり。 ど〜しよ〜もない中学生レベルの恋愛観や人生哲学が長々とセリフで語られていたり…ハァ〜脱力。 なにやら恋愛が展開するプロットも存在してますが、中2の妄想レベル、ていうか中年ジジイの妄想が一生懸命書かれているのかな。 これほんとにプロ作家の作品なんですか? 自己満足満載の素人作品以下ではないですか? そういえば、敵役が死の間際に語る生い立ちが、どうやら主人公を嫌う理由に繋がってるようなんですが…また、これがほんと「しょうもなっ!!!」 僕は一度読み始めると、どんなにつまらなかろうが最後まで読まなければ気がすまない質で…。辛かったけど最後まで読んでしまいましたが…。 くだらない妄想と戯言に突き合わされた時間と、読むごとに溜まっていったストレスと…。この作品を読むための代償は小さくなかったと思います。
関連する文学賞
- 日本冒険小説協会大賞 第9回(1990年) ・国内部門