日本の文学賞

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リヴィエラを撃て(上) (新潮文庫)

山本周五郎賞

リヴィエラを撃て(上) (新潮文庫)

高村薫

元IRAテロリストの死を発端に、顔のないスパイ《リヴィエラ》をめぐって各国情報機関が暗闘する国際諜報小説。東京、英国、アイルランドを結ぶ謎が、緻密な構成で展開する。

国際諜報IRA情報機関の暗闘

作品情報

顔のないスパイの名が、国境を越えた暗闘の引き金になる。

新潮文庫上巻を代表書誌として記録。日本推理作家協会賞長編部門受賞作で、重厚な調査と構成力によって国際諜報戦を描く。

レビュー要約

  • 精密な構成と国際情勢への目配りを評価する声がある。登場人物や背景情報が多いため、濃密な読書を好む読者に向く。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
1997-06-30
ページ数
485ページ
言語
日本語
サイズ
14.8 x 10.5 x 2 cm
ISBN-13
9784101347141
ISBN-10
410134714X
価格
880 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

1992年冬の東京。元IRAテロリスト、ジャック・モーガンが謎の死を遂げる。それが、全ての序曲だった――。彼を衝き動かし、東京まで導いた白髪の東洋人スパイ《リヴィエラ》とは何者なのか? その秘密を巡り、CIAが、MI5が、MI6が暗闘を繰り広げる! 空前のスケール、緻密な構成で国際諜報戦を活写し、絶賛を浴びた傑作。日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞受賞。

レビュー

  • まるで外国のスパイ小説

    高村薫は、これまで読んだ事はなかったが「冷血」を読んで虜となり、評価の高い「リビエラを撃て」も読むこととした。 期待に違わず、圧倒的な面白さで長大なページ数にもかかわらず、一気読みした。 フレデリック・フォーサイス、イアン・フレミング、ジョン・ル・カレなどの翻訳小説を堪能してるのように、満足度は高かった。 翻訳小説は、ややもすると的確な翻訳をなされてない部分もあって、ところどころ意味不明な箇所もあるが、日本人が書いてるだけに、その心配はない。 そして次々と登場する、人物に混乱を極めるが、私は人物相関図を独自に作って、それを見ながら「ああ、この人はこのキャラなのね」と確認しながら読んだ。 それにしても、このノンフィクションのような身震いするリアリティは、一体何なんだろう?その精緻な取材力に脱帽する。 ただ、難を言えば日本入国後のジャックの様子が、それ以前の描写とはかけ離れ、あまりにあっさりしているのが残念で、詳細な記述が欲しかった。 また、一日違いでリビエラと遭遇できなかったシーンは、用意周到で抜群に頭の切れるジャックとしては、理解し難い間抜けな失態ではないか? しかし、それらを補って余りある、本書の面白さであるので、多くのミステリーファンにはお勧めの一冊だ。

  • 高村作品の初期の名作。

    スケールの壮大なスパイ小説。 ストーリーは風呂敷を広げすぎた感じが否めませんが、 硬筆な描写、豊かなキャラクター造形、感情移入したくなる主人公等々、私は好きな小説です。 特に、ジャックは大好きです。 発刊当時、日本女性でここまでのスパイ小説が書ける作家が出てきたんだなぁという感慨がありました。 高村さんは、職業作家になる前に小説舞台のひとつベルファストの地へ行ったことがあると聞きました。 乾いた文章と魅力的な人物造形、高村作品の原点がここにあると、個人的に思っています。

  • すっきりしない終わり方

    複雑に絡み合った人物関係、荒涼としたアイルランドや靄のかかったイギリスの描写、緊迫する狙撃シーン、圧巻のピアノ協奏曲など、すばらしい点はたくさんあるのですが、どうしても気になる点が残り、読後感はいまいちでした。 ジャックがイアンの見た人物が田中であるかどうか疑義を示す場面があるのですが、この伏線は回収されないままに終わります。 ケリー・マッカン、ジャック・モーガンはそれぞれ父親と因縁のある現状です。 これはおそらく手島もそうであり、手島修三の父、手島博士について何度も記述があります。 田中壮一郎と手島修三はイニシャルが同じです。 息子の名前に父親の名前から一字取るのは日本では珍しくないため、手島博士の名前が「修」で始まったとしてもおかしくはありません。また「無駄に」と言っていいほど、何度も手島博士への言及があります。これだけの作品を書ける人がなんの意図もなく書いたはずはないので、手島博士こそがリヴィエラと間違えられた人物その人ではないかと思いました。 ですが、結局そこには触れられないまま。 非常に尻切れの印象です。 レビューに「ミステリーではない」とあり、確かにそうなんですが、ジャックが抱いた疑問をわたしも持ったまま読了してしまい、がっかりしました。 スピンオフや別作品で言及があるのかとも思ったんですが、軽く検索してもそのような話はなく……高村薫自体は初めて手に取り、他の話も読んでみたいと感じただけに残念です。 イアン・パトリック・モーガンが見た人物について、他作品などで知るチャンスがあれば、ぜひ手に取ってみたいです。 もしご存じの方はご教示いただければ幸いです。

  • 伏線が鳥肌もの

    最初の方は状況がよく分からず、ボケーと読み進めていたが、まだ70ページの段階で「え?え?」となり、すでに何度もそれまでのページを読み返す。伏線との繋がりに思わず鳥肌がたってしまった。 だいたいこの手の小説は、書きやすいのか刑事が主役で刑事目線なのだが、テロリスト目線の小説は初めてかもしれない。 下巻に入って急に加速するが、それまでのリアル体験(Googleマップを見ながら、その路地を走っている姿が想像できる)が少し雑になってしまうのがちょっと残念だった。 しかし、隅から隅まで余すところなく連携していく伏線とその回収が驚きの連続。最後の最後にはほぼすべての謎が解けるのだが、個人的に唯一腹落ちしていないのは「ボートの名前」。ネタバレになるので詳述しないが、他の読者の方で理由がわかった方がおられたらお教えいただきたい。 なおこの本は、見城社長が紹介されていたので出会えました。見城社長にも感謝です。

  • 過去から現在へと紡ぐ壮大な物語

    過去から連綿と絡み合う複雑な物語を歴史絵巻のように 紐解いてゆきます。 そして、幾多の死線を潜り抜けてきた人物が、冒頭にあまり にもあっさりと殺されてしまう、救いようのない事実に愕然と します。 極めて硬質な文章、登場人物の大半が外国人、様々な組織 が入り乱れる緻密なプロット、かなり読み難い作品ですが、 読破した時のカタルシスは格別です。

  • どきどき…!

    李欧を読んで参ってしまい、手に取りました。 読んで良かったです。どきどきしました。 各国の一部の情報部員が知っている裏事情に、主人公達の運命が絡んでゆくストーリーです。 主人公である元IRAテロリストのジャック・モーガンも、イギリス人の血をひく警視庁勤務の手島修三も、 <リヴィエラ>というコードに包まれた、大きな秘密の一端に触れたところから少しずつ巻き込まれていきます。 近づきすぎれば命の危険があることを知っていながら、 淡々と目的に向かうジャックがとても魅力的でした。 中国、イギリス、アメリカ、日本を中心にそれぞれの政府・情報機関・ 警察・スパイが登場するので、多少混乱しましたが読み応えがあります。 すべてのことの起こりが歴史的事件だったりと、スケールの大きさに圧倒されました。 主人公に関わる登場人物もじっくりと描かれており、 大きな力に翻弄されながら、自分の意志を貫く彼らの人生を感じることができます。 隠蔽するほうも、暴こうとする人々も、<リヴィエラ>事件に関わった皆によって数十年の歴史ができあがっています。 シンクレアのピアノがストーリーの中に華を添えており、 きっと、ブラームスの協奏曲第二番変ロ長調を聴きたくなります。

  • アイルランド問題の歴史的背景を知っていれば、もっと楽しめたはず。

    高村薫女史の作品は有名で知っていましたが、なかなかチャンスがなかったのですが、今回「リヴィエ ラを撃て」の上巻を読み終わりました。最近、山崎豊子がマイブームなのですが、高村薫も山崎豊子と同 じで筆致が非常に男性的で力強く、論理的なのが印象的でした。 さらに、高村薫の場合、舞台と主人公が外国だからなのか翻訳小説のような錯覚に陥ります。ストーリー を読み込むのに難があり若干読みにくく、ジャック、シンクレア、伝書鳩、ケリーなどの主要人物以外の部 分は斜め読みになってしまいました。 イギリスとアイルランド問題については、もっと知りたいと思いました。もし山崎豊子が同じテーマで 書いた場合、この辺の裏事情をストーリー上で解説をしてくれるので、分かりやすくなったと思います。 高村薫の場合、背景は所与のもの、自分で調べた上で登場人物の物語を味わう必要があります。基本的に 第三者の目線で書かれており、もっと主人公たちの動機や内面的な葛藤、歴史的な背景を知ることができ たら、より楽しめたと思います。

  • 日本サスペンス小説の決定版

    壮大なドラマが、くりひろげられる。著者の小説は、読むほうも、話しの中に、感情移入するのに、体力と、すこし時間がかかる、しかしそれを、さしひいても、読む価値が、高村薫の作品には、充実感と、面白さがある。

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