紅葉街駅前自殺センター
『紅葉街駅前自殺センター』は、光本正記による受賞・候補対象作。人物の選択や時代背景、事件の推移を通じて、読者を作品世界へ引き込む構成を持つ。
作品情報
『紅葉街駅前自殺センター』は、受賞歴と書誌情報を確認できる光本正記の作品。
『紅葉街駅前自殺センター』は、光本正記による受賞・候補対象作。人物の選択や時代背景、事件の推移を通じて、読者を作品世界へ引き込む構成を持つ。 書誌識別子は、Amazon JP、NDL/CiNii、出版社・書店情報で単独書籍または収録書籍として確認できたものだけを記録し、雑誌号や掲載媒体の識別子は流用していません。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2013-01-22
- ページ数
- 249ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14 x 2.1 x 19.8 cm
- ISBN-13
- 9784103334118
- ISBN-10
- 4103334118
- 価格
- 800 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: 紅葉街駅前自殺センター : 光本 正記: 本
レビュー
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タイトルはイマイチなんだけど
新潮エンターテインメント大賞受賞作。 友達が「ナントカ駅前自殺ナントカ……題名忘れたけど、面白かったよ」と言っていたので、 アマゾンで「駅前 自殺」と検索したら出てきたけど。 「もみじまちえきまえじさつせんたー」って。 長いし、ゴロ悪いし、発音しにくいよ!! …という具合に、タイトルはイマイチなんですが。 内容は素晴らしく面白かった。 ラスト最後の1ページまでどうなるかわからない、というドキドキ感を久しぶりに味わいました。 これ、本当に新人さんのデビュー作ですか? 文章力、構成力ともにプロ並みの安定感です。 近未来の日本が舞台。 公的機関「自殺センター」を通さないと自殺することが許されない、という世界。 絶望しきった30代の男が、そのセンターを訪れる。 その周囲には、謎の連続猟奇殺人、通り魔、児童虐待……と今日的な問題があふれていて。 ああ、これは現代の私たちが抱えている病を、近未来を舞台にして取り上げているんだな、とわかる。 「自殺センター」設立の契機となった事件も、いかにも現実にありそうな感じ。 作品全体に息詰まるような悲しみと痛み、そして人間の悪意が満ちています。 しかしラストには、それらすべてを昇華させてしまうカタルシス。 ネタバレになるので詳しくは言えませんが、よくぞここまで練り上げた、と感心しました。 リアリティに満ちた描写ながら、現実と非現実との境目を軽々と飛び越えてしまう世界観は、 どこか村上春樹を思わせるところもありました。ハルキファンにもおすすめ。 ミステリ、ホラー、SFが好きな方にも楽しめるでしょう。 そして自殺を一度でも考えたことがある方も、ぜひにご一読を。 ※2014年4月4日追記 作品のレビューではありませんが… 3月31日、作者の光本正記氏が急逝されたとのことです。 (ご本人のお母様のTwitterより) もちろん私は一面識もなく、この本一冊を読んだだけなのですが、 あまりに早すぎる死に呆然とし、思わず涙がごぼれてしまいました。 まだまだ面白い小説をたくさん書ける方であろうと思っていたので、非常に残念です。 ご冥福をお祈りします。
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オチがどうもね…
面白い設定なんだけど、オチが今一つ。往生際が悪いのも、超常現象的に奇跡を起こしてくれちゃうのも、それまで分が台無しな感じ。 とりあえず、「最後に会いたい人」とか「最後にやりたい事」なんかがある人はやめとけば?と思った。それは「未練」な訳だから。かな。 「死ぬと決めた人間が、どうして暴力を怖れるだろう」には、おいおいそれ違くないかい?と突っ込みたくなった。 自分なら「死ぬのはいいんだけど、痛いのは嫌だ」から。
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魅力的な題材
魅力的な題材だったと思う。 ただ、最後のオチは納得いかない。 しかし、いつか自殺センターのような施設は もうすぐ日本にできそうな、そんな怖さを感じさせてくれる。
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すげい
「新潮エンターテインメント大賞」最後の受賞作。 記念に、と読みはじめたがすぐにその世界に引き込まれた。 自殺が公的に管理される世界の、近未来小説。 大きな事件は起きないものの、淡々と進んで行く担当官(コードネーム『紅葉街K3』この人物がまたいい) との面談で徐々に明らかになる主人公の壮絶な過去。これが淡々と、とても綺麗な文体で語られるから 余計に哀しく、たまらない。そして思いもよらないラスト。 主人公の元に届く悲しい手紙と、兄との再会。このラストシーンは賛否両論あると思うけど、自分はよかった。 希望が見えただけで、この作品を読んだ甲斐があったというもの。 自殺。このテーマに正面から向き合った本作だが、自殺だけでなく、 死ぬこと、生きること、そして同時に「愛すること」を描いている点が良い。 生きることに悩む人。生きることが辛い人。本当の愛を知りたい人。全てにお勧め出来る良作。
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死者をむち打ちたくはないが。
多少ネタバレもあるので気をつけて読んで下さい。正直、これまでのレビュー六件が 全部星5個というのが信じられない。おそらく、よくあるように、作者、出版社等の関係者 が大半なのだろうが……。それと、作者自身が今年の三月末に自殺によって(?)亡くな ったことから高い評価をしたくなるのかもしれない。まあ、特に悪い作品とは言わないが、 私自身はさほど良いと思えなかった。 全国に47の自殺センターが設けられたという、おそらく近未来小説。その発想自体は 安直だが、作者自身が長年鬱病を患っていたことから理解できる(実は私もかつては鬱 病患者だったので)。その病気のことで真剣に悩んでいる内に思い付いたのだろう。 物語の冒頭は、「ちょっと安直な設定だな」と思わせる。だが、読み進む内に、主人公の 希有な体験(幼少時に母親が浮気して逃げた。父は自分を愛してくれなかった。結婚後、 愛児を連続殺人鬼に殺された等々)など、深いものがあり、リアリティーを高めている。また、 とあるカルト集団のメンバーが主人公を暴行するなど、イライラしながらも主人公に感情移入 したくなる。結末近くになって、主人公だけでなく、元妻がやはり自殺センターの世話になって いたという設定は斬新であり、それなりのインパクトやカタルシスもある。だが……。 はっきり言って、少々「やりすぎ」であり「ご都合主義」と感じてしまう。家族やセンターの担当 官らに犯罪被害者が都合良くいたり、別のセンター担当官がカルト教団のメンバーだったり、 自殺幇助の担当官が実は連続切断魔だったりとか、これでもかこれでもかと詰め込んでいて、 (いくら「仮想の物語」とはいえ)、リアリティが薄れてしまう。 結末はどうなのかと期待していると、主人公は死ななかった、ということになるのだが、なぜ 彼にだけ毒が効かなかったのかとかの説明がまったくない。これではご都合主義と言われても 仕方がないだろう。 それなりに楽しめる人もいるだろうが、私はけっして人に勧めたいとは思わない。
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若き才能の出現
近未来の話なので、どうせ薄っぺらい世界が描かれているのだろうと、余り期待せずに読み始めた。 しかし読み進めていく内に、引き込まれていき、気がつけばどっぷりと小説世界に入り込んでいた。 何よりも世界を支えるディテールの確かさが素晴らしい。 新潮エンターテインメント大賞の選者も書いていたように、すぐ近くにそんな施設があるような錯覚さえ覚えてしまう。 余り詳しく書くとネタバレになってしまうので書かないが、元妻の手紙には、現実の事件の当事者の姿がオーバーラップして、思わず胸が熱くなった。 読み終わって主人公の行く末に思いをはせ、しばらく小説時間から抜けることができなかった。 若き才能の出現を確かに感じた。 この作家には注目していきたいと思う。
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「希望」
「自殺」が国によって管理されている、近未来が舞台の物語。 「自殺センター」という設定がとても秀逸で興味深く、一日で読了した。 センターの設立経緯は少し説得力が足らないと感じたが、そのシステムについてはストーリーと上手く絡みあい、主人公が追い詰められていった過程が無理なく提示され、押しつけがましくなく、共感できる。 短時間で読み終えることができたのは、読みやすい文章も手伝ってのことだ。 どこか村上春樹を思わせる文章だが、村上作品に見られるような主人公の嫌味さ(少し語弊があるかもしれない。村上作品を貶めているわけでは決してありません)は感じられない。 エレベーターの老人や、虐待を受けていた少女など、印象的なエピソードも多いが、わたしが特に好きなのは元妻からの手紙。いつもの、茶目っ気がある彼女らしい文章がとても良かった。 終盤の急展開と、霞がかったような結末は賛否が分かれると思う。 エンターテイメント的なカタルシスを期待して読んでいたわたしは肩透かしをくらった。 兄の周辺については、もっと別のかたちで開示してほしかった。 けれど、絶望の中に灯った希望が確かに感じられて、わたしは、結末の先、二人が手を取り合って歩いていけるよう、強く祈った。
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暗い・・・
私がこの小説にたどり着くに至った経緯を書かせてもらうと、ネットサーフをしていて、たまたま著者・光本氏のブログを読んだから。そしてこのAmazonを覗いて初めて、著者がすでにこの世にいないことを知った。 レビュアーの中には、自殺と決めてかかっている人もいるようだが、ブログを見る限り、著者は精神を病んでいて薬を服用していたので、死因はどうも薬の大量服用・誤飲による事故死のようだ。 著者のブログは「光本正記 CRUNCH MAGAZINE」で検索すると出てくる。ツイッターも残っているので、これも著者の創作物ではあるし、読んであげたら少しは著者の供養になるかもしれない。 それにしてもこれらを読んでみると、今の新人作家のおかれている状況は想像以上に厳しいらしい。私は新人作家はデビューしたら、売れなくても数冊は出してもらえて、それがいずれもダメなら人知れず消えていく、となると思っていた。今では出版社に余裕が無く、デビュー作がそこそこ売れないと2作目は出してもらえないようだ。 私は、過去何人かの新人作家の作品をこき下ろしてきたが、2作目が出ていない作家は、才能が無かったというよりデビュー作が売れなかったからなのか。逆に売れて無いようで何冊も続いて出している連中は、結構たいしたものなのだな。 著者のブログにも、次々と編集者に出版を断られる苦悩が綴られ、苦しみから逃れるように薬の量を自己判断で増やし、不幸な事故につながってしまった。 故人のご冥福を祈るとともに、ご遺族には心からのお悔やみを申し上げたい。 おっと、小説のレビューをしないといけない。 ・・・暗い、とにかく暗い、暗すぎる。 登場人物は皆ことごとく死を志向する。主人公はためらいもなく自殺の道を突き進み、終盤に出てくる別れた元妻に至っては、子供を通り魔に殺され、その通り魔が死刑になると、自らも自殺の道を選ぶ。他にも連続切断魔だの、殺したがる人もいろいろ出て来て、全編とおして自殺、殺人、死刑のオンパレードだ。まともに天寿を全うした登場人物なんか出てきたかしらん。 これをダンカンの映画「生きない」のように、コミカルに描いてくれると面白さもあるのだが、逆に非常にシリアスだ。 この小説は新潮エンタテイメント文学賞を受賞した作品だが、私の英語の理解が間違っていなければエンタテイメントとは「娯楽」という意味だろう。 ・・・これが娯楽になるのか。この小説を娯楽作品だと思って賞を与えたのなら、選考関係者や出版編集者の感性はどうかしている。むしろそっちのほうが怖い。 そもそも「~自殺センター」なんてタイトルの本が売れるはずもない。著者には悪いが、私もこんなタイトル・内容の本が手元にあること自体、気持ち悪さを感じている。これからすぐに図書館に返しに行こう。 この作品でデビューしてしまったことは、著者にとっても不幸なことだったろう。 最後に、著者にはヒモになって生活の面倒を見てくれていてその後別れたキャバクラ嬢の元彼女がいたはずだが、彼女は著者の死を知っているのだろうか。いや知っているだろう。 著者と彼女が恋に落ちた時、「売り物に手を出した」とキャバクラの店長やヤクザにさんざん殴られ、それを知った彼女は涙を流していたとブログにある。その後著者と暮らすようになった彼女にとって、著者と過ごした日々は幸せなものだったと思いたい。 それが故人にとっての最大の慰めであり、この本を「知ってしまった」私にとっても救いとなる。 これを書きながら、さだまさし「セロ弾きのゴーシュ」という歌を聞いている。切ないいい曲ですよ。