日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
長い命のために

大宅壮一ノンフィクション賞

長い命のために

早瀬圭一

『長い命のために』は、早瀬圭一による作品で、1982年前後の文学賞で評価された一作。題名が示す情景や主題を軸に、作者の関心と時代の空気を反映した作品として読むことができる。

文学賞受賞作1980年代文学作者の主題意識

作品情報

早瀬圭一の『長い命のために』は、受賞歴とともに読み継がれる作品である。

『長い命のために』は、早瀬圭一の受賞作として知られる作品。作品名、作者、受賞年次の文脈から、各賞の対象領域に位置づけられる。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
1981-08-01
ページ数
242ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784103398011
ISBN-10
4103398019
価格
398 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

第13回(1982年) 大宅壮一ノンフィクション賞受賞

レビュー

  • 「家族介護」の葛藤から簡単に逃れられるなどと考えないほうがいいのかもしれない

    1981年出版。福祉施設なるものに世間が偏見を持ち、「病院にいた方がまだ世間体が良い」と思われていた時代に、深刻化する家族介護の問題から老人ホームの必要性を訴え、さまざまな人生を歩んだ高齢者たちがホームに入所するまでの過程を描いたノンフィクション。 高齢者福祉が行政による「措置」であったこの当時、家族の世話にならず独りで暮らしたり、身寄りがなく経済力も持たない高齢者はホームに入るか、生活保護を受けて安アパートで暮らすか、そのいずれかを福祉事務所が判断していた。だから、本書に登場する高齢者たちはあまり幸せそうに感じない。それは救貧政策の延長であり、「他にどうしようもないからホームで余生を過ごす」という印象だ。介護保険のサービスとして資格があれば選んで利用できる現在の高齢者福祉施策とは、ちょっと性格が異なる。 本書のあとがきに、パーキンソン病になった母親を特養に入所させるエピソードを著者が綴っている。嫁姑の確執の板ばさみになり、良かれと思って独居させた母が、定期的な見守りの努力にもかかわらず病に倒れて入院、妻に働くのをやめて介護しろともいえず、仕事から離れられない自分ができるわけもなし、特養に入った母に対しては良心の呵責…。この独白の部分は刊行から30年余りたった今もリアルに読める。問題の根っこは30年たってもさほど変わっていないのだ。福祉が進んだからといって、「家族介護」をめぐる葛藤から簡単に逃れられるなどと考えないほうがいいのかもしれない。

  • 老人ホームの実態を克明に描いた名著

    これは、早瀬圭一さんの最古にして最高の本であり、大宅壮一ノンフィクション賞受賞作の名に恥じない著であると思う。 当時としてはまだ珍しい女性ケースワーカーの1人にスポットを当てて、老人ホームの実態、そしてケースワーカーの仕事を描写する。これこそ福祉関連の仕事の実態を知ることができる著ではないだろうか。 現在は、この本が出た当時と違って老人がかなり増え、更に介護保険制度も導入されたことから、ケースワーカー、老人ホームの必要性はそれに比例するように増してきている。 この本は、福祉関連の仕事に就きたい人に物凄く大きな影響を与えると思うので、是非読んで欲しいと思う。

関連する文学賞