日本の文学賞

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咲かせて三升の團十郎

中山義秀文学賞

咲かせて三升の團十郎

仁志耕一郎

七代目市川團十郎の波瀾の生涯を、歌舞伎の世界と江戸の文化の広がりの中で描く長編歴史小説。

歌舞伎市川團十郎江戸文化歴史小説

作品情報

名跡を背負った役者の光と影を、江戸の舞台に浮かび上がらせる。

新潮社刊。七代目市川團十郎の生涯を、舞台の華やぎと芸の継承、そして時代の変化のなかで描き切る一冊。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2022-04-20
ページ数
409ページ
言語
日本語
サイズ
13.9 x 2.9 x 19.7 cm
ISBN-13
9784103545217
ISBN-10
4103545216
価格
2640 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

「この一巻は仁志耕一郎の最高傑作であるばかりでなく、 今年上半期のベスト作品の一つである事は間違いあるまいと思われる」 ――縄田一男氏絶賛! (「日本経済新聞」五月十九日夕刊より) 天才の輝きか役者の業か。芸と女にどっぷり生きた七代目團十郎を描く本格時代小説! 江戸歌舞妓の若きスター市川團十郎。名だたる役者に認められ、粋な姐さんを妻にして、絶頂きわめたその時に、お上に睨まれ財産没収、江戸追放。あっという間の奈落の底から、見事復活するが、家族の悲劇を招いてしまう……。悪女にはまり欲に負け、泥にまみれた晩年でも、最期まで人々に愛された波瀾万丈の役者人生を描く傑作。

レビュー

  • 小気味よい江戸弁にテンポ良い展開で一気に読めた。

    七代目團十郎の意地と見栄、強欲と嫉みのからみ合う泥沼のような不幸と、その苦悩の中から咲かせる花の鮮やかさ。加えて、小気味よい江戸弁にテンポ良い展開で一気に読めた。 歌舞伎は詳しくないが、映像が浮かび、まるで役者が目の前で演じているかのようだった。膨大な情報収集と時代考証、ストーリー構成など、随所に江戸時代の空気感が漂う。現在ほど生活も便利でなく、お上からの圧力もあり、何かと大変だったろうと思えるが、みんなが力強く、活き活きとしていて、江戸時代に行ってみたいとさえ思わせる作品だ。死期が近いことを自覚した七代目團十郎が九代目團十郎と対面する場面が、何とも言えず感動的で印象に残った。

  • ちょっとイメージを

    七代目の團十郎はこれでもいいかと思う。 妻のおすみのイメージもいい。妻のことを細かく書いている團十郎本は少ないのでいいのだが。 八代目團十郎がこの本の中では伝えられている人格などが覆るほど酷い。 杉本苑子さんの傾く滝の八代目のイメージが強く残る自分には辛く残念な本でした。

  • 江戸歌舞伎の息吹が伝わる

    歌舞伎界の一大名跡、市川團十郎家の七代目。江戸の華と謳われた大スターの絶頂と転落、家族の悲劇を描く。歌舞伎を知らずとも楽しめる本格時代小説ながら、歌舞伎ファンなら堪らない逸話がこぼれんばかり。鶴屋南北が、菊五郎が、幸四郎が、歌右衛門が。実名で登場する江戸歌舞伎のキラ星たちの息吹が伝わり、今に伝わる演目が、襲名が、江戸期の歌舞伎の光と闇がまざまざと。 あの名作「四谷怪談」の誕生秘話、恋女房に妾が2人の色恋沙汰も。まるで舞台を観ているかのような臨場感に胸躍らせるも一転。家財没収、江戸払いとなり、大阪に渡ってからの終盤が深い。一世を風靡した美貌の長男、八代目團十郎の自死から九代目に伝えた最期まで。粋な江戸弁で鮮やかに、迫真の筆致で紡がれる。 しかし…八代目の道ならぬ恋、「劇聖」九代目が元は大根とか。小説ながらびっくり多々でした。

  • 人生の〈答え合わせ〉が凄い!

    七代目團十郎。江戸後期のこの破天荒な役者の人生が、中盤から後半にかけて息づまるほどの切迫感で描かれる。とくに息子の八代目との確執は、思わず天を仰ぐ迫真の場面である。正も負も混沌として物語は突っ走る。堕ちてからが、ぐんと面白い。 欲目と誤解とプライドが人生をいかに誤らせるか。たとえ道を誤ったとしても、最後に人生を全うするとはどういうことか。そうしたままならぬ人生の〈答え合わせ〉が随所に見えて、読みごたえがあった。それこそ時代小説の枠でしか描けないだろう。

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