日本の文学賞

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異人たちとの夏

山本周五郎賞

異人たちとの夏

山田太一

孤独な脚本家が失われた家族の面影と出会い直す、幻想味を帯びた長編小説。都会の空虚さと親子の記憶が静かに重なり、怪異の奥に深い喪失感を浮かび上がらせる。

家族喪失幻想都会

作品情報

孤独な脚本家が失われた家族の面影と出会い直す、幻想味を帯びた長編小説。

孤独な脚本家が失われた家族の面影と出会い直す、幻想味を帯びた長編小説。都会の空虚さと親子の記憶が静かに重なり、怪異の奥に深い喪失感を浮かび上がらせる。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
1987-12-01
ページ数
217ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784103606024
ISBN-10
4103606029
価格
1078 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

第1回(1988年) 山本周五郎賞受賞

レビュー

  • 涙腺崩壊不可避、感動のファンタジーノベル

    ずいぶん前のことになるが、片岡鶴太郎の演技が印象的な映画版を観て、とても感動した作品。それでも感動の大きさはこちらの小説版が上回る。 とくに両親とのクライマックス・シーンは涙腺崩壊不可避なので、カフェや電車内で本書を読むときは要注意だ。またケイのキャラは映画とはかなり異なり、こちらとのクライマックスも実に切ない。 家族愛の感動の物語として、万人に大いにすすめたい。

  • 映画鑑賞後に読みました

    再映画化された英国版「異人たち」、オリジナルの邦画版「異人たちとの夏」を鑑賞後、原作にも興味がわいて読んだ。 邦画のセリフはかなり原作に忠実とわかり、嬉しかった。浅草に住む両親のテンポよい会話に、映画のシーンを思い出す。 子を思う親の気持ち、親を慕う子の気持ちは、国や時代が変わっても普遍的で、原作を読んでも映画2作と全く同じシーンで涙が出てきた。

  • 夏の夜は死者たちも人に会いたい

    この作品が、アンドリュー・ペイ監督によって映画化され、2024年4月末日本上映と言う情報を知った。『不揃いなリンゴたち』等で著名な脚本家山田太一氏の唯一の英訳本になる『Strangers』も2003年に出版されたことも知った(Amazon Kindleで読める)。映画も1988年に松竹から『異人たちとの夏』と言うタイトルで上映され、遠い昔のことになるがひどく感動したことを覚えている。本小説は1987年の出版で、山本周五郎賞受賞を得たと知った。急に読みたくなった。 一夏の幽霊ファンタジーである。夏に幽霊がでるのは日本の伝統だが、しかし何という気持ちの良い出現であろう。幽霊は主人公で脚本家である原田が12歳の時に事故死した両親である。ある日仕事の帰り道、ふと訪れた浅草の一角に、かつて親子が住んだアパートが現れ、亡き父親から寄って行けと誘われる。両親は死亡した当時の30歳台で、48歳にならんとする息子だが、年下の両親を「お父さん・お母さん」と呼んで違和感がない。 私も早いうちに両親をなくしているので、今の自分より年老いた両親というのを知らない。思い出す両親は常に健やで私は子供である。映画に感動してから30余年後、改めて本書を読む自分は、原田の喜びと戸惑いに現実感がある。いやこれは過剰な「読み過ぎ」だ。原田は気さくな両親に誘われるままに何度も住まいを訪ねることになる。離婚して将来を見失いがちになっている原田は、両親から励まされる。 両親と会ううちに、原田自身は気付かないが、体がどんどん衰弱してくる。それを友人に教えられ、これ以上両親と会ってはいけないのだと悟る。最後のお別れに、外出して鋤焼きでも食べようと誘うと、「そう好きなようには出来ないんだ」と言いつつも承諾する。さすがに浅草寺参りには行かない。鋤焼き屋の二階で、両親は自分たちが「死者」であることを告げ、静かに消えて行く。 幽霊はもう一人登場する。原田の住むマンションは事務所化され、管理人も帰宅し夜は無住となるが、一人若い女が住んでいることがわかる。或る夜、その女が寂しいので一緒に飲みたいとやってくる。その日苛立っていた原田はすげなく拒否してしまうのだが、女が帰ってから不吉な予感に襲われ、外に出て彼女の部屋に電気がついているかを確かめたりする。その後にエレベーターホールで再会し、安心した原田はケイと名乗る彼女を部屋に誘って飲み交わし、男女の交際が始まる。 原田の容態の変化に気づいたのもケイで、「この人を助けて」と必死に祈る。原田はケイに亡き両親と会っている話をしてしまうが、「絶対にもう二度と行かないで」という哀願を無視して先の鋤焼屋での逢瀬となる。この別れの後、瀕死の状態で帰宅した原田を彼の部屋で献身的に看護するケイを、心配して訪れた仕事仲間が会い、彼女の体が透き通っていたと言う。両親の最後と同じだが、原田は信じない。 買い物から帰ってきたケイは、友人が原田に無理矢理に手渡した数珠を見るやいなや、原田に冷たい眼を見据えて本性を現す。「私を信用しなくなったあなたとはもう一緒にいられない」と行ってじりじりと近づく。体が麻痺して「殺される」と覚悟する原田を置いてケイは天空に消えて行く。後で管理人から原田が入室を拒否したあの夜、女はナイフで胸を突き自殺したのだと知らされる。 幽霊に取り憑かれると体が衰弱して行くという話は現実味がある。両親を「善霊」とすればケイは「悪霊」とされるかもしれないが、だがケイは両親に取り憑かれた原田を助けようと必死に祈ってくれた。決して悪霊ではなかった。生きている人と同じく幽霊も寂しいのだ。夏の夜は愛していた人に憑きたくなるのだろう。 なんと心地良いファンタジーだろう。今は亡き山田太一氏(1934年6月6日生まれ、 2023年11月29日死去)を心から追悼する。

  • 最後まで引き込まれるストーリー

    まず、全体のボリューム感も少なめで、文章も読みやすい ストーリーは日常に潜むファンタジーで、ホラーの要素もあるが、とても上手く融合。 東京という都会の中に潜む闇の部分を上手く表現。 物語の最後は、読み手の解釈によって誰が主人公を守っていたのかがガラッと変わるところも面白いと思った。 海外で映画化されると聞き期待していたが、なぜか同性愛者の設定にされてしまい、トホホな気分になった。

  • 面白いけど

    テレビの世界と思う

  • 良いです

    浅田次郎を思わせるような設定。序盤からこころの中をぐりぐりとかきむしられます でも、状況の設定など読み進めるとだんだんと。 良い本でした

  • 印象深い物語

    NHKFMの朗読の世界で取り上げられたので知ったがとても優れた短編で印象深い物語。

  • 泣ける

    ストーリーがわかってても随所で泣けてしまいます。不思議な本です。

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