日本の文学賞

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新徴組

中山義秀文学賞

新徴組

佐藤賢一

幕末の新徴組を題材に、時代の転換点で揺れる武士たちを描く歴史小説。組織の名に隠れた個々の選択と矛盾が物語を動かす。

歴史小説幕末武士

作品情報

新徴組は、佐藤賢一の受賞作として刊行形態でも確認できる作品です。

新徴組は、新潮社から刊行が確認できる佐藤賢一の作品。受賞歴と書誌情報を合わせて読むことで、同時代の文学賞が評価した題材や語り口を追える。

書籍情報

出版社
新潮社
発売日
2010-08-01
ページ数
480ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784104280025
ISBN-10
410428002X
価格
2880 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

Amazon.co.jp: 新徴組 : 佐藤 賢一: 本

レビュー

  • 何故新書版が本屋に出てないのかが不思議

    某歴史読本のサイトでこの本を知り 本屋さんを探し回りましたがどこにもなく しょうがなく中古で購入しました。 この作者の独特の文体で なじむまでに時間を要しましたが 内容はとても面白かったです。 大河になったら・・・とも夢想しましたが やられまくった地域の方にはきっとつらいだろうと考えてしまいました。

  • 知名度の低い幕末の庄内藩を上手く料理した一冊

    フランス歴史小説で名を成した佐藤健一は、旧庄内藩の鶴岡出身である。 さほど世間で知られていないが、戊辰戦争では幕軍として連戦連勝したうえで最後に官軍に降伏した藩だ。 会津はもとより、司馬遼太郎が有名にした河井継之助の長岡藩と比べてもあまりに知名度が低いと思っていた。 そんな庄内藩(と指揮をとった酒井玄蕃)を遂にしかるべき作家が小説にしたのが、本書と言える。 ただ郷土愛にとらわれた作品にならず、新選組の兄弟組織である新徴組を前面に押し立てたところに、 佐藤賢一の職業作家あるいはエンターテイナーとしての才が感じられる。 主人公は沖田総司の義兄で、所帯染みて勇躍できないながらも秘かな実力を内に持つ沖田林太郎。 そんな彼が新徴組を預かる庄内藩幹部の酒井玄蕃に惹かれ、身を預けて活躍していくというプロットだ。 幸いにして西郷との縁で、会津と異なり庄内藩は大きな遺恨なく明治という時代を迎えることができた。 そのおかげで本作品も悲劇で終わらず、爽やかな読了感でもって締めてくれている。なかなかの好著だ。

  • あ―、面白かった!

    この作品を読む直前に同著者の「女信長」を読んでしまったので、ある意味"戦々恐々"、もしかしたら「女信長」同様ワラッチャウ(笑うしかない)お話かもしれない…と覚悟しながら読み進めた。 が、心配は杞憂だった。いや〜面白かった! …これから読む方の為に、筋は書きたくないので書かないが、痛快で爽快。おまけに、気っ風のいい男ばっかり出てくる。 主人公側の人物ばかりではなく、敵役の人間だって…おっといけねぇ、うっかり色々書きそうになっちまったぜ! 何はともあれ、読みごたえのある史実系エンターテイメント!…そう、これはエンターテイメントだから、重厚感や教養感、また史実への忠実性ばかりを読書に求める人には合わないかもしれない(でも、そういうものを読みたいなら学術系を読めばいいんだしね。私はどっちも読んで、どっちも面白がってます)。 人物が描かれていないという他レビュアーさんのご意見もあるが、人間以外の、"史実"をも"主人公"にして描くには人間ばかりに比重を置いてもいけないわけで、絶妙な配分だと私などは思いました。 その上で且つ、登場人物各々がとってもイイんだよぉ〜。強いだけじゃなくって、人間らしくて…って、またまた色々書きそうになっちまった(笑)。 「女信長」は強いて薦めないけれど(ワラエルのも楽しめる人には薦めますヨ)、「新徴組」は色んな人に是非とも楽しんで頂きたい。 佐藤賢一さんの"日本物"を読んだことがない佐藤ファン諸氏にも是非お薦め。 …「新徴組」を読んだら「ジャガーになった男」を久しぶりに読み返したくなったなぁ。この2作、読後の「あ―、面白かった!」感が似ていると感じるのは私だけか(笑)? というわけで独断ではありますが、この本が面白かった方には「ジャガー…」もお薦めします。

  • 着眼点がよく、臨場感のある小説

    本小説の特徴は、数ある幕末ものの中でも珍しい視点の置き方にある。 第一章は新徴組として江戸で話が進む。同じく浪士組から分離した新撰組の方は 多く取り上げられているが、江戸に帰ってきた新徴組に光を当てる小説は 珍しい。 第二章は庄内藩を主役として戊辰戦争を描いていくが、こちらも薩長でも 会津でもなく庄内にフォーカスしたところがあまり例のない着眼点である。 また、作者の出身地である庄内の文化や民俗の話も多く取り入れられており、 庄内竿など同じ山形県人でも知らないネタもあった(私は山形市出身)。 先日、実物を鶴岡市内の博物館で見たが、7mはあろうかという長い竹竿だった。 作者の小説の特徴として、台詞の外にも登場人物の心情が沁み出してくるような、 いわゆる一人称ナレーション的な語りを多用するが、この作品の場合は 粋で気の短い江戸っ子の主人公とうまくマッチしていてよいと感じた。

  • 西洋歴史小説の旗手がおくりだした、痛快幕末史話

    1862年、江戸で結成された浪士組は、 将軍警護を目的に京都へ向かいますが、隊を率いる勤王家清河八郎と幕府側との思惑の違いから、分裂。京都に残った近藤勇たちは、やがて新選組を結成することになりますが、江戸に戻った浪士組は新徴組に改組され、出羽庄内藩(現山形県鶴岡)のあずかりとなる。 一字違いの新選組と新徴組は、いわば兄弟か従兄弟同士のような存在。新徴組は江戸では市中警備に活躍(なんと「おまわりさん」の起源も新徴組だとか)、大政奉還後は庄内で戊辰戦争を戦うことに。 新選組に隠れた「影」のような存在だった新徴組に、見事に光が当てられました。主人公は新徴組隊士で沖田総司の義兄、沖田林太郎。もう一人の主人公は、戊辰戦争で庄内藩二番大隊を率い、各地で西軍(新政府軍)を撃退、「鬼玄蕃」と怖れられた酒井吉之丞。文句無しのエンターテイメント作品であるとともに、薩長ではなく、東北の側からみたこの戦争の本質をとらえた快著です。

  • 西洋歴史小説の雄/佐藤賢一が『女信長』に続いて再び日本史の分野へと乗り出した意欲作

    新徴組とは、尊皇攘夷あるいは倒幕運動によって日本が正しく激動の渦中にあった江戸時代後期に結成された江戸幕府による警備組織。この浪士組のうち、京都に残留して治安維持活動を行った一団が、あの有名な新撰組である。本作では沖田総司の義兄で、新徴組の組頭も務めた沖田林太郎の視点からの「幕末」が描かれる。個性的な人物像や派手な逸話に事欠かない新撰組に対して、おそらく文献的にも非常に乏しいだろうこの新徴組という素材を、しかし佐藤賢一はうまく料理している。なにより嬉しいのは、『女信長』では不足がちだったジェットコースターのような感情の乱高下を伴う描写が、ここではビシバシと炸裂していること。この乱暴なまでの昂揚感は、ちょっと他では味わえない。 庄内藩預かりとなって江戸市中警護に尽力し、やがて東北の地へ転戦し官軍との激闘を繰り広げる新徴組。その渦中にあって義弟・沖田総司の身を案じ続け、同様に実の息子・芳太郎との関係にも心を砕く林太郎の姿にギュッと胸を掴まれる。そこには攘夷や勤皇といった理想や大義へ簡単に淫することのない強さが見える。と同時に、守るべき"本当に大切なもの"が身近に肉薄しているだけに、その剣は「後ろ向き」にならざるをえない。物語は、そんな林太郎が己の剣を取り戻していくサマを、著者特有の時代と共振するかの如きダイナミックなグルーヴに巻き込みながら展開して魅せる。これが、面白くないわけがない。人間的に非常に親しみを感じる庄内藩士の人柄や、藩の若き重役/酒井吉之丞の天才性と豊かな人間味など、林太郎と周囲との素晴らしい関係性で読み手をその内に惹き込みつつ、物語は息を呑むクライマックスへと雪崩れ込んでいく。葛藤や混沌ののち、色々なものが「通じて」視えたラストが、なんだかとても良かった。あぁ、この人は日本史の分野でも十分に闘えるなぁと思った快作。と同時に、『小説フランス革命シリーズ』やその他と並行してこんな作品が書けてしまう作者の異能っぷりに恐れ入りました。

  • 題材はおもしろいのだが、人物群の魅力がうまくでていない

    新撰組の元になったのが清川八郎により組織された「浪士隊」であったことは有名な話だが、近藤勇ら新撰組の創設メンバーを残し江戸に戻った「浪士隊」のその後の顛末はあまり知られていない。その後、庄内藩預かりとなり「新徴組」と名を変え、江戸市中警護にあたり戊辰戦争まで戦うことになっていたことは本作で始めて知った。 作品は沖田総司の義兄、この新徴隊に属した沖田林太郎の目を通して描かれる。 描かれるのは新徴組の顛末、それから庄内藩の若き俊英、酒井玄蕃。20代の若さだが、戊辰戦争では無類の将才を発揮し官軍に連戦連勝、鬼玄蕃と恐れられた人物だ。 作品のほうだが、著者のいつものスタイルが頑なまでに踏襲され、主人公を中心とした人物の視点の下での描写が続く。多少、視点の持ち主は変えてはくるが、変化自在とまではいかない。普通の小説や、エンタテイメント色が強い歴史小説であればこれでもいいのかも知れないが、本作のように史実の則り歴史の動きを背景にした歴史小説の場合では、この視点の固定化は、描写の自由度が無くなり、読んでいても見通しの悪さが常につきまとう。 著者の「フランス革命」シリーズでも同様だが、そこまで人称問題を律儀に守らなくてもいいのではないか、という印象が残る。 かといってエンタテイメント色が強い歴史小説のように、登場人物が魅力的に描かれているかというとそれも弱い。公正に描いているとも言えるが、人物の描写への踏み込みが2、3歩足りないイメージだ。主人公沖田林太郎はじめ、キャラが立っていないというべきか。酒井玄蕃など、幕末の動乱期に綺羅星の如く現れた幾多の人物群の中でも決してひけをとらない資質がある人物と思われるが、十分に生かしきれてない。 その分、人物への感情移入も弱い。なんとも残念。

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