作品情報
新田次郎文学賞で受賞となった、杉山正樹の『寺山修司・遊戯の人』。
『寺山修司・遊戯の人』は、杉山正樹による作品。新田次郎文学賞の対象作として、作品の構想や語り口が評価された。読者は、文学賞, 人間, 物語を軸に、受賞当時の文学的関心をたどることができる。
書籍情報
- 出版社
- 新潮社
- 発売日
- 2000-11-01
- ページ数
- 302ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784104414017
- ISBN-10
- 4104414018
- 価格
- 1760 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
Amazon.co.jp: 寺山修司・遊戯の人 : 杉山 正樹: 本
レビュー
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「テラヤマ愛」に満ちた本。「覗き見事件」は冤罪です!
寺山修司は毀誉褒貶の激しい人だ。その溢れる才能は、ジャンルを軽々と乗り越え、短歌からはじまり、小説、演劇、歌謡曲といろいろな分野で活躍した。 だが、一方では「ホラ吹きだ」「盗作」などの非難も多く、一般にはちょっとうさんくさい感じの人だった。そして、寺山のネガティブなイメージを決定づけたのが、1980年に報道された住居への「不法侵入」と「覗き見」だった。この事件以降、寺山の世間での露出は減っていった。 私自身を振り返っても、寺山は私の故郷青森県出身であり、太宰治とならんで高校生の私にとってのあこがれの人であった。高校3年の時、寺山が選者をしている雑誌の詩のコーナーで私の詩がとりあげられた時の嬉しさは今でも覚えている。だが、この「覗き見」事件はちょっとショックで、これ以降、寺山の本を読むことはなかった。そして、この事件から寺山のメディアへの露出は減り、3年後に亡くなった。 しかし、著者によれば、この「覗き見」は冤罪であるという。都市論としての「路地」を執筆しているなかで、持ち前の好奇心でうろうろしているなかで不審に思ったアパートの住人に通報され、全国紙がこの事件を揶揄を交えて記事にしたことによる、という。また、「盗作」と批判されるが、古今東西のさまざまな作品を引用し、新たな自らの作品をつくりあげる我田引水の天才、日本古来の「本歌取り」にも似た手法を駆使したのが寺山だという。 読んで率直に嬉しかった。そして、私と同じように寺山修司から離れていった人がいたら、ぜひ本書を読んで欲しい。アマゾン書評で著者に悪意があると評している人もいるけど、どうしてそんな評価になるのか理解できません。むしろ、冤罪をはらそうという「テラヤマ愛」に満ちた本であり、私のように誤報で「テラヤマ離れ」した人にとっての朗報です。
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なんか恨みでもあるの?
繰り返し繰り返し寺山修司の汚点や新聞沙汰になった事柄を詳細に結構上から目線で、 記述している。 その怨念たるや凄まじく、「なんか恨みでもあるの?」と問いたくなる。 のぞき事件の通報者にインタビューする体を張った取材がもっとも白眉か。 ただ、この著者は何かしらのコンプレックスはあるようである。 じゃないとこういう著作など書かんだろう。 忘れかけたスキャンダルを思い出すにはうってつけである。 寺山修司のスキャンダラスな業績を調べるなら十分ではないでしょうか。
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どうして、こういう風な酔った様な文章を書くのでしょうか?
兎も角、読み終えるのに時間がかかりました。どうしてか?と考えてみると、著者の少し自分に酔った様な文章のせいかと思われます。寺山修司を研究論文に選んだ学生を相手に、対話する様な文章体で書かれています。あとがきで「寺山修司をテラヤマの方法で書こう」「あしながおじさんとさかさまにした書簡体評伝」と目指した様に言っていますが、どうにも少々気色悪い文体でした。だから読み難くて仕方が無いと感じたのは自分だけでしょうか?まるで女子学生に語り掛ける様な丁寧な文章ですが、「取材ノート・覚書から抄出してゆきます」(P105・156・171)の部分は「~いる・ある・かった」と断定調になります。ところが、第11信(P203)は、全部がいきなり断定調です。どうしてなのか? なんにしても、その間に色々とエピソードをはさみ、著者なりに寺山氏の姿を描こうと懸命なのは伝わってきますが、なんとも雑多に詰め込んであるので、読んでいてあまり感動しません。第12信(P216)では、血液型とからめるなどますます独断的になります。加えて同じ第12信では妙に外国の知識人の名前を羅列し、思想用語を羅列しているのは、アカデミズムとは無縁なペダンチックな自己顕示としか思えません。(ユリイカ・文藝の元編集著との著者歴に、なるほどと思わされました) 著者は確かに寺山氏と親しく、その人物をよく知る人だったのでしょうが、多くの取り巻きと同じく「俺だけが知っている!」という風に寺山氏の本当の姿を捉えたつもりで、捉えていない。時として迫っている様で、人物像の描写に失敗しているとしか思えません。エピソードの羅列が参考になったぐらいで、なんだか、シンドイ一冊でした。期待して読んだのですが、もう少し別の書き方があったのではと惜しまれます。
関連する文学賞
- 新田次郎文学賞 第20回(2001年) ・受賞