私は歌い、亡き王は踊る (C・NovelsFantasia お 4-1)
処刑を逃れた少女が、王家の存亡に関わる秘密を抱えて匿われるファンタジー。歌と亡き王のイメージが、失われた国の記憶を呼び起こす。
作品情報
私は歌い、亡き王は踊るは、岡野めぐみの受賞作として、題名のモチーフから作品世界へ読者を導く。
処刑を逃れた少女が、王家の存亡に関わる秘密を抱えて匿われるファンタジー。歌と亡き王のイメージが、失われた国の記憶を呼び起こす。
レビュー要約
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題材の明確さと読みどころの強さが評価されている。物語や論述の推進力があり、人物やテーマに踏み込む構成が読後の印象を残す。
書籍情報
- 出版社
- 中央公論新社
- 発売日
- 2012-07-24
- ページ数
- 237ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784125012094
- ISBN-10
- 4125012091
- 価格
- 53 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
歌うことを禁じられ育った少女リセ。父の謀反で処刑されるところを森に暮らす謎の貴人に匿われて。第八回C★NOVELS大賞佳作作品
レビュー
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長所が見つからない
長い上にネタバレ&酷評を含むので、気になる方は読まないでください。 こちらのレーベルの新人賞受賞作は良質な作品が多いので殆ど読んできましたが、 初めて投げ捨てたくなる作品に当たりました。 定価で買うのはお勧めしません。 第一に、文章に難がある。 ・説明臭すぎる説明。なのに殆どが伝聞・推測交じり (辻褄は合うけど、全体的に言葉の重みや説得力に欠ける) ・下手糞な翻訳小説でしか見ないようなダラダラと長く、回りくどい文章 (日本語として間違ってはいないものの、スッと頭に入ってこない悪文) が頻出します。 主人公が一人で行動している時の文章はさほど酷くないのですが、 会話そのものと会話を挟む部分の文章がくどくてイライラさせられました。 第二に、唐突な展開&マンネリな事件解決が続きます。 物語の転換点になるような大事件は、 主人公が寝ている又は気を失っている間に発生します。伏線はありません。 目覚めたら○○!!さらに新キャラ登場!!というのが3回。 このうち2回は見知らぬ場所で目覚めています。 さらに、主人公が危機に陥った時の行動は、逃げる・泣いて助けを求めるの 2パターンだけしかありません。ハッキリ言って無能です。 毎回クレハかリューイ、または二人が駆けつけて助けてくれますが、 戦闘シーンは描かれないか、描かれても権力または能力を使ってチュドーン! はい終わりという程度なので、爽快感がありません。 また、クレハとリューイはヒーローポジションのはずなのに、 日常パートがヘタレ&お子様過ぎて私にはイマイチ。 (ヘタレ萌え属性や駄々っ子萌え属性を持っている人なら楽しめるかも) 唐突な展開の後で会話による怒涛の事情説明が入るのもお約束で、げんなりします。 しかも、その説明役は大抵が前触れもなく突然現れた人物です。 特に夜中に主人公の寝室に侵入して誘拐しようとしていた男が、 主人公の家の家庭の事情にまで踏み込んだ事情説明(全て伝聞と仮説)をしたときは、 その話を信じるより先に誘拐犯か変態として問いただすべきじゃないかと思いました。 第三に、私はどうしても主人公の言動が納得できません。 主人公は、反逆罪で両親と妹が処刑されたと告げられますが、 驚く・泣く・悲しむ・納得できないと憤る等の言動は一切なく、 父親が国王を怒らせたのだろうとあっさり受け入れ、真っ先に我が身の心配をします。 心配と言っても命の心配ではありません。生活面の心配です。 (主人公の身代わりに小間使いが処刑されているため追っ手の心配はしていない) 家族の死を知らされた時の反応については、 両親から疎まれ、愛して貰えなかったから泣けないと主人公は言っています。 でも憎んだり恨んだりしているわけではなく、家族の事が好きだったとも書かれており、 身勝手・酷薄さの言い訳をしているだけのような印象を受けました。 中盤には、両親は、特殊な力を持つ主人公を守り、一人でも生きていけるように、 突き放して育てたのだという説明がなされます。 それを知った主人公の反応は、 ・自分は嫌われていなかったのだと安心する。 ・それよりも愛していると言葉や態度で示して欲しかったと言って泣く。 だけで、両親への感謝や、その死を悲しんだり悼んだりする描写は結局最後までありません。 (伝聞と推測交じりの話を聞いただけだから、私と同じように主人公も納得できてなかった?) また、前述の身代わりで殺された小間使いについては完全にスルー。 よほどその小間使いが嫌いだったのかもしれませんが、本文にそのような記述はありません。 (そもそも小間使いに関する描写がほとんどない。主人公に家事全般を叩き込んだ人物と同じ?) なのに、作中では感情欠落や冷酷、自己中、悪役というキャラ扱いでないのが逆に凄いです。 この本の帯には > それぞれの事情を秘めた3人の<家族>に > 選考会は涙―!! > 少女は<帰る処>を手に入れた とありますが、他者に対する思いやりに欠け、 自分の為にしか泣かない主人公の言動で感動するのは、私には無理でした。 それとも、審査員は「親や主君が各キャラに向けていた愛情の報われなさ」の方に涙したのでしょうか。 それならまだ納得できます。 あとがきには「少女の成長物語」とあったけど、成長したとは思えません。 作中で1年以上たっているらしいので、身長が伸びた=成長というオチ? 最後まで不満が残りました。
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分冊して欲しかった
特殊な力を持った少女と、彼女と対になる力を持った小さな主、大きな従者の邂逅と別れの物語。 面白かったです。 主要人物の誰もが魅力的で、上記の三人が出揃った辺りから途端に物語に引き込まれました。 頼りなさそうで意外なスキルを持ち、その実力に無自覚な主人公。頼りがいがありそうで、所々ぬけてたり大切な者に対し直向きなまでに必死な従者。そして暴君なようで愛らしい無邪気さと老成した冷静さを備える主。いつまでもこの三人のやり取りを見ていたくなる組み合わせです。 ……そんな登場人物が魅力的なだけに、所々で気になる部分が散見しました。 まず冒頭に特に目立つ連用止めの多用が見られ、やたら一文が長い詩文を見ているようで始めの内は目が滑りました。 場面運びも強引な箇所が何カ所か目立ち、おいてけぼりをくらう事も。これは設定の組み込み方にも現れ、例えば本編で魔術的要素が出てきた際にも事前の仄めかしもなく唐突感が否めませんでした。 そして一番肝心なのは、キャラクター及び設定の掘り下げの不十分さ。これは終盤に入り突如として現れ、やはりあっさりと退場していく(主人公にとっての)敵役を筆頭に、タイトルにある二人の「亡き王」達にも言える事だと思います。 単純にキャラ読み恋愛or成長物として見れば十分なのかもしれませんが、物語の要たる特殊な力を持つ血に関しても浅く引っ掻いてむず痒いままという印象が残ります。 恐らく、一冊に纏めるには無理があったのでしょう。物語の引き込み方から力の無い作者さんでは無いと思うので、丁寧に書き込んでいけるよう分冊でなかったのが読者として悔やまれます。 ……と、長々と文句ばかり目立ってしまいましたが、上記を惜しく思うぐらい内容が面白かった事だけは最後にもう一度明記しておきます。