そっと耳を澄ませば
『そっと耳を澄ませば』は、三宮麻由子による作品。日本エッセイスト・クラブ賞の2001年回で受賞に選ばれ、同時代の文学・出版の中で評価された。
作品情報
日本エッセイスト・クラブ賞で受賞となった、三宮麻由子の『そっと耳を澄ませば』。
『そっと耳を澄ませば』は、三宮麻由子による作品。日本エッセイスト・クラブ賞の対象作として、作品の構想や語り口が評価された。読者は、評伝, 記憶, 人物像を軸に、受賞当時の文学的関心をたどることができる。
書籍情報
- 出版社
- NHK出版
- 発売日
- 2001-02-01
- ページ数
- 242ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784140805824
- ISBN-10
- 414080582X
- 価格
- 1650 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/エッセー・随筆/日本のエッセー・随筆/近現代の作品
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レビュー
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きれいな本でした。
きれいな本でした。おまけに内容もよく、心が洗われるような、名文でした。
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聴覚の世界に教えられました。
障害者と会ったとき、助けたいと思う。しかし、(どうやって???)と迷う。結果として彼らを避けてしまっていた。そんな私が初めて視覚障害者の世界に触れた。 聞いたこともない聴覚の世界である。たとえば、雨の日の雨だれ楽器。音聞き遊び。白状の教え…などなど。そして思いがけないのは、著者と健常者の「話しかけあう」話であった。突然、電車の中でおばさんが「ねぇ、どうして友だちが来るのが解るの。」と、聞かれた。著者が「鈴の音がするから」と答えた。その翌日から、そのおばさんが席取に協力してくれた。そして数日後、別のおばさんが席を譲ってくれた。ここには著者に聞こえる聴覚の世界とおばさんの小さな勇気があった。 つまり健常者が感じない世界を障害者は捕らえる。もし彼らが困っていたら、彼らしか解決方法を知らないんだ。今までの私の迷いを解いてくれた。
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音を、触って、"見る"。
目が見えない著者が書くエッセー集。 だから、「聴覚」や「触覚」がメインになることは想像できましたが……その感性の鋭さと表現力の大きさに驚かされます。 特に「花火」のくだり。そもそも花火は目で見て楽しむもので、見えていないと危ないもの…という認識だったのですが、彼女はその「音」がすごく好きだそうでして。 そしてそれを説明し始めるのに、手持ち花火に音楽を用い、打ち上げ花火を「空の高さの音」と言う。そんなこと考えたこともなかったし、なんて素敵な世界だろうと思う。 その他にも「そんな風に感じるのか」という、目が見えないからこそ見えてくる、めくるめく新しい日常に誘ってくれます。 ライトに書かれてはいますが、視覚的な表現は限られていて、自然、晴眼者はいつもの読書以上に想像力を働かせなければいけないため、ページ数にしては長時間かかりました。視点ならぬ聴点が広がり、いつもの景色をさらに広く、深めてくれる一冊です。
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今の幸せに気づける人間でありたいと思いました
『人生を幸福で満たす20の方法』で麻由子ワールドに魅せられ、すぐに『そっと耳を澄ませば』を買い求めました。 快活さ、好奇心、おおらかさ、諦めない気持ち…これらが麻由子さんの芯になっているのでしょう。 たいへんに明るいタッチのエッセイだと思いました。 また、ざわざわとした日常に身を置きながらも、聞こえてくる音や声に耳を澄ましたいとも思いました。 向上心と不平不満の境を見誤っている人が多いかもしれません。 今の自分の状況で十分に幸せだと思えること自体が幸せであり、次の目標に向かって自分を向上させて いけばよいのですね。 今の幸せに気づかないでいると、人は不平不満の塊のモンスターになるのかも。 さわやかな、耳を澄ましたくなる緑葉の表紙も素敵です。 葉のそよぎ、鳥のさえずり、天道虫が飛び立つ音など、聞こえてきそうです。