作品情報
罪と罰を知っているような異星の獣が、物語の中心に立つ。
表題作を含む宇宙SF中短篇三作。罪と罰の概念を思わせる異星生態を軸に、法と暴力、進化と社会の関係を鋭く描く。
レビュー要約
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異星生態と法概念の組み合わせという奇想が高く支持されている。スケールの大きさと読みやすさの両立を評価する声が目立つ。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2022-04-25
- ページ数
- 352ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 1.3 x 10.8 x 15.7 cm
- ISBN-13
- 9784150315207
- ISBN-10
- 4150315205
- 価格
- 1100 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
緻密な驚きが星々に息づいている。 また新しい宇宙がSFに生まれた。 小川一水(作家) 高揚感・知的興奮に満ちた、 第一級のストレートなSFである。 山岸真(SF翻訳業) ハヤカワSFコンテスト出身の新世代作家が、生命の常識をくつがえす中短篇3作 解説:山岸真(SF翻訳業) カバーイラスト:加藤直之 惑星〈裁剣(ソード)〉には、あたかも罪と罰の概念を理解しているかのようにふるまう雄鹿に似た動物シエジーが生息する。近傍のスペースコロニー〈ソードⅡ〉は、人びとがシエジーの持つ自然法を手本とした法体系で暮らす社会実験場だった。この地でシエジーの研究をするアリスは、コロニーとシエジーをめぐる衝撃の事実を知り――戦慄の表題作に、ファーストコンタクトの光と影を描ききる傑作2篇を加えた、地球外生命SF中篇集
レビュー
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宇宙にとって人類とは何か
「主観者」の精緻でエキサイティングな、そして苦い、心を揺さぶる結末。 「法治の獣」の、全く先が読めない、ユニークな地球外生命のありかたにあぶり出されるヒトの業。 そして。「方船は荒野をわたる」の、寒々とした印象の冒頭からは想像もつかない、逆転逆転また逆転、の、刺激と興奮に満ちた結末。 経験から学ぶ。私たちもこうありたい、と、心から願います。宇宙にとって人類とは何か。SFにとって永遠の命題に、新たな解が示された、という感覚を強く持ちました。
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へんないきものの生態が好きな人に
まず、登場する「へんないきもの」たちが面白い。一見奇想天外ではあるが、ひとつひとつそうなった要因を説明されると納得感があって、純粋に思考実験的な部分が面白いのである。他作品を持ち出すのはマナー違反かもしれないが、オラフ・ステープルドンの「スターメイカー 」や、グレッグ・イーガンの「白熱光」、劉慈欣「三体(の三体人の生態)」とかその系統の面白さである。 そして、3編はそれぞれ、元地球人の立場から異星の生き物を観察する形で描かれる。この観察している者たちの間にも思想や政治や知的好奇心といった原動力があって、そこにも物語があって、生物に影響を与えたり、生物から影響を受けたり、というのがこの作品の特徴か。
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凄く読みやすい、そして面白い
オーラリメイカー作者の短編集、個人的にはオーラリメイカーよりも好き。 積んどかずとっとと読めば良かった。 絶望のファーストコンタクト、表題の社会実験物、2編連続で絶望や混乱の描いて最後に真逆の希望に満ちたファーストコンタクトと別々に読むより一気読みがお勧めです。 3編に共通テーマは主人公による観測・観察・分析かな?
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ファーストコンタクトものでかなりお勧めできる
同じ世界観を元にした「主観者」「法治の獣」「方舟は荒野を渡る」という3つのSF短編集。独特な単語もあるけど自分には読みやすく面白かったです。テーマ的なものを挙げるとすると「知性とのコンタクト」みたいな言葉になりそう。 前作オーラリーメイカーでは絶対にコンタクト不能な知性(異星種)と信仰を通じて向き合った種族を題材にして、締めは新たな出会いへの希望に溢れた清々しいものでした。 なのでそんな話になるのかなと思っていたら最初の短編「主観者」で他種族とのコンタクトにおける絶望が描かれ、本のタイトルにもなっている「法治の獣」では知性なき動物が自然淘汰から知性らしき行いをする残虐さを描き、何だか暗い話が続くなあと思っていたら3つ目の「方舟は荒野を渡る」で心打たれました。 短編集だからと一つ飛ばして読むなどせず、「主観者」から順に読むのをお勧めします。そうすると気持ちのいい読後感に浸れました。
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レムやイーガンから取った出汁が効いてる
すなわち、ここらが好きな人なら必ず好きになる作品です。 あと、概要だけ読んで即買いしてみたら、以前概要だけ読んで即買いした『オーラリメイカー』と同じ作者さんだった。春暮さん、もう覚えました。
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ユニークな視点
色々なアイデアがつまっていると思いました。
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世の中にはまだ新たなセンスオブワンダーを産み出す力がある
昔の自分はSFが物語る数多くのセンスオブワンダーに心を踊らせたものだったが、最近は実情報が多いせいか?歳をとって感動の幅を減らしてしまったのか?これはと思える物語との出会いが減ったように感じていたが、世の中にはまだまだ新たなセンスオブワンダーを産み出す力があるようだ。想定外の存在に対する最悪のファーストコンタクト。小野不由美の『黒祀の島』で神として祀り上げられた幻獣の名を持つ獣が、自然に獲得した規律により暮らしを営む惑星…獣の法は快不快を基準とした極端な民主主義で…。閉じられた系に発生した知性とのコンタクトは、握手しようとした手で相手を握り潰してしまう可能性が…?読み終わった後の震えるような感動、僕の感性はまだ死んでいないのかもしれない。
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非常にユニークな生命体像に感動、深い哲学的思索がハードだった
●本書には非常にユニークな地球外生命体が登場します。イソギンチャクとクラゲが合体したような 「ルミナス」、自分たちで造りあげた法に従って行動しているユニコーンの様な動物「シエジー」、 直径100m厚さ20mの巨大パンケーキ型の生命「方舟」。それぞれの形態的あるいは生態的な特徴を 微に入り細を穿って描写しています。読んでいて鮮明な映像を想起させ感動的。 それ以上に読み応えのあったのは、人類と地球外生命体とのコミュニケーションの困難さでした。 所詮、人類と地球外生命体との意思疎通など不可能ではないかと。それに加え知性とは何?あるいは コンタクトの度合いについても考えさせられます。第3話のラストシーンで垣間見えた過去来訪した であろう知性体の痕跡。人類の地球外生命体に対する接し方に、自分なりの心構えを自覚した姿にホ ッとした思いです。 深い哲学的思索が紙面を埋め、ハードすぎて読了するのが困難でした。
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- 星雲賞 第54回(2023年) ・受賞