別れ際にじゃあのなんて、悲しいこと言うなや
広島の中学二年生の少年が、冴えない仲間たちと過ごしながら、モテたい、格好よくなりたいという焦りに振り回される。タイ人の同級生クルンとの友情を軸に、ばかばかしくも切実な思春期を描く。
作品情報
しょうもない日々の奥で、少年たちの友情がまっすぐに輝く。
第20回ボイルドエッグズ新人賞受賞作を改題して刊行。平成の広島を舞台に、中学生たちが不器用に互いを認めていく。
レビュー要約
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男子中学生の背伸びや友情を飾らずに描く点が好まれている。
書籍情報
- 出版社
- 早川書房
- 発売日
- 2018-06-19
- ページ数
- 240ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.1 x 1.6 x 18.8 cm
- ISBN-13
- 9784152097781
- ISBN-10
- 4152097787
- 価格
- 1508 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
1996年、中2のぼくはクラスの序列の底辺だったけど、かけがえのない親友がいた。タイ人の同級生クルンと「エヴァ」を通じ絆が深まる中、女の子にめちゃモテるため、「イケとる化計画」を実行し……トホホだけど温かい、ぼくらの〈広島版スタンドバイミー〉。
レビュー
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思い当たる痛み
広島を舞台にした中学2年生たちのスタンド・バイ・ミー小説ですね。エヴァンゲリオンを始めとする1990年代の特に意味のないサブカル・アイコンを散りばめ、ユーモアにあふれた文体はとてもユニークなものでした。デビュー作だと思いますが、テーマも一本、筋が通っていますね。 「イケてない青春」を「イケてる青春」に変えようとする努力は、あの頃の自分にも思い当たるものとして痛みが伴います。そして、タイ、バンコクから来た友人とのエピソードは、同性でありながら、恋愛にも似た甘い思いに包まれています。目を閉じると、中学2年といえば、ボーダーのTシャツとスリムなホワイト・ジーンズに身を包んだとても綺麗な女の子を思い出します。その女の子は「中庸」という言葉を僕に伝えてくれました(T▽T)。過ぎないこと、十分であること。「中庸」は、足るを知ることにもつながります。 夜明けの街を新聞を配って走る二人の少年の息吹を伝えるとても美しいシーンがありました。作者には、いつの日かこの文体のまま(下に引用したような文章のまま)、広島の若い893たちの抗争を描いて欲しいと思います。ハードボイルドは、常に、切っ先の鋭い刃物でつけた、うっすらと血の出るような痛みとフィジカルな傷そのものを欲しています。 「夜明けの空は、海にカラーコピー機を沈めてカバーを開け放ち、海底にわずかに届く太陽光や潮の流れを、OHPシートに重ねて複写したような、そんな透明で奥行きのある色をしていた」