日本の文学賞

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穢土荘厳 上

女流文学賞

穢土荘厳 上

杉本苑子

奈良時代の長屋王事件から大仏開眼へ至る政争と信仰を描く、杉本苑子の歴史大河小説です。宮廷の権力闘争と庶民の暮らしを重ね、天平文化の光と影を描きます。

奈良時代長屋王事件権力闘争仏教

作品情報

華やかな天平文化の陰で、権力と信仰と人の運命が激しく交錯します。

藤原氏の台頭、長屋王一族の滅亡、大仏造立へ向かう時代を大きな視野で描いた作品です。文藝春秋から上下巻で刊行され、のち文春文庫にも入りました。

レビュー要約

  • 史実を厚く踏まえた人物描写と、宮廷内外の視点を行き来する構成が評価されています。長大な歴史小説として読み応えがある一方、政治過程の複雑さを重く感じる読者もいます。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
1986-05-01
ページ数
312ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163089805
ISBN-10
4163089802
価格
1320 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

Amazon.co.jp: 穢土荘厳 上 : 杉本 苑子: 本

レビュー

  • 奈良時代にはまりました

    大仏建立の意図と僧・行基の福祉活動に興味があって読んでみました。杉本苑子氏の作品は難しいかなと思ったのですが系図と辞書を片手に読破しました。登場人物も個性的かつ魅力的でストーリー展開も面白いです。教科書では知ることができない天平文化の奥深さを実感できました。

  • 人にとっての救いとは何なのかを考えさせられる作品

    昭和53年から58年までの五年間、月刊仏教雑誌「大法輪」に連載された作品。東大 寺の大仏建立に至るまでの政争と激動を描いている。物語は長屋王の変(729年)の 直前からはじまる。主人公は手代夏雄になるだろうか。左兵衛府の府生でありながら、 長屋王の資人(従者)でもある下級役人である。夏雄の主・長屋王はその時、危機を 迎えていた。聖武天皇の夫人・光明子が基皇子を生み、直後に皇太子に宣せられる。 幼児の皇太子など前例がない。明らかに藤原氏の専横である。このままでは政権は 藤原氏の意のままになる。懸命にその企てを食い止めようとする長屋王らの皇族たち。 形勢逆転を狙い、長屋王の妃・吉備内親王は王の実弟・鈴鹿王の"策"をもとに夏雄や 忍羽部綾児らを頼んで隠密裏の謀略をめぐらすが、その結果は予想もできない運命に 長屋王家を導いていく。この辺は並々ならぬ作家の力量を感じさせて、目を離せない。 もちろん史料で知る結果はご存知の通りだが、常に意外な仕掛けを用意するところが 杉本作品のすごいところだ。そして歴史はさらなる混沌に向かってゆく。(下巻に続く)

  • 深いです。

    二十歳の頃何気なく本屋で見つけて買いましたが、とても二十歳の若造の読みこなすような作品ではなく、すぐに読まずに手放してしまったのですが二十年近くたった一昨年もう一度挑戦してみました。とにかく深いんですよ内容が!!憎悪や妬みとか、絶ちがたい異性への思慕とか人間の心の奥にある深層心理を鋭くえぐるような文章での描写に感嘆しました。長屋王の変、安積親王の謎の死、聖武天皇の彷徨、そして大仏建立と立て続けにおこる歴史的事件の解釈は、あくまでも作者の想像にすぎないはずが、鋭く丁寧な心理描写のおかげで無理がなく説得力があります。飛鳥、奈良時代の歴史に興味を持ってるかたにお薦めの作品ですよ。

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