作品情報
雪深い山里での苦難が、若き武士を狼奉行へと鍛え上げる。
文藝春秋刊。家格に合わぬ役目に失意を抱えた若者が、狼の襲来や病の流行、山村の現実に向き合いながら成長する。直木賞受賞作として、地方史と人間形成を結びつけた時代小説である。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 1992-03-01
- ページ数
- 238ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784163131504
- ISBN-10
- 4163131507
- 価格
- 28 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第106回(平成3年度下半期) 直木賞受賞
レビュー
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「厦門心中」の切ない余韻が良い
直木賞受賞作を含む時代小説集。 「狼奉行」は、若き武士の成長物語。 将来を嘱望されていながら、御家騒動の余波で、雪深い山奥の代官に左遷となった青年。忸怩たる思いを抱きながらも、様々な自然の脅威や現地の人々との関わりから、武士としての生き方を学んでいく。 クライマックスは、狂犬病におかされた狼の群の掃討作戦だ。人生の苦境を乗り越えんとする姿は、教訓とまではいかないが、共感はできるだろう。【直木賞】 その他、日清戦争後の中国居留地の悲恋「厦門心中」、日露戦争後の山形での露西亜人俘虜たちと通訳の青年「小姓町の噂」。 「厦門心中」は歴史小説として面白いが、切ない余韻が良い。
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東北の山の中で
1992年に出た単行本『狼奉行』から「東洋暗殺」を除き、新たに「小姓町の噂」を加えて文庫化したもの。 「狼奉行」、「厦門心中」、「小姓町の噂」の3篇が収められている。 「狼奉行」は1991年の第103回直木賞の受賞作。江戸時代、東北の小藩での権力争いをテーマとした作品。狼やマタギなど魅力的な道具立てがおもしろい。あっけない幕切れが余韻を残す。 「厦門心中」は、ふとしたきっかけから死にいたる男女の機微を描いたもの。 「小姓町の噂」は、第一次大戦のロシア人捕虜と日本人通訳を群像として扱っている。