日本の文学賞

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都市伝説セピア

オール讀物推理小説新人賞

都市伝説セピア

朱川湊人

都市伝説の怪人に取り憑かれた男が、自らその物語の主役になろうとして狂気へ踏み込んでいくホラー短編。怖さの奥に、承認への飢えと物語に飲み込まれる人間の哀しさがある。

都市伝説ホラー狂気承認欲求

作品情報

都市伝説に憧れた男の告白が、人間の心の暗がりを照らす。

朱川湊人のデビュー作集『都市伝説セピア』に収録された受賞作。都市伝説という現代的な怪談の形式を使い、恐怖と哀感を同時に引き出す著者初期の代表的短編である。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2003-09-23
ページ数
264ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163222103
ISBN-10
4163222103
価格
2458 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

アイスマン,昨日公園,フクロウ男,死者恋,月の石

レビュー

  • 人間性

    世にも奇妙な物語で映像化された昨日公園のお話が好きで購入しました。 読んでみると、映像で観るのと違った感覚を味わう事が出来ました。 また、本書は短編小説で他にも幾つかお話が載っています。昨日公園だけでなく、フクロウ男のお話が面白く、とても刺激を受けました。 世にも奇妙な物語が好きな方は、結構嵌まると思います。 短編なので、文字を沢山追うのが苦手という方にもオススメです。

  • 家族に頼まれて購入。

    朱川センセイのファンの母が文庫を楽しみにしています。 中毒性すらあるのかもwww

  • 迅速な配送と暖かいメッセージ

    絶版になっているらしく、やっと見つけたので購入しました。 丁寧に梱包されており、購入者宛のメッセージも同封されておりました。 丁寧な対応に本を読む前から心が温まりました。また機会がありましたらぜひ利用したいです。

  • 終わりが読めてしまいます

    ノスタルジックな雰囲気は味わえますが、パターンが似ているので、読んでいるうちに終わりが読めてしまう人も多いと思います。

  • 『昨日公園』すごくいい

    このはなし、気に入った。 同じこと何回繰り返すんだ。 もう終わりにしないと、疲れて倒れちゃうよ。 などと思いながら読んだ。

  • ノスタルジーとホラーの融合

    朱川さんは、ノスタルジーをからめたホラーの名手です。 『花まんま』もそうですが、作者と同世代の、30〜40代の読者は、思わず、そういう時があった、とうなづきながら、読み進めます。かくいう私も同世代です。 逆に、万博、仮面ライダー、口裂け女など、同時代体験がない読者だと、その雰囲気が今一つぴんと来ないかもしれませんが。 5つの作品に順位をつけると、 1 昨日公園(ほのぼのホラー系) 2 月の石(ほのぼのホラー系) 3 フクロウ男(スプラッタホラー系) 4 死者恋(純ホラー系) 5 アイスマン(純ホラー系)

  • 様々なテイストのホラー短編集

    五編からなるホラー短編集。ホラーと言ってもおどろおどろしさ一律なものでなく様々なテイストの「都市伝説」が味わえる短編集。 「アイスマン」 心を病み高校を中退した少年が、夏祭りの神社の境内で10歳ほどの可愛い少女に魅せられ誘われて行った見世物バスで目にした「河童の氷漬」。一目見て偽物と分かったが人間の子どものようなリアルな小さな手が気になった。後年、大手印刷会社のサラリーマンとなった主人公がある夕、荒川土手に見世物バスを発見し「河童の氷漬」に再会する。それには「メス」と表示され胸には小さな膨らみがあった。主人公は25年前の少女との約束を守るため「河童の氷漬」をもらい受け、印刷会社を退職し倉庫会社の冷凍庫の管理人となり少女の永遠の守護者となる。ちょっとマニアックで薄気味悪くも切ない味わいの短編。 「昨日公園」 放課後の公園で共有財産のゴムボールで親友とキャッチボールをして遊んだ少年。夕食時に親友「マチ」が自転車に乗って自宅へ帰る途中、タクシーに撥ねられて死んだとの悲報が入る。少年は「マチ」を偲んで翌日同じ時間に公園に出かけると不思議なことに昨日のキャッチボール場面が再現される。少年は「マチ」を死なせないため今度は自宅まで送るが、「マチ」はお使いにでかけダンプカーに轢かれてしまう。三度目、四度目とタイムスリップは繰り返されるが、少年の努力は叶えられず火事、ガス爆発と「マチ」はより酷い死にざまで死んでしまう。少年時代の友情をタイムスリップのSF仕掛けでたっぷりしみじみ描いた作品。 「フクロウ男」 江戸川乱歩の小説の愛好者の主人公。「口裂け女」、「赤マント」等に続く新たな「都市伝説」を作るべく、それも単なる伝説でなく自分が主人公となる「フクロウ男」なる都市伝説をと積極的に演出かつ実演。遂に「フクロウ男」その物に化し母子惨殺劇まで起こす。この主人公が身を隠すアルバイト先のコンビニで親しくなった友人への手紙で真相を告白する形式で小説は展開するが、このフクロウ男が最後に告白する意外な事実とは? 最後のミステリー風の肩透かしには「ヤラレタ」と唖然として笑ってしまいましたが。どこかファンタジックな味わいもある作品。 「死者恋」 若くして雪山で頸動脈を切って睡眠薬自殺した画家に恋してしまった二人の女性。当事者の一人で死体のみを描くと言う老画家が彼女を訪れて来た女性フリーライターに恋敵の異常さをこれでもかと披露する。やがてウイスキー入りの玉葱の茶色の薄皮で作った紅茶だと言って飲まされていたフリーライターに異変が生じ硬直状態になる。そのとき老画家はニヤッと笑う。 最後のどんでん返しが印象的。上品な猫が化け猫になるって感じでしょうか。乳房を墓石にこすりつけるなどちょっとおどろおどろしい場面もあるオカルト味の短編。 「月の石」 障害者の家族持ちの課員をリストラの対象として名簿に載せたことに後悔の念を持つ課長。毎朝の通勤電車から目にするマンションの窓に佇む社員の幻影を見る。やがて田舎の独り暮らしのままに病死させてしまった母親が社員に入れ替わって現れる。 ある朝、主人公は思い切ってそのマンションの部屋を訪ねる。そこで目にしたものはーーーー 題名は主人公が子ども時代に家族で出かけた大阪万博で月の石を陳列するアメリカ館の入り口に殺到した時の母親の思いがけない「走り」に驚嘆したエピソードから来ているんですね。 不治の病で入院中の妻を抱えてもいる主人公の心の揺れを母親と言う郷愁感そのものを交え豊かに描いたしみじみした作品。

  • 昨日公園

    「昨日公園」を読みたくて購入。結末は知っていたが、読んでよかった。むしろ、もっと早く読むべきだった。作者はこの先は考えていないんだろうが、結局、主人公は「いつ、どんなふうに」? 気になる。 常識的に考えれば、公園から自宅までは翔一と一緒に帰っただろうから、そこでとは思えないんだが……。翔一の行動からもしかして帰路で? って気もするし。地方の単身赴任先へ向かう途中での出来事なのかな? 作者もマチの死因をガス事故(一応、理由が設定してあるが、無理がある気がするぞ!)とかに設定するからな。本当に主人公の身に何が起こったのか。 それに、主人公は「昨日公園」の特性、自分の経験から自分の身に降りかかる災難は最初から知っているはずなので、翔一があそこまで疲弊するのに違和感がある(絶対に早い段階で気がつくはず)のだが、細かいことは言っちゃいけない。とにかく、余韻が素晴らしい。 しかし、主人公もまだ40代半ばで小学生の息子がいるのに、悲しいね。この先、どうなるんだろう。

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