作品情報
北村薫の『鷺と雪』は、受賞歴と刊行形態を手がかりに読まれる作品である。
北村薫による『鷺と雪』について、単独の単行本・文庫・短編集として確認できる資料を優先し、掲載誌や雑誌号の識別子は除外した。受賞作そのものを対象に、刊行状況と書籍としての同定可能性を中心にまとめている。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 2009-04-15
- ページ数
- 261ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 19.4 x 13.8 x 2.1 cm
- ISBN-13
- 9784163280806
- ISBN-10
- 4163280804
- 価格
- 1364 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
日本にいるはずのない婚約者が写真に映っていた。英子が解き明かしたからくりは――。そして昭和11年2月、物語は結末を迎える
レビュー
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竊盗金魚 強盗喇叭 恐喝胡弓 賭博ねこ そして 騒擾ゆき
ベッキーさんシリーズの三冊『街の灯』『玻璃の天』『鷺と雪』を通読した。昭和初期を舞台にお金持ちのお嬢さまの英子と女性運転手のベッキーさんが探偵役となって日常の謎を解く中編連作小説。ベッキーさんは外人ではなく、運転手の別宮が採用されたときに英子が読んでいたサッカレーの小説『虚栄の市』に登場するレベッカの愛称で、ベック→ベッキーとなったもの。昭和初期の山手の風俗が特有の雰囲気をつくりだす。いろいろな本が絡んでくるが、山村暮鳥の詩の一節「騒擾ゆき」がドキッとさせる。
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昭和史に精通しているなら、より愉しめる
昭和初期、士族出身の上流階級の御令嬢と女性運転手(別宮=ベッキーさん)が日常の謎を解くシリーズ第三弾。 当時の出来事、活躍した人物など巧みに取り入れて、セレブな人々の日常を描いている。事件そのものより、こちらの方に興味を惹かれた。 もっとも昭和史に精通している読者なら、歴史の裏側への示唆など、解説で知識を補完しなくともより愉しむことができるのだろう。 ある華族の失踪「不在の父」、徘徊していた良家の少年の動機「獅子と地下鉄」、婚約者のドッペルゲンガーを見た同級生「鷺と雪」の三作品が収録されている。言外の意味を想像するという点では文芸作品よりだろうか。 シリーズを最初から読み進めないと登場人物への思い入れが少ないので、面白さは減衰してしまうかもしない。
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なんと表現するものか・・
なんとなく隔靴掻痒の感というかまだるっこしさがあります。 これってミステリーなの・・・という感じもぬぐえない。 非常に肩すかしを食ったような 面食らったような 待ち人来たらずのような 雷鳴轟けど雨降らず・・のような やるせない読後感でした。
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ミステリというよりは文学作品
この巻で完結。終わってしまってとても残念です。 昭和初期、東京の上流社会に生きるお嬢様、花村英子を中心とした連作は夢のように美しいお話から始まりましたが、ここに至りひたひたと近づいてくる軍国主義と戦争の影がいよいよ色濃く感じられます。 「不在の父」ご学友の行方の知れない叔父を探す手伝いをすることで、英子は貧民救済所や無料宿泊所など今まで知らなかった世界に触れ、東京でもその日を食べられないような人々が多く存在していることを知ります。 「獅子と地下鉄」英子の同級生で大名華族の令嬢が、慕う人と結婚するために父親に直訴したエピソード、そして老舗の和菓子店の幼い息子が補導され、1人で夜に出歩いていたことがわかりますが、それにはいったいどんな理由があったのかという謎。それを探ろうとして治安のよくない地域に踏み込んでしまった危機一髪の英子をベッキーさんが救います。若い女性がさらわれて行方不明って昔は本当にあったのですね。 「鷺と雪」英子が参加した学習院からの修学旅行が興味深いです。まず当時の鉄道事情ですが朝の9時に東京を出発し、名古屋で関西線に乗り換え、二見に着いたのは夕方5時50分ということ、ほぼ9時間かかっています。が、英子は「朝には東京にいた身が座ったままで夕刻には伊勢にいる。弥次さん、喜多さんが聞いたらさぞおどろくことだろう」と感嘆しています。 伊勢、大阪、神戸、明石、そして戻って京都、奈良、最後は天橋立への1週間。なんという豪華版でしょうか。さすが上流家庭子女ばかりの学校です。 他にも叔父夫婦との能楽鑑賞や、いるはずがない人が写った写真の謎。 最後に帝国陸軍参謀本部の軍人である侯爵家長男がベッキーさんへ抱く思いと、庶民出の陸軍将校、若月さんへの英子のほのかな思慕、それらがすべて時代に波に抗うことができず、戦争に向かって飲み込まれてゆく様が描かれます。 華族からドロップアウトした子爵様、「華族や士族のいるような世の中がいつまでも続くとは思えない・・」とつぶやく侯爵様、社会の矛盾や軍部内での対立を暗示して最後は2.26事件前夜で終わります。 この後、何が起こるかを私たちは知っているわけで、この登場人物たちはいったいどうなるのだろうと思わずにはいられません。 シリーズをここで終えたのはどうしてなのか?戦争の混乱を描くのはこの小説の趣旨ではないということだと思いますし、物語の美しさも損なわれてしまいますが、できれば大河小説のように続きを読みたい気もします。いつか続編が書かれることがあれば・・と思ってしまいました。
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ずっと読みたかった作品
読み損ねていた作品。余韻を残し、この後のことをいろいろと想像してしまう。戦争の中、みんなどうなるのだろう…
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いいと思います
226事件当日に向けて様々な資料をもとに、一人の華族女学生を主人公に人間模様や都市伝説的事柄をからめて創作化した小説。 半ば過ぎ修学旅行の記述が冗長に感じるが、引率した気持ちで読み飛ばした。
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イマイチでした。
直木賞を取った作品ということで、シリーズ第1弾「街の灯」から読み進めてきましたが、全体的にイマイチでした。 特に最終巻はこれで終わり?って感じのラストなので続きがありそうでなんだかスッキリしません。 「街の灯」「不在の父」などの作品で、格差について表現したいのはなんとなく分かったのですが、ミステリーとしてはすぐ答えが分かってしまう作品や逆に意味がよく分からない作品が多かったです。 昭和初期という時代をよく調べて、その時代の空気が伝わってきたのもよかったのですが、果たして全体を通して作者が読者に言いたかったことは何なのかが分かりませんでした。
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解き明かされた時に残る心温まる雰囲気
「わたしのベッキー」シリーズ第三弾で、三部作の最終巻です。 内容的には、三編の短編(「不在の父」「獅子と地下鉄」「鷺と雪」)からなっており、昭和初期の外面的には平穏な時代にところどころに射す暗雲が語られてゆきます。 もちろん、タイトルからも想像がつくように、終わりは「2・26事件」に至ります。 このあたりの何気ない日常の描写の中に登場する軍人たちの表現が、実によく計算しつくされておりなかなか良いです。 そうした若き軍人たちは、ヒロイン英子らの伴侶候補であり、優しいお兄さんでもあります。 そこから彼女が学び、成長してゆく姿がこの三巻の中で実に上手く表現されていました。 もちろん、このシリーズは「ミステリー」です。 従って、この本でもそれぞれ一つづつ「謎」が登場し、英子とそのお抱え運転手ベッキーの活躍で、その「謎」を解き明かして行きます。 第一話は、神隠しにあったように姿を行方不明の父親の行方。 第二話は、少年の謎の深夜行から補導に至る理由。 第三話は、外国にある婚約者が写った写真の謎。 どれも日常の何でもない一事ですが、その解き明かされた時に残る心温まる雰囲気が、バックにある時代の暗雲と実に見事なハーモニーを奏でています。 個人的には、第二巻の「玻璃の天」の方が動きがあって好きなのですが、これはこれで素晴らしい完結編になっていると思います。
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