日本の文学賞

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書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2010-08-26
ページ数
110ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163296302
ISBN-10
4163296301
価格
1650 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

東京下町の廃工場建物で柿渋塗り作業に没頭する男と大家の老人。廃工場を拠点に彼らとその周囲の人々がゆるやかに繋がっていく

レビュー

  • 僕は面白いと思った。

    緻密な文章で淡々と情景がつづられているためとっつきづらいと思われるかもしれませんが、 淡々と読み進めていくと少しづつ丁寧に描かれた情景に自分が染まっていくのが分かります。 中盤でクライマックスとも思えるシーン(東京タワーに関する記述)がありそのいままでの語り口とのギャップがダイナミックに迫ってくるものがあり、私にとっては新しい読書体験を提供してくれるものでした。

  • 説明書

    これは説明書か。俺は数ページ読んで本をとじた。最後まで読んだ人の方が凄いよ。

  • 異端の写実文学

    ある男が、ばね会社跡の廃屋を借りて、当てもなく掃除し改装を考えるという話です。それ以上でも以下でもありません。 ドラマチックな展開は何もなく、特別な事は何も起きず、淡々と始まり淡々と終わります。新しい人物が次々と登場し、何か起きるのかと思いきや、何も起こらず、最後に何か仕掛けがあるのかと思いきや、やっぱり何も起こらないという…。 では、何が評価出来るのかと言えば、文章そのものということになります。 冒頭から、会話文の少ない説明だらけの文章が延々と続きますが、特徴的な文体と、独特のリズムを持った文章によって読みにくさがかなり軽減しています。 とは言え、序盤から長々と繰り返される「柿渋と鉄粉」の説明、その他、専門用語がこれでもかとばかりに繰り出されるため、起伏の無い展開も相まって、読み疲れること必至でしょう。 文章の組み立て、独自の文体、写実的な説明は評価しますが、それだけです。 物語として構築しきれていません。 本書を未読の方には、最初の数十ページを読んで自分に合わないと思えば、それ以上、読む必要性は低いということをお伝えしておきます。 従来の文学から起承転結を取り除いたかのような淡白な描写は、物語としては圧倒的に退屈でしたが、小説に何を求めるかで賛否の分かれる作品だと思います。

  • 噛み締めたい文章

    「自由高さH」(穂田川洋山)読了。昨晩ずっと新横浜プリンスホテルのベッドで読んでいた。この作品はひょっとするとこのような無機的なホテルの部屋なんかで読むのがベストかもしれないな。しかしこういう乾いた文章を連ねるスタイルが最近の流行なのか。いずれにせよこの本はかなり好きです。 穂田川さんの文章って、歯触りとか噛みしめたときに染み出る甘味みたいなもの(わかりにくい喩えで恐縮ですが)なんかが癖になりそうです。

  • 主題があってこその文体

    独特の文体で描かれた、文學界新人賞受賞作。確かに、始まりから終わりまで一定のリズムを保った文章は秀逸だが、はっきり言ってそれだけ。最近、同じように独自の文体をもった作家が活躍しているけれど(川上未映子や磯崎憲一郎など)、彼等にはそのまえに書かれるべき主題があった。しかし、この作品のように「どうですか、この柿渋を塗るような文章は」と言われても、で、だから? という感想しか浮かんでこない。そうやって自己満足に浸るまえに、それでも書かずにはいられないような、人の心を揺さぶる主題を見つけてから小説を書いてください。

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