日本の文学賞

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書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2011-08-08
ページ数
122ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163808208
ISBN-10
4163808205
価格
1220 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

食道癌を患う中年女性の食への執着を壮絶に描いた表題作と、受賞後に自ら癌で死去する直前まで推敲していた絶筆「癌ふるい」を収録

レビュー

  • この世に生を受けた務めとは

    すごい、すさまじい、文学だ。 そして、人が生きるということの髄が エッセンスが、そのまんま凝縮されているようだ。 この人は末期癌ということも 表現することを 文学に、昇華させて、 痛みも苦しみもすべて受け止めて、 全身で生きて、表現したのではないか。 苦しみもあるが、 そこには人として生きてゆくことの すばらしさと貴さがある。 我もまた一生を 生きぬきたいと思う。 人間ってすごいところがあるものだ。 苦しみの向こうにあるもの、 生きることのつとめをはたす。 全うするということを 少しでも、我もまた果たしたいと思う。 まだまだ自分の生き方も 苦しみも生ぬるいと思い知る。 己も未熟で弱きいきものながら、 一生をかけて、生きることをまっとうしよう。 自分なりに役割を果たしたい。

  • 痛ましい…

    内容以前に、主人公にまったく感情移入できないくらい、人間性が痛ましい。作者本人も、同じ病だったようですが、自分自身のことだとしたら、ある意味すごいと思います。

  • 魂の叫び

    魂を込めて、自分とそれを滅しようとする癌に向き合う小説。二文字で表せば壮絶だが、正岡子規を髣髴とさせる食への思い。 人は必ず死ぬもの。 ということは頭でわかっていても、そこへ向かう葛藤はいかばかりか? そんなことを考えさせてくれる。

  • んー・・・。 なんだこれ。

    私は普段からあまり小説などの架空の話の本を読むほうではないのですが、興味のあるテーマでドキュメンタリー的な内容だと聞いて読んでみました。 文章の構成自体は非常に読みやすく、読み始めたら一気に最後まで読むこともできます。 かつ、読み手に、内容がよく伝わるように作られているとも思います。 勢いとパワーもあります。 しかし、私は正直期待はずれです。以下はネタバレ注意です。 「癌だましい」と「癌ふるい」二層構造ですが、癌だましいは何とも中途半端。 時間軸が行ったり来たりしたかと思えば、思い出話の途中でぷっつり切れて終わってしまって、「あれ?終わり?」って感じで何ともすっきりしない。 よく見ると、チャプター番号が若返って行っているので、わざとこういう構成にしてあるのでしょうが、何でそんなことにしたのかわかりません。 別に学術的な内容を求めていたわけではないのですが、大学入試のために切り出された小説を読んだときのような気分です。 「癌ふるい」は私は最悪だと思いました。 何でこんなものを本にしたのか全く理解できません。 自分が癌であることを周囲にメールして一週間のうちに何件返事が返ってきて、そのメールの採点をしてプラス何点とかマイナス何点とか。 事実かどうか知りませんが、人が送ってくれたメールを採点するようなことはたとえどのような立場の人でもするべきではないと思います。 したとしても、公表するべきではありません。 返事にはその人その人の個性があり、送った相手の心が込められているものです。 文章の上手下手があるにせよ、です。 いくら自分が癌にかかって、もう人生を終えるかもしれないとはいえ、何とも自分本位な内容で、読んでて気分が悪くなりました。 自分のメールが相手に採点されたら嫌ですよね。 己の欲せざるところ 人に施すなかれ です。 ・・・って本の酷評をしている私も同じか・・・

  • 共感しようとする読者を拒否する作品

    がん闘病記ではなく、闘病体験をいかしたフィクションとしての感想です。 食べることだけが生きがいで、人を愛することも人から愛されることもなかった主人公にとって、「愛情」にもっとも近似値なのは「食べる」行為だったのでしょうか。食べ物に執着することは愛の代替だったのかもしれない、だから執着せざるを得なかったのかと、そう思って読んでいたら後半で肩透かしをくらいました。 文章は、推敲していないだろうと思えるくらい荒いです。視点がころころ変わったり、繰り返しや同じ言葉が頻出して読みにくく感じます。 つまり稚拙な文章です。 それでも、自身の価値観を揺るがすもの、新たな視座を与えてくれるもの、気づきを与えてくれるものかと期待しましたが、読後感は不快しかありませんでした。主人公に対する嫌悪しかありません。 主人公から共感性を徹底的に排除した描写の理由がわかりません。 嫌悪や反発は伴うものの、強烈な印象は残しますので、そのためだったのでしょうか。 そして何を言いたかったのかも…。作者なきいま、それが一番残念に思います。

  • 食道癌は

    食道癌は残酷な病気である。胃が悪いわけではないので、食欲だけは病気になる前と変わらない。そうであるの食べることがことが出来ないのだ。だから、食べることに対する渇望だけが際限なく広がってしまう。そういう思いと、生きることへの執念が繋がっていったとき、こういう作品が出来上がるんだと思う。もちろん、これはぼくが同じ病気を経験したから、余計に感じることかもしれないが。

  • 作者が存命していても評価は高いでしょうか

    テレビで取り上げれていたのをきっかけに読みました。 闘病記であり、創作でもあるのでしょうが、死が身近に迫っても人間は俗物であり続ける現実を教えてくれる作品です。 「癌だましい」中の主人公の職場での扱われ方や、収録作「癌ふるい」で友人・知人に癌を知らせたときの反応などは創作であったとしても、作者の自己評価が大きく反映されているように感じます。自虐的・露悪的で読んでいて少々息苦しく、斜に構えたものの見方にその人柄が見え隠れします。 最後まで書き続けるために鎮痛剤を受け入れなかったとのエピソードがテレビで紹介されていました。 世間一般よりも食べることを大切にしてきた人がその楽しみを奪われる様子がわかりやすく書かれた力作ですが、亡くなったことによって評価が高まったような印象があります。作者が存命していた場合の評価はどうなのかと考えてしまいました。

  • 癌とはこの程度か

    頼れる人をみんな無くしても、職場で厄介者扱いされても、末期癌になっても。 主人公は食うことの楽しみを何者にも譲らなかった。 末期癌は作者の「書く」という行為も奪えなかった。 読み終わって震えた。だれにでも勧められる話ではないが、もっと多くの人に知られてもいいと思う。 私はこの主人公にある種の格好よさを感じました。

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