日本の文学賞

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待ってよ

松本清張賞

待ってよ

蜂須賀敬明

時が逆さまに流れる街を舞台にした、魔術的な青春小説。

青春魔術時間

作品情報

墓場からゆりかごまで、時間の流れが逆さまになる。

第23回松本清張賞受賞作。時間が逆行する街を舞台に、魔術的な物語を展開する。

書籍情報

出版社
文藝春秋
発売日
2016-06-30
ページ数
339ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784163904979
ISBN-10
4163904972
価格
350 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

全選考委員を驚かせた、松本清張賞受賞作 さかしまな時間が流れる海沿いの町。墓場から人が生まれる恐怖と、恋人が若返るせつなさ。新しい小説と評された戦慄の受賞作!

レビュー

  • 奇想天外な物語。

    「横浜大戦争」「横浜大戦争 明治篇」と読み進み、からの「待ってよ」は、今まで考えたことの無かった話の展開に引き込まれて一気読みでした。

  • 気持ち悪いのは私が女性だからなのか

    角田光代さん、三浦しをんさん、桜庭一樹さんらが選んだ清張賞受賞作だし! 「生まれてから死ぬまで時が逆さに流れる街」なんてすごく面白そうなだし! と期待しすぎたのか、あるいは私が女性だからなのか。 あまりにツッコミどころが多く、そして正直、気持ち悪かった。 ツッコミどころについては選考委員が「魔術的」と評しているけれど・・・ うーん、ガルシア・マルケス的なそれはあまり感じず、単なる練り込み不足の印象。 最大の疑問は時代設定。 「ユーロ」とか「週刊誌」とか現実的な話題が出てくるわりに、ネットもテレビもないの? いまのエンタメにおいて「閉ざされた世界」を創ることに作家はみんな四苦八苦しているのに (「獄門島」みたいなことは今じゃできないから)、これはずるいと思う。 人間以外の生物やモノの時間についてはノータッチ、というのも疑問。 戦前の日本くらいにしないと無理があるのに、その時代の勉強ができなかったから現代にしたのかな?と思った。 気持ち悪かったのは、全てがオトコの理想のためにつくられたようにしか思えなかったところ。 主人公が中年男性で、出会った妙齢の美女(ここ大事)と恋仲になるも、彼女はどんどん若返る。 それでもセックスをしたい、男を喜ばせたいとしおらしい彼女。 彼女が小学生くらいになったと思われる最後のセックスの場面で血が流れるあたりなど、本当に気持ち悪かった。 出産や母乳を与える場面も、執拗な描写のわりに全体に「オトコがこうあってほしい(古きよき)オンナ」のイメージで、うーん・・・。 そして、本当に人が女の子どもの胎内へ「還る」ことがこれほど重要視されているなら、 この街の社会はこんな昔の漁村ふうじゃないと思う。 もっと、圧倒的に女系社会で、女がすごい権力持っている、あるいは厳重に隔離・管理されてると思う。 だって、女の胎内に還れないと村八分なわけだから。 そのあたりは男系社会のまま、都合いいところだけ女に担わせている感じが、気持ち悪かった。のは、私が女だから・・・?

  • さらば清張賞

    山本兼一、葉室麟、青山文平――少し前までの松本清張賞受賞者を思い浮かべてみる。選考委員の石田衣良氏がいみじくも述べているように「地味だけど実力ある時代小説が強いという賞のイメージ」が、ここ数年にわかに豹変している。受賞者の大胆な若返りと賞イメージを打破する新ジャンルの開拓、という文藝春秋の戦略転換は、果たして吉と出たか凶と出たか。 実は、最後の最後まで、どんなかたちでどんでん返しやオチが待ち受けているのかと期待していたけれど、そんなものは一切なし。何これ? がっかりして、あっけにとられて、なんとむだな読書時間を空費してしまったことかと歯がみした。 しょせんはSFチックなファンタジー。そう言ってしまえば終わりだ。しかし、ファンタジーをファンタジーたらしめている「さかしまに流れる時間」という設定に最後まで異物感を覚える。体内に巣くうエイリアンの胎児みたいに。だから、いくらお涙頂戴の愁嘆場を読まされても、そらぞらしいばかり。荒唐無稽な絵空事と過剰なセンチメンタリズムに辟易するばかり。 天国で松本清張氏は、自分の名前が冠された文学新人賞でこのような作品が受賞する時代になったのかと、さぞかしあんぐりと口を開けておられるのではないか。

  • ぜひ、読んでください。

    ネタバレ注意。 「「人は年を重ねるとどうなっていく?」」 「「若くなっていく」」 そんな素っ頓狂な事実が、この作品のメインになる。 時間が逆さまに流れる街。 お墓の中から老人を暴き出し、育てていくというのがこの街の慣習なのだ。 数々の作家を唸らせた松本清張賞受賞作の作品であり、また、この作品は著者のデビュー作というだけあって、普通では考えられない設定と、深みのある内容が、著者の作家としての力量と、「ここまでの物が書けなければ、作家は名のれない。」ということを教えられた作品でもある。 この作品の登場人物の中心は、 街のイベントでマジックを披露する為にやってきた、「ベリー」だ。 このベリーの周りの人物の様々な人間模様が、この作品の醍醐味と言えよう。 この作品の最もたる主軸は、 「家族愛」だと考える。 近頃でも家族愛を題材にした作品は数々あるが、この作品の設定は、「時が逆さまに流れる」とだけあって、ただただ温かい物語と言えないのが興味深い。「生と死」についても深く取り上げられているのだ。 そして、もう一つ興味深いところ。 ベリーがマジシャンを生業としているので、マジシャンの極意、人間性が述べられていて、面白い。こんな文章があった。 「感情が高ぶった時ほど、嘘をつくのは難しい。」 「マジシャンほどの現実主義者はいない。確固たる現実があって初めて、観客に幻想を見せることができる。」 「「初舞台で悔し涙を流せる人間はごく少ない。そして、そのごく少ない人間の大半は、私が知る数少ない世界的なマジシャンになった。」」 「魔法を覚える魔法は存在しない。」 私達とは逆の時間を生きる人物達は、年老いてから学校に通うことになる。 「長く生きているんだから学校になんて通う必要はないんじゃないのか?」 と、いわゆる時の流れが正常の「外の世界」から来たベリーは問う。 すると、時の流れが逆さまの街にいる「ゆず」は、 「学ぶ心が消えたら人間おしまいさ」 人間の性についても、述べられていた文章があった。 「寂しい時に寂しいかと問われて素直にうなずける人は少なくない。」 「人が死を恐れるのは、多くの可能性を奪われるからだ。」 「そういう普段なら隠しているものが出てしまう相手は、君が信頼の置ける人物と感じている最もたる証拠ではないのか?」 ベリーの性格と、私の性格が似ていると思える文章もあった。 いや、私だけではなく、多くの人がこのような性格なのではないだろうか。 「俺は保守的な人間だ。根は臆病で、冒険するのが怖い。結果が見えないと安心できないし、先の見えない行動を後押しなんてできない。」 最後に、人間について、家族愛について、沢山のことを教えてくれたこの作品。驚いたのだが、著者、蜂須賀啓明さんはなんと、28才! 28才でこのような作品を書けるのは、 感心をも超える。 この作品は著者のデビュー作として、本当に幸先良いスタートだと思う。 今後の作品も存分に期待できる。 「「自分を責めるだけが反省じゃない。大切なのは学ぶこと。」」

  • 感動した

    こうことベリーの愛の交歓。男と女が求めても憧れても決して手に入らない愛と愛の合体。セックスではない魂と魂の一つになった喜び。そんなシーンに感動しました。

  • 松本清張賞受賞作。本の帯に惹かれ購入した。受賞となった理由は、発想か?

    松本清張賞受賞作品。 石田衣良、角田光代、桜庭一樹、葉室麟、三浦しをん各氏が選考委員らしい。 本の帯に惹かれて購入した。 つまり、期待度大大大って感じで。 思ってもなかったシチュエーションを構築した作品。 おそらく、受賞の理由は、そこにあるんだろう。 しかし、文章があまりに未熟で、魅力がない、 展開は面白いのに、説明に終始するような文体が、先に読み進めるのを邪魔する。 発想がいいだけに、残念だ。 作者には、文章の修行に励んでほしい。 おそらく、力はあるに違いない。 まだ、まだ、若く、未来があるから大きな期待をもっている。

  • 読みたいと思わせる力がない

    SF小説なのだろうと思うのだが、最初の三十頁くらいまで読んで後の膨大な厚みに入って行く気が萎えてしまいました。アイデアがショートショート程度の希薄さで、まったく興味が消えてしまったからです。選者のひとり桜庭一樹さんはセンスオブワンダーを感じたと言われていますが、私はまさにそれこそが欠けている点だと思うのです。私も若い頃にSF小説を夢中で読みあさったことがありますが、それらには共通した物語の深みがあるのです。この先には何が待ち受けているのかをワクワクしながら読みました。ところがここに提示されている物語にはその先の何に関心を寄せて読むのかという魅力が無いのです。主要な骨格が単調過ぎるとも感じられます。長編のお話にするは無理があったように思いました。そして最も肝心なことが無視されている点に怒りを覚えます。お墓というものはそもそも宗教儀礼によって立てられるという信仰心をめぐる記述の欠如です。これはこの物語の中核的テーマとして扱われるべき事象ではないでしょうか。その欠点を見抜けずに授賞してしまった選考委員の不見識には現代人の意識が間違った方向にあると言うべきかと思います。

  • これが松本清張賞?

    というよりメフィスト賞に近い。 時間がさかしまに流れるというワンアイデアだけで最後まで書き切ったのは筆力があると言えるだろうが、 お話がダラダラと続くだけでクライマックスもオチもない。 単行本の表紙はスティーブン・キングの本を描いてる藤田新策氏だが文庫本では違う人に代わっている。 また、文庫本のお楽しみである「解説」がない。残念である。

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