作品情報
道頓堀の芝居町で、もう一人の近松が物語を結ぶ。
文藝春秋刊の単行本を採用。文春文庫版も刊行。
レビュー要約
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芝居町の活気と創作者の執念を生き生き描く点が評価されている。芸能史に詳しくなくても物語として入れる読みやすさがある。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 2019-03-11
- ページ数
- 361ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.4 x 2.2 x 19.2 cm
- ISBN-13
- 9784163909875
- ISBN-10
- 4163909877
- 価格
- 40 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第161回直木賞受賞作。 選考委員激賞! 虚構と現実が反転する恐ろしさまで描き切った傑作! ──桐野夏生氏 いくつもの人生が渦を巻き、響き合って、小説宇宙を作り上げている。──髙村薫氏 虚実の渦を作り出した、もう一人の近松がいた── 「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ 人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作! 江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。 大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章(のちの半二)。 末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、竹本座に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。 父からもらった近松門左衛門の硯に導かれるように物書きの世界に入ったが、 弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった……。 著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した奇蹟の芸術小説。 筆の先から墨がしたたる。 やがて、わしが文字になって溶けていく──
レビュー
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物書きがものを書くとき
人形浄瑠璃(文楽)作者、近松半二の一代記。面白かった。地の文と会話文が溶け込むような独特の文体に始めはとまどったが、案外読みやすかった。 半二の人生の前半、妹背山に向かうピーク、そしてピークを超えたあとの晩年が、山なりのカーブで見えるようだった。 特に、ピークとなる妹背山婦女庭訓を書くあたりは、物書きとしての真骨頂であり、ぐいぐいと物語に引き込まれた。 浄瑠璃や歌舞伎の、過去から今までの様々な演目、お客さん、作者、演者ら何もかもが渦を巻いている。 その渦の中からお三輪が現れて、 常に貪欲な探究心を持って自分も面白くお客さんも喜ぶものを求め続ける半二に憑依して、妹背山婦女庭訓が出来上がったのだ。 私が初めて知って驚いたのは、 他で演じられたものを、別の作者がその人なりの工夫で書き直した物が、次々と人形浄瑠璃や歌舞伎の演目になっていったということだ。それがまさしく「渦」である。 現代では、新しい作品には独自性が要求され、似ている部分は盗作だと騒がれてしまうが、昔の感覚は全然違ったのだなと思った。 考えてみるとクラシック音楽でもそのようなことはよくあり、その方が自然なのかもしれない。 それまでに体験した様々な物事が自分の血肉となり、そこから音楽や文学などの作品を産み出す以上、過去の作品の影響なしに新作ができることはありえないのだろう。
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渦、だから今も観客は浄瑠璃や歌舞伎に魅かれる
「半二はんがお書きにならはった詞章が今のお客さんには、わからへん」 とお三輪が語る。 確かに、江戸の頃と言葉も仕来りも変わった。 それなのに、今も観客は浄瑠璃や歌舞伎に魅かれる。 「渾然となった渦か」と正三が言う。 治蔵は酒ととに渦に溺れた。 「門左衛門も溶けとんのやろな」と続ける。 そして「わしが文字になってここへ溶けていくのかもしれへんな」と半二が思う。 「(溶けた)お三輪にはたくさんの娘らが溶け込んでいる」とも思う。 「渦」は観客をも飲み込んでいる。 だから今も観客は浄瑠璃や歌舞伎に魅かれる。
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文楽を見に行きたくなる
大阪検定の題材になると知り、読んでみました。浄瑠璃は歴史の勉強でしか知りませんでしたが、実際に見たいと思うほど、江戸時代の道頓堀の浄瑠璃の華やかさを感じました。
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人形浄瑠璃の入門書にもなった
日本の古典芸能は難しいイメージや堅苦しさがあって、なかなか興味がわかなかったが、大阪ほんま本大賞受賞のこの作品を読んでみて、人間の役者より人間らしい表現をする人形操りというくだりに魅かれ、今、人形浄瑠璃文楽にハマっております。
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『この世もあの世も渾然となった渦のなかで、この人の世の凄まじさを詞章にしていく。』
人形浄瑠璃の作者・近松半二を描いた小説。 直木賞受賞作で期待が膨らんでましたが、あまり響かなかった物語(人形浄瑠璃を見たことないから?) つらつら書かれる関西弁の文章は、関西人の僕にとっては、すーっと馴染んで好きです。
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大作
全編関西弁で書かれており、関西人の私は読んでいて気持ちが入って行きました。 あの妹背山がこうして出来たのか?!と。 操浄瑠璃を見に行きたくなりなした。
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ワクワクする
書くという世界の創作を教えられた。展開速度が心地いい。楽しめる内容であった。しかし、本棚に収める本ではない
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秀逸
嘘かまことか分からんな、と思いつつ、きっとあの時代の大阪の芝居小屋のうち外はこんな芝居ぐるいの人々でひしめき合っていたのだろうなと納得させられてしまう。面白い時代小説ってこういうもののことだろう。
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- 直木三十五賞 第161回(2019年) ・受賞