作品情報
ぽぷらと軍神 を手がかりに、作品の来歴をたどる。
Amazon JP, NDL OPAC, 出版社公式を順に確認し、『伸予』という紙書籍の収録作として書誌を補完した。
書籍情報
- 出版社
- 文藝春秋
- 発売日
- 1983-06-01
- ページ数
- 234ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784167308018
- ISBN-10
- 4167308010
- 価格
- 310 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
五十歳近い未亡人の元教師が、かつて特別の思いを抱いていた教え子と再会した。彼女の一生にはこの恋しかなかったのか。抜群の語り口で芥川賞を受賞した表題作ほか二篇。(柄谷行人)
レビュー
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凄い
ありふれた材料でここまでのものが書けるか。詩情も豊かで、評するに凄いとしか言いようがない。それ以外の言葉がたわごとにしか響かない名作です。
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先生の方が教え子に教わった部分が多いかな
表題作のタイトルの『伸予』とは何かというと、主人公の女性の名前です。 四捨五入すれば50の元教師。その伸予がかつての教え子を家に招く冒頭シーンは印象的でした。 まるでウブな少女のようにドキドキしながら海苔巻を作ったりなんかしています。巻く手に力が籠もる様子が伝わってくるような描写です。 でも伸予も教え子も、互いに特別な感情を抱きつつも同時に板挟みの感情に苛まれてもいました。挟まれた者同士の二人が、海苔巻のようにぐるぐると巻き込まれていった時、どの部分で出会う、あるいは擦れ違うのか。といった辺りを微妙に描いているように感じられました。 例えば膝枕をするシーンがあったりするわけです。膝枕なんて、今ふうに言えば萌えシチュエーションかもしれませんが、現実には裏腹に気持ちいいというよりは痛いものだと思います。お互いに。 伸予の中にある女として教え子を想う色香のような部分と、現実の老醜の部分もまた裏腹なものだと思えます。 相対するものは、対等の現実性を持って同じ場所に同居していつつも、裏腹な関係。その近くて遠い対比を上手く描いているのではないでしょうか。