作品情報
灼熱の惑星を目指す復讐の旅が、銀河規模の物語へ広がっていく。
雑誌連載を経て単行本化された梶尾真治の代表的長編。ソノラマ文庫、光文社文庫、徳間文庫などで版を重ね、日本SF大賞受賞作として長く読み継がれている。
レビュー要約
-
大きなスケールの宇宙SFとしての読み応えと、喪失から動き出す主人公の感情線が評価されている。娯楽性と叙情性をあわせ持つ作品として受け止められる。
書籍情報
- 出版社
- 徳間書店
- 発売日
- 2018-12-07
- ページ数
- 499ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784198944155
- ISBN-10
- 4198944156
- 価格
- 880 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
神鷹静香は、非道なテロ組織の爆弾テロにより、夫と愛娘を一瞬にして喪った。 そのショックから彼女を立ち直らせたのは、復讐への執念だった。 戦士となることを決意し、壮絶な訓練を積む静香。 だが、彼女が真の戦士となるには、「思い出」というかけがえのない対価を払わなければならないのだった。 第12回日本SF大賞に輝く不朽の名作。 田中芳樹氏の解説を再録。
1947年生まれ熊本県出身。1971年「美亜へ贈る真珠」で作家デビュー。代表作は『地球はプレイン・ヨーグルト』『怨讐星域』(星雲賞受賞)、『未踏惑星キー・ラーゴ』(熊日文学賞受賞)、『サラマンダー殲滅』(日本SF大賞受賞)、『おもいでエマノン』を始めとする「エマノン」シリーズなど。最新作は、『デイ・トリッパー』(キノ・ブックス刊)。
レビュー
-
カジシンファンじゃなくても必読の名作!
カジシン作品の中でも一、二を争う名作中の名作! 遂に復刊! カジシンファンならずとも、必読の名作! 旧本持ってますが、絶対買う!
-
懐かしい。
紙の本で持っているけれども探すのが面倒なので電子で再購入。 古いけれどもエンターテインメントで面白い、惑星メフィスの場面が良いね。 砂漠の惑星に雨が降る、太古の生態系が目覚めてしまう。 携帯電話やGPSが爆発的に普及する前だから、仲間との連絡、位置調査で ちょっと引っかかるものがあるが気にしない。 「美亜へ贈る真珠」、「エマノン」、「クロノス・ジョウンターの伝説」、 「黄泉がえり」にこれと幅広い作風だ。
-
すさまじい傑作
私は現在32歳だが、十年余り前、 ヒロイック・ファンタジー一辺倒だった私の読書体験を決定的に変えた作品である。 ハードSFというほど小難しくはなく、 復讐劇というシンプルなストーリーを、 個性豊かな愛すべきキャラクターたちを散りばめて描く。 時間を忘れてひたすら読み進む、という体験を、 本当の意味で最初に味わわせてくれた作品です。 長らく絶版の憂き目にあっていましたが、 めでたく版元を変えて、容易に購入可能になりました。 「なんだ、SFかよ」と決めつけず、まずは読んでみてください。 作品によってはストーリーテリングに難のあるカジシンですが、 この作品では凄まじい牽引力を発揮しています。 きっと、下巻を読まずにはいられません。
-
哀愁の中で闘う「せつなさ」に浸りながら
時は未来。復讐を誓う女性主人公が、協力者とともに、宇宙を駆け巡りながら、テロ組織に戦いを挑みます。 スピーディーな復讐劇というストーリー以外にも、読みどころ満載の本でした。 主人公の魅力、宇宙開拓の様子、惑星の謎の生物、テロ組織やテロリスト、個性的な協力者たち、テロリストの未来の武器、宇宙の航海の様子、テロリストとの戦闘、女性主人公が原因となる世界の変貌、その謎をおう、刑事と超能力者、超能力者の能力・・・。 きりがないぐらい、満載です。 復讐という状況、テロ組織との戦いとともに記憶を失っていく主人公の切なさが、基調になり、哀愁を誘う本でした。
-
テロとの戦い
当事の筆者は短編作家なわけで、長編かけよと言われて書いたようなもんだ。 長編書いたらSF大賞やるよ、と。そう言われて、書いた作品。 だから構成は...1本抜いたらバラバラになっちまうジェンカ、 あるいはテトリスが隙間あきまくりでゲームオーバーになりかけ。 そういう、危うい構成。当時は、ね。 長編の経験がないから、短編・中編の積み木細工で組み立てるしかない。 いかにも、そういう稚拙さが目立つ。 だけど私が、この2004年にこの作品を押したいのは 近未来がテロの時代なんだと予告したこと。 たとえばアルカイダみたいな大樹規模なテロ組織が殲滅されたとしよう。 その隙間を衝いて他のテロ組織が、まるで蟲が涌いて出るように あとから後からあとから後から。わらわらわらわら出現しては攻撃を加える。 このことを明確に指摘しているんだな。 テロが成功を収めた例はない。が、とりあえずテロはツブさなきゃなんない。 この物語では、一つの巨大なテロ組織を殲滅した。ヒロインは放心状態。 それはそれでいいんだが その空いた隙間で他のテロリスト集団が、ここぞとばかりに盛大に活動。 ヒロインは放心状態。なにもできない。 やりきれない。余りにも救いのない結末。 それじゃ、現実の俺らは何やんなきゃなんないんだ!? テロはツブさなきゃなんない。 テロが成功を収めた例は、世界史上、ひとつもない。 でも俺らは何やんなきゃなんないのよ??? この、もどかしさを感じ取って頂ければ幸いに存じます...
-
最後は感涙! 絶対の満足保証付き!
私は、著者に対して「おもいでエマノン」をいつまでも求め続ける古い読者だ。だから、「OKAGE」には期待したが、見事に振られた。この著書も、はっきり言って「読みたい本が他になかった」「日本SF大賞受賞作品である」「文庫本で廉価」という理由で手に取った。期待はしていなかった、まったく。上巻を読み出してすぐに「ああー、しまった」と思った。やっぱり買うんじゃなかった。ステレオタイプの人物が、お定まりのストーリーに乗っかり、ハリウッド製大予算SF活劇のはじまりはじまり、という感じで登場。文章もマンガチックで、「おもいでエマノン」の情感にはほど遠い。しかし、ケチな私は「折角買ったんだから」と読み続けた。ここが大事です。ここで投げ出してしまわなかった私は、偉い! 東京駅から読み始め、新大阪についた時には、大慌てで書店に飛び込み、下巻をゲットした。今、買おうかどうしょうかと迷っている貴方、ラストシーンで感涙にむせぶことを、私は声を大にして保証します。
-
タイトルは秀逸だが…。
家族をテロで失った女性の復讐物語。 書店でたまたま本書を見かけ、昔、NHKラジオの「ラジオSFコーナー」で放送していたことを思い出し、購入。 愛する家族の仇をとるためには、その大切な家族の記憶を失わなければならない。何かを得ようとするとき、それと同じくらい貴重な何かを手放さなければならないという、「鋼の錬金術師」にも似た等価交換の法則に苦悩する主人公というひとつのテーマで引っ張ってくれればよかったのだが、風呂敷の広げ過ぎ、アイデアの詰め込みすぎで、うまく主人公に感情移入できなかった。 凄く惹かれるテーマだけに、とても残念な作品。
-
細かいことは気にしない
確かに、短編作家が長編に初めて挑んだ危うさのようなものは あるけど、面白いから一気に読めます。SFのアイディアも たくさんつまっていて楽しいです。ただ、途中からSFというより ファンタジーに近くなってしまってるけど。 別の人も書いてるけど、テロについてはまさに今の時代を 予測するような描写があって、この点は凄い。結末については、 まあ、この作者は切ない話が得意だから(せつないと言うより むなしい結末ですが)。でもヒロインはテロの撲滅ではなく、 あのテロ集団の殲滅を目指してたのだから、目的を達成したとも 言えます。 細かいつっこみどころは満載ですが、それを補って余りある 面白さです。必読!とは言わないけど、読んでみたら? ってすすめられる本です。
関連する文学賞
- 日本SF大賞 第12回(1991年) ・受賞