日本の文学賞

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かめくん (徳間デュアル文庫 き 2-1)

日本SF大賞

かめくん (徳間デュアル文庫 き 2-1)

北野勇作

『かめくん』は、北野勇作による作品。日本SF大賞の2001年回で受賞に選ばれ、同時代の文学・出版の中で評価された。

想像力異界冒険

作品情報

日本SF大賞で受賞となった、北野勇作の『かめくん』。

『かめくん』は、北野勇作による作品。日本SF大賞の対象作として、作品の構想や語り口が評価された。読者は、想像力, 異界, 冒険を軸に、受賞当時の文学的関心をたどることができる。

書籍情報

出版社
徳間書店
発売日
2001-01-01
ページ数
300ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784199050305
ISBN-10
4199050302
価格
93 JPY
カテゴリ
本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル

第22回(2001年) 日本SF大賞受賞

レビュー

  • かわいい

    非常に良くできた面白い小説。 とても好きである。 とにかくキャラクターが可愛い。 世界観も脱力系でとてもよい。 みんな読んでくれ!

  • 近未来のロボット「かめくん」ののたりな日常

    ”かめくん”が土手を散歩していた時の出来事。 仲間達とサッカーで遊んでいた男の子が、”かめくん”をからかい、 ちょっと様子を探るように、”かめくん”に向かってボールをシュートする場面。 その描写が面白い。 ============================================ かめくんは腹甲の正面でそれを受けた。 勢いを殺されたサッカーボールは、かめくんの前にぽてぽてと転がった。 かめくんは静止しているボールにゆっくりと近づいていき、尻尾でぱちんとボールを弾いた。 きれいな放物線を描いてボールは川の真ん中へと落ちた。 ・・・・・・ 唖然としている子供たちに、ぷしゅう、と大きな鼻息を浴びせかけ、かめくんは土手の斜面を登って行った。 「ばかがめ!」 「木星に行っちまえ、ばかがめ!」 ============================================= 子供たちの罵声を甲羅に受けつつ、”かめくん”は暮れかかった河川敷を後にしたのだった。 ”かめくん”がいる近未来は戦争中らしいが、ちっとも戦争中らしくない。 むしろのんびり、ほんわか、のたりとしている。 かめくんが醸し出すこの雰囲気と、それを描写する文体がこの作品の魅力かと。

  • セカイ系のはじまり

    カメくんは2000年代の作品。この頃の日本は、破滅の予感しながら、淡々と日々が続いていたなあと思い出す。いわゆるセカイ系と呼ばれる分野が現れたのもこの頃だ。カメくんがセカイ系と呼ぶ人はいないけど、この頃の時代の気持を十分に反映させていると思うのだ。カメくんシリーズが進むに従ってセカイの荒廃がなんとなく進んでいくのもすごいリアル。

  • 祝復刊!大好きな作品です

    かめくんはかめくんでありかめくん以外の何者でもない。淡々とどこかノスタルジックに童話的に書かれているけどその底辺には不穏さや哀しみが流れている。そんなSFです。未来の話だけど「今」という時間が漂う、そんな不思議な感覚。「そこに居る」ことの幸せと哀しみ。存在意義、記憶、それはどこへ行き着くのだろう。夢が漂い、そして想いはどこかに辿り着く。

  • 深い世界です。

    とても面白かった。淡々としたかめくんの生活の裏側に潜む絶望感が心に響きます。北野勇作の作る世界は自分の影から突然に叱責されるような不安感に満ちていて、安穏とした読書時間をひっくり返してくれます。

  • しっとりSF

    日本のSF小説の中で連綿と受け継がれるナンセンスの世界と 現代の感性がいいあんばいで混ざり合った、 派手さはないけどしっとり読める良作SF小説。 なんだか判然としない目的のために作られた ロボット的な何かであるはずのかめくんに 自分を投影してしまうのが不思議。 からっぽなかめくんだからこそ 誰にでも共感できる構造になっているのかもしれない。 かめくんが自分自身のこうらの内側を見るように 読者も自分の内面に目を向けることになる。とか。 最後にかめくんが人と同等に暮らしていくことを 困難にしていたひとつの要因がはっきりするのだけど なんというのか、哀しい愛しい感じにぎゅっとなります。 かめくん。君は・・・。

  • 独特の詩情とペーソスに満ちたロボットSFの名作

    木星戦争に従軍したらしいカメ型ヒューマノイド・レプリカメの〈かめくん〉。 戦争の記憶を失い、市井のフォークリフト運転手として働いていたかめくんは、 ある日突然解雇され、万博跡地にある倉庫会社に再就職する。木造アパート、 河原の図書館、リンゴ、木星行きの市街電車……。かめくんの平穏な日常に、 やがて戦争が影を落とし始め……。 独特の詩情とペーソスに満ちたロボットSFの名作。機械知性の視点を通じて「心とは何か?」 というテーマが追究され、全体をシュールな幻想の衣で包んでいる。終盤で明かされる本書の 成り立ちが哀切だった。

  • せつない

    本書を買った理由を覚えていないのだが、タイトルに魅かれて、ではない。きっと、読んだことがない作家に触れたくて、「日本SF大賞受賞」「SFが読みたい!2002版 第1位」を信用して買ったのだろう。 読んでいてふと、アニメ「ケロロ軍曹」を思い出す。日常の中にカエルモドキの兵士が入り込み、ギャグ漫画かと思ってると意外やSF(はそんなに詳しくないけど)要素満載。 そんなことを思いながら読み進めていくと、完全にはわからないなりに主人公かめくんの生い立ちというのか、カメ型ヒューマノイド・レプリカメの成り立ちが語られる。そして、その行き着く先も薄ぼんやりとだが見えてくる。 かめくんは自分が接する世界をいろいろと推論する。読み手の私も本作についていろいろと考える。これは、自己とそれを取り巻く世界との関係性についての物語である、とか。でも、その関係性―認識やら情感やら―もレプリカメのプログラミング上、記憶から削除される可能性がある。いやそれは、レプリカメのみに設定された特性ではなく、私にも言えることではないか、とか。 第4章(最終章)に至って物語は劇的に変化するわけではないが、読み手である私の心は揺れ動く。自分の中の世界と外の世界とがクラインの壺のように繋がっている、その無限感覚と閉塞感とを私が感じている中で、かめくんはその本来のカメ型ヒューマノイドの役割へと旅立っていこうとしている。ヒトっぽい生活をしたことやそれへの懐かしさが消えてしまうのだろうと感じつつ。 このラストはせつなすぎる。

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