ガラッパの謎 引きこもり作家のミステリ取材ファイル (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
引きこもり作家の水瀬と幼なじみの大樹が、河童伝説と隠れキリシタンの新説をたどって九州を巡る歴史ミステリー。土地の記憶と伝承が、少しずつ大きな歴史像へつながっていく。
作品情報
河童の手の秘密が、歴史の常識をひっくり返す。
第18回『このミステリーがすごい!』大賞 隠し玉作品。鹿児島を中心に、河童伝説と隠れキリシタンの新説をたどる取材旅行ミステリー。ローカルな伝承の積み重ねから、歴史の見方を揺さぶる。
レビュー要約
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歴史や伝承に惹かれる読者には面白い一方、情報量の多さやロジックの粗さで好みが分かれる。取材旅行の勢いを評価する声もある。
書籍情報
- 出版社
- 宝島社
- 発売日
- 2020-06-04
- ページ数
- 320ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.7 x 1.3 x 15.2 cm
- ISBN-13
- 9784299003515
- ISBN-10
- 4299003519
- 価格
- 1560 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
「謎が謎を呼ぶスピーディーな展開に息を呑み、ページをめくる手が止まらなくなった」内田剛(本屋大賞実行委員会理事)。「隠れキリシタン」の新説に挑むために、「引きこもり」なのに九州へ取材旅行に出掛けることになった石田水瀬と徳川大樹。ヨッカブイ、妖怪、ユダヤ教、一向宗、河童(かっぱ)と山童(やまわろ)、たらおさ……次々に出てくる謎、謎、謎。そして、“河童の手"の秘密が歴史の常識を覆す!
レビュー
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中途半端…
好きな題材だったので期待していたが……うーん。 「ガラッパ」といえば河童であり、じゃあ河童の話かというと隠れキリシタンの話らしい。まさか頭に皿を載せた河童の正体を剃髪した宣教師だと言うんじゃないだろうな?と思ったらまんまその展開でガックリ。しかもそのロジックも(大学教授に論破されたように)、多少歴史や民俗学の知識があると穴だらけだとすぐにわかる。 まぁそこは野暮だからいちいち細かく書き連ねはしないけど……じゃあ決め手はというとここで郷土料理が出てくるのだが、それは確かに新説だが…正直言って決定打としてはしょぼすぎる。つーか結局循環論法では? 本作は『鰓を食らい、毒を矯む』というタイトルから改題されたこのミスの隠し玉だが、村上貴史の「これぞ正解という決め手感を欠いていた点が残念。主題の処理が不十分では、さすがに推せない」と、大森望の「題材が地味すぎる」という選評まさにそのままといった感じ。そこは改稿されずに本になったようで残念。 まぁ民俗学ミステリーは一定の需要があるから出したんだろうけど もちろん小説なんだから学術的な正しなんて必要ないのだが、それにしてはケレン味やインパクトがなさすぎる。 とはいえ学術的なものとしては論拠に乏しい…ということで、「歴史の闇を解き明かす民俗学ミステリ」としては、高田高史のQEDシリーズの勢い、星野之宣の宗像教授伝奇考の奇想、井沢元彦や梅原猛らの精緻さには遠く及ばない印象。 元ラノベ作家なだけあって、キャラの関係性は面白いかと思ったが、結局設定が活かされてなかった感。いっそのこと、本当に引きこもり探偵としてのリモート推理とかのがキャラが立ったのでは? ただ、柳田國男や折口信夫を絡めたオチはすごく良かった!ここは声を大にして言いたい! やっぱり小説はこうでないと! このオチなら、結局教授に負けたままでも消化不良感もないし、元タイトルもなかなか沁みる。 そんなわけで、個人的には防災と怪異や神話のテーマに興味があるので、2作目のが気になった感じでした。