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犬の張り子をもつ怪物 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

『このミステリーがすごい!』大賞

犬の張り子をもつ怪物 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

藍沢今日

大阪の小学校襲撃事件を起点に、見えない巨大な犬の張り子がもたらす異常な殺人を追うホラーサスペンス。科学で説明できない事件に、警察官・夏木が挑む。

ホラーサスペンス超常現象警察猟奇都市災厄怪異

作品情報

見えない怪物が、街を喰い尽くす。

第18回『このミステリーがすごい!』大賞 隠し玉作品。巨大な犬の張り子という思念体をめぐり、説明不能の殺害と、それを証明しようとする捜査が交錯する。怪異のイメージと暴力性が強い、ダークなエンタメ作品。

レビュー要約

  • 怪異のイメージとスピード感を評価する声が多く、派手な設定を楽しむ読者に支持されている。暴力描写の強さは好みが分かれる。

書籍情報

出版社
宝島社
発売日
2020-07-04
ページ数
320ページ
言語
日本語
サイズ
10.6 x 1.3 x 15.2 cm
ISBN-13
9784299007186
ISBN-10
4299007182
価格
130 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

第18回『このミステリーがすごい! 』大賞・隠し玉作品。前代未聞のホラーサスペンス! 大阪市内の小学校で35名が虐殺される襲撃事件が起こった。犯人はアリアと名乗る女。彼女が鈴を鳴らすと、人々の体がひとりでに浮かび上がり、生きたままばらばらに引き裂かれる。その場にいた誰もがパニックになる中、警察官・夏木には見えていた。アリアの口から生み出された巨大な犬の張り子が、人々を嚙み殺し、蹂躙するさまが――。一部の人間にしか視認することのできない犬の張り子の思念物体を用い、人を殺したと自白したアリア。しかし、科学的に証明できない殺害方法をとった彼女を、裁くことはできない。「無罪になり出所したら殺戮を繰り返す」と公言するアリアを止めるため、夏木は彼女の犯行を証明しようと奔走するが……。

レビュー

  • 奇想天外な設定を用意した上で社会正義を追求するという作者の意匠は分かるものの、途中から映画「キャリー」を想わせ、いっそホラー風味に徹した方が良かったのでは

    突拍子もない設定の法廷サスペンス。まず、小学校で惨殺事件が起きる。犯人の少女アリアは直ぐに捕まるのだが、問題は凶器である。(夏木という刑事を除いては)眼には見えない"思念物体の犬の張り子"という破天荒なモノ。果たしてこの奇想天外な凶器を使ったアリアを有罪に出来るのか、アリアの正体は何かを問うた作品である。 まず、アリアが20歳の大学生である事と、アリアと同行する少女は襲われた小学校の6年2組の結依だと判明するが、アリアは結依を「昔の私」と呼ぶ。更に、アリアは犯行を復讐と言う。小学校時代の"いじめ"等に対する復讐劇という事だろうか ? その通り、アリアは復讐は自身の死刑によって完遂すると弁護士に伝える。警察の調べで、アリアの父親(を割り出すのも至難だった)が殺人犯として死刑となったが、それもアリアの仕業だった事が分かる。即ち、父親は冤罪で、アリアの復讐対象は"いじめ"相手だけではなく、警察・検察・司法・("いじめ"を放置した)学校を含む社会全体だという事が浮かび上がる。"思念物体の犬の張り子"を認める事になるので全くの異例(非現実的)だが、検事はアリアを起訴して、死刑求刑する事に決める。これこそアリアが望んだ事だが。続いての法定シーンは"見えない"モノの証拠能力を争う不毛なものに決まっている。更に、"犬の張り子"が犬神神社で伝承される怨霊とあっては、一転、ホラー風味が強くて意匠が揺らぐ。その犬神神社の"狼の張り子"のオミヤゲを持っている者だけ見えるという設定にも落胆する。 結局、アリアの復讐計画は成功し、望み通り"死刑"となるが今一つの感が否めない。奇想天外な設定を用意した上で社会正義を追求するという作者の意匠は分かるものの、読み進むに連れ詰まらなくなる竜頭蛇尾の展開は如何なものか。途中から映画「キャリー」を想わせ、これならいっそ、ホラー風味に徹した方が良かったのではないか。

  • 瑕疵はかなりある。

    超自然的な存在を前提としたホラーでありながら、そんな人物を裁けるのかという問題が主題となっている点で法廷サスペンスでもあるという非常に珍しい物語。そのアイデアは高く評価したいのだが、一方で色々と瑕疵も多い。たとえば会話文がしばしば説明的であり、わざとらしさが浮き彫りになること、その結果、あり得ないような情景描写が生じてしまうこと(たとえばp120「あっ、犬だ!」という台詞は現実には出ないだろう)、さらには物語の根幹に関わることだが、犯人が嘘を言っている可能性についてまったく検討されないことは致命的である。これは特に犬の数に関わるので重要なのだが、物語に登場する警察も検事も裁判所もなぜか異常に楽天的なのだ。そうした数々の瑕疵を潰したならば傑作と言えるかもしれないのだが、その時には物語自体の佇まいも大きく変化してしまっているかもしれない。

  • あり得ないけれど面白かったです

    思念物体というあり得ないテーマでしたが、ミステリーと上手く融合出来ていて面白かったです

  • 生き残りには路線変更必須

    読後の感想は「まぁ、まとまってはいたな」だった。ミステリよりはホラー色が強め。ホラーとしては特に目新しいこともなく、凡庸。 妙にネチネチと生臭いスプラッタ描写が目につく程度。 文体や全体的なトーンはやや幼稚。漫画やアニメを文字化したような印象を受ける。作者は活字の読書経験は少ないのかもしれない。 そして、物語の随所から私怨を感じる。作者のSNSを見て、やはりと思った。 ハングリー精神や復讐心から紡がれる物語は、読んでいてつらい。作者の仕返しに、読者が無理やり付き合わされているように感じてしまうのだ。 昭和や平成初期ならまだ成功もあり得たかもしれないが、もうそんな時代じゃない。 そもそもホラーやスプラッタというのは(よほどの愛好家でない限り)平和な日常のスパイスとして読みたくなるもので、現在進行形でパンデミック映画状態の今はそうそう手に取りたくなるものではない。 小学生が大量虐殺されるなんて作品は特に。 このままホラーとグロ描写多めの路線で行っても、ファンと呼べるような読者獲得は見込めないだろう。 ただ、活路があるとしたら闇から光に転じることではないだろうか。 作者は少女の描写が上手い。あまり少女押しだと女性読者には引かれるかもしれないが、魅力的な女性キャラを作れるのは間違いなく美点である。 やや幼い文体も、若年層や読書慣れしてない人にはとっつきやすいに違いない。 アニメか漫画のようなスピード感で読ませてしまう勢いも、作者のポテンシャルの一つだと思う。 少女たちが最終ページで何らかの救いを得ること、光に向かう明るい物語を書くことが作家としての生き残りに必要なことかと思う。 今の読者は疲れている。読んで前向きな気持ちになれる物語を求めているのだ。 色々厳しいことも書いたが、数多の文学賞にチャレンジし、最終候補にも名を連ねた作者だ。光るものを持っている。粘り強い根性も。 このまま埋もれるには惜しいと感じる。 読者が元気をもらえる二作目を待っています。

  • 読むのが疲れる

    これ1冊読み終わるのに1週間もかかりました。文章力がイマイチで読むのがしんどい。どのページを捲っても少女というワードが出てきて、二十歳前後の女性も少女で、小学生の女の子も少女と表記するので、わけわかんなくなります。とりあえず作者はよっぽど少女が好きなんだなということだけがわかりました。

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