日本の文学賞

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首飾り

文藝賞

首飾り

雨森零

郷愁と不穏さをたたえたデビュー作で、若い作者の感受性と内省の深さが印象に残る。

郷愁内面デビュー作

作品情報

静かな筆致の中に、人物の内側がゆっくりと立ち上がる。

書籍情報

出版社
河出書房新社
発売日
1995-01-01
ページ数
213ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784309009575
ISBN-10
4309009573
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

第31回(1994年) 文藝賞受賞

レビュー

  • 一流の青春小説

    内容としてはつまるところ青春小説の範疇を超えないのだが、筆の力がすごい。ここまでしっかり書き込むと立派な文学になるという好例だと思う。若干の書き過ぎや細かい構成の稚拙さなど吹き飛ばすくらいの迫力があった。表現の緻密さにおいては、芥川賞受賞作で言えば、古井由吉の「杳子」や「ゲルマニウムの夜」を思い起こさせるほどである。 片山恭○など、こういう作品を熟読して真面目に小説の書き方を勉強してほしい。

  • 衝撃的

    個人的に純文学の公募新人賞で一番期待しているのが文藝賞なんですが、これも十年以上前の作品なんですけどとにかくものすごい。 森の中の閉鎖的な空間で育った三人の子供。 子供の彼らは無邪気でいて、その無邪気さと閉鎖的であるがゆえの無知も持ちながら完璧なバランスを保っていた。 だけど三人の「成長」、そして閉鎖環境からの脱出にによってバランスを崩す。愛とか、憎しみとかを知るようになり、互いに互いを意識せずには得られなくなり、三人の子供はふたりの男とひとりの女性となり、バランスを欠いていく。 そこには幼いころから常に一緒にいたという輝かしいであるがゆえに残酷な事実があり、それによって事態はどうしようもなくなる。 これは三人の成長と青春の物語。24歳とは思えない傑作だと思う。それから、なんだかわからないけど水村美苗の本格小説を連想した。

  • 「3人」の悲劇

    作中に「手を叩くには2つの手がいる。1つでは音にはならない。でも3つでは多すぎるのだ」という一文があります。幼い日、3人の関係は完全でした。けれど時が過ぎ、世界が広がる中で「成長」という変化が起こります。その変化がもたらすものは悲劇だったか・・どうかは読んだ人が判断することなのでしょう。幼い日から思春期に至る男女3人の関係とその結末を描いたこの作品、ぜひ静かな場所で読んでいただきたいです。

  • 少し

    村上春樹のノルウェイの森っぽかったけど でもこの若さでここまでかければたいしたもの。 最後だけちょっとキュンときた。

  • 正しくカポーティ

    朝露の滴や、森の匂いが行間から広がる 繊細な子どもの感情や成長 子どもの時にしか感じられない貴重な時間 この作者はこれがデビューなのが信じられない 中学生が持つ揺れる感情 3人の幼馴染がつむぎ出す時間にむさぼるように読みました 最後の展開は涙がこぼれ切なかった

  • 三角関係は、いずれ崩壊が避けられない

    『首飾り』です。 『大自然が息づく山あいの小学校分校の三人の生徒、秋とななと僕は兄妹のように育っていった。二人の少年と一人の少女の美しく残酷な三角関係の変容と悲劇を、牧歌的な自然の中に描き選考委員の絶賛を浴びた第31回文芸賞受賞作。』 重厚な自然描写が圧巻の青春小説です。 第一章は、主人公であるれいと秋とななが小学校低学年の頃。山奥の森の分校。子供は三人だけしかいない閉鎖された金甌無欠な世界で、仲良くのびのびと育って行きます。この時点では三人の関係が完全すぎて物語に動きが無いため、やや自然描写が多すぎて退屈に感じる部分もありました。 その後四年生になると、三人は本校へと合流。主人公と秋はサッカーに熱中。世界が三人だけではなくなり、三人の関係にも少しずつ変化が現れる、というところをじっくり描いています。主人公の、秋に対するあこがれの感情も巧く描いています。 中学生になると、思春期を迎え、三人の関係はそのままではいられなくなります。いびつな、奇妙な形の三角関係になり、そこからはあっという間に坂道を転がり落ちるような感じでした。最後の展開はややベタな感じもありますが、ちょっとせつない味わいでした。 全体としては卓越した文章表現による自然描写がみどころ。後半とのギャップを出すためには必要とはいえ、前半がやや退屈だったのは惜しくもあります。それでも、とても読み応えのある青春小説でした。内容的にいって、今後時代が流れても古びたり陳腐化したりすることのない普遍的に楽しめる作品だと思います。★4

  • 真っ直ぐな好き

    久々にわくわくして読んだ。描写が圧倒的。3人の少年時代の色んな気持ちが、出来事が長いと思いながらも入り込んでた。 好きな気持ちが伝わってそれが叶ったときから、物語はつまらなくなる、大人に、気持ちの密度が醒めていくうちページをめくる手が遅くなった。

  • 最後の数ページは・・・

    最後の数ページは、誰もいない静かな公園で読みたいものです。とても初小説とは思えないほど、文章・表現がとても巧みでした。読後、何故か涙がとまりませんでした。

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