日本の文学賞

← 受賞作品一覧に戻る
1980アイコ十六歳

文藝賞

1980アイコ十六歳

堀田あけみ

堀田あけみの初期作として発表され、のちに書籍化された作品。

青春少女時代

作品情報

堀田あけみの初期作として発表され、のちに書籍化された作品。

堀田あけみの初期作として発表され、のちに書籍化された作品。

書籍情報

出版社
河出書房新社
発売日
2006-01-06
ページ数
232ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784309407777
ISBN-10
4309407773
価格
199 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/文芸作品/日本文学

弓道部に所属する16歳の高校生三田アイコ。夏から冬までの学園生活をリアルにユーモラスに描いて圧倒的な共感をよんだ青春小説の古典。81年度文藝賞受賞作。十代の作家の書いたベストセラーの先駆的作品。

レビュー

  • 小説を二度読んで、映画のDVDを二度観ました

    最初にぐらぐらする所の無い事実を明言しておきます。この小説と冨田靖子の主演する映画は共通点の無い別々の作品です。だから「三田アイコ」が「堀田朱美」とどう交わってゆくのか読み解こうとしても空振りに終わります。 この小説の主題は「10代女性の死生観」だからフィクションでもノンフィクションでも構わない。読み進めてゆけば中盤のアイコの「ゾウリムシ一匹の生命も奇蹟です」という発言が終盤の惨劇によって卓袱台返しに遭うというプロットも素直に頭に入ります。 素直に読めなかった部分は、ふたつ。部活動でバッシングに晒されている女子がひとりいます。わたしには女性のこうした属性がよく、わかりません(現実社会に腐るほど存在することは聞きもすれば見もしました)。もうひとつは文章そのものです。 「そんなことやっとると死んでまうで」 「それくらいで死なすか」 祐子は黙って下を見て、妙な笑い顔で佳枝を見た。佳枝はやばいと思った。祐子がこの顔をするときは危険なのだ。 「まあ、早弁しながら口論しても埒があかん」 「なんかあんたと喋っとると自分がバカに思える」 鉤括弧の部分はふたりが発言しているわけですが、祐子と佳枝のどっちの発言なのか、わからない。ああ、それから堀田さんは鉤括弧をつかうときに 片岡「試験までにきちんと頭にいれとくように。」 という具合に括弧の中に句点をいれますが、いささか気になりました。

  • その時々にしか書けないものがある

    表現は個人的なもので、それは環境や時代や年齢や家族構成や、全ての個人を形成しているものに由来すると思う。 けれども、同時に普遍的な要素も必ず含まれていて、1980じゃなくても、同じ感覚の16歳はいつも居ると思った。

  • あの時代の息吹が感じられる本

    高2で書いた本作で,史上最年少の文藝賞受賞という話題性。また,富田靖子が主演した映画(サザンの挿入歌がピッタリしてとてもいい映画だった)。あの頃,色々と話題を集めた作品で,1960年代生まれの人なら少なくともタイトルを知らない人はいないのでは? そうした,私にとって「名のみ有名な」本作を,今回読んでみたら,意外とよくて驚いた。 以下に引用するように,読んでいて1980年にタイムスリップしたような感じがするほど,当時の風俗をうまく取り入れながら,高校生の頃の心の動きをよく描写していた。さすが,文藝賞は伊達でない。 《「あの,人間以外の生命尊重ということ,イルカがよく言うよ。あの人,いつ見てもいいなぁって思う。」 「うん,あたしも。それと,八神純子の新曲もそうみたいよ。」 「きいたことないなァ。」 「なんだっけ,『Mr.ブルー』だったかな。」 「ヘェ,あの人,色が好きね。」 「ウン,それがね,地球に対しての愛情の歌なんだ。あんまりきれいすぎるから,しらじらしくていまいち説得力に欠けると思うけど,松田聖子や田原俊彦が全盛の時期に,そういう歌を歌うというのは立派な根性だと思うわ。」》(148〜149頁) 《これだからアイコは,ピーマン娘,などと呼ばれてしまうのだ。今のアイコに至っては,ピーマン以下である。種さえもない,すっからかんのからっけつだ。》(155頁。「ピーマン」って,今の子には通じるかな?) 1980年をノスタルジックに振り返りたい世代の人にはお勧め。

  • 十六歳のあなたがアイコ!?

    『1980アイコ十六歳』です。 舞台となる年代が、タイトルの中ではっきり書いてありますから、陳腐化ということはあり得ないですよね。時間が経っても、1980年という時代を描いたメモリーという立場へと変わる。 でも、そんな中でも恐らくほとんど変わらないのが、十六歳の女の子の姿でしょうか。 もちろんアイコの時代には存在しなかったケータイなんぞ持ってはいませんが、同じ部活の反りが合わない娘のことを、みんなで文句を言い合ったりして、そんなところは現代の十六歳でもほとんど変わらないでしょう。辛い時には気晴らしに屋根にのぼったり。文句を言うツールがケータイになるという違いくらいのもので。恐らく将来的にも本質は変わらないでしょうし。 その辺の、普通の女の子の「かわいらしさ」がリアルに描けていたと思います。 アイコ以外は、登場人物の名前が多く、しかもほとんどがニックネームなので区別しきれなかったというのはありますけど。 物語の中で学園生活をおくるアイコがどう成長したか、……というと、あまり成長はしていないでしょうか。 アイコはアイコです。

  • 思春期のモヤモヤを見事に文学に昇華した作品

    16歳という「季節」に感じたいろんなモヤモヤと独りよがりの青い人生観。当時、みんなソレを持っていたとしても凡人ではなかなか文章に まとめることはできない。 そこを「現役少女」の堀田あけみは見事言葉として表現しています。 ただ、一本の河のようなに流れるストーリーがなく、エッセイのように、あっちいったりこっちいったりで多少読みにくいのも確か。 しかし、青くても真面目にまっすぐ足元と未来を見つめているアイコの生き方に、忘れていた昔を思いださせてくれます。 「青春」なんて後から想うもの....ってどっかの歌詞みたいだが、この本には現役の「青春」が詰まっています。

  • 懐かしさ半分

    1980年代の女子中学生視点で書かれたこの小説。 日常生活を赤裸々に。というフウに見ると内容の一つ一つが 懐かしい感じを呼び起こしてくれる。 自殺、喧嘩…恋愛。ちょっとため息が出るかもしれない一冊です

  • 新装新版

    堀田の作品は、文庫化に際して作者のコメントが新たに添えられたものが多いが、この「1980アイコ十六歳」は新装新版であり、当初の文庫化の際のコメントに加え、ごく最近の堀田のコメントまで添えられているのが良い。彼女の作品のファン・この本を懐かしいと思われる方は、改めて手に取ってみても良いと思う。 作品自体は、彼女の他の作品に比べても、やや肩が力が入りすぎたものがあり、さながら「青年の主張」のような部分がある。発表当初話題になった本だが、今になっては評価を分かつものがあろう。

  • 文藝賞

    秀作ですね。 (当時の)高校生のアイコの心理がめちゃくちゃ上手くかけてます。 恋愛があってあほっぽくて、社会への反抗があって、上手く青春させてます。

関連する文学賞