風さわぐ北のまちから: 少女と家族の引き揚げ回想記
朝鮮半島北部から日本へ引き揚げる一家の実話を描いた回想記。
作品情報
鎮南浦で暮らす家族が、戦後の混乱のなか日本への帰還を目指す。
遠藤みえ子の生家をもとに、朝鮮半島北部の港町・鎮南浦で暮らす一家が、戦後の混乱をくぐり抜けて日本へ引き揚げるまでを描くノンフィクション。
書籍情報
- 出版社
- 佼成出版社
- 発売日
- 2022-06-23
- ページ数
- 224ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 14 x 2.5 x 20 cm
- ISBN-13
- 9784333028733
- ISBN-10
- 4333028736
- 価格
- 1760 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
1945年8月、日本の敗戦により、それまで日本の植民地だった朝鮮に暮らす日本人は、突然「外地」に取り残された状態になりました。11歳のれい子と家族は、朝鮮半島を二分した〈三十八度線〉の北側の港町・鎮南浦で、厳しい冬を迎えます。 寒さと食料不足、ソ連兵による略奪、北朝鮮の建国の混乱の中、母と6人の子どもたちが生き抜き、日本へ帰り着くまでを描いた、奇跡の実話です。 第一章 藍湖は今(一九四五年十月初め) 1 脱出だ! 2 どうして脱出はだめ? 3 キムおじさんが捕まる? 4 裏切られた! 第二章 キムおじさん(一九四五年十一月末) 1 天井から黒足袋! 2 真夜中に誰? 3 にせパパ? 第三章 オコリーさんの影(一九四五年十二月末) 1 大尉の引っ越し 2 金びょうぶがあそこに! 3 また落っこちて! 4 再会 5 房子ははしか? 6 初めてのクリスマスプレゼント 7 オコリーさんって? 第四章 ピルヒのオンマ(一九四六年三月末) 1 住む家がない! 2 また引っ越し! 3 リーシュンのまり 4 どうしてごはんを残すの? 5 保安隊の巡回 6 キムおじさんの決意 7 赤いまりがない! 8 リーシュンの家へ 第五章 脱出まで(一九四六年五月~十月) 1 第一陣に加われず! 2 第二陣も置き去りに 3 ついに出発! 4 三十八度線 5 倉敷へ!
遠藤みえ子(えんどう みえこ) 釜山生まれ。6歳で倉敷へ引き揚げる。東京女子大学英米文学科卒。吉祥女子高校、都立高校で計31年間、恵泉女学園短大、東京女子大学で計17年間、非常勤講師として勤務。『スージーさんとテケテンテン』で、小川未明文学賞優秀賞を受賞。主な著書に『あじさい寮物語』(講談社)、『やなぎ通りのスージーさん』(PHP研究所)、訳書に『ハリスおばさんモスクワへ行く』(講談社)などがある。日本児童文学者協会会員。日本こどもの本研究会会員。バオバブ同人。 石井勉(いしい つとむ) 千葉県生まれ。作絵の作品に『オタマジャクシつかまえた!』『ふねのとしょかん』(共に文研出版)、絵本や児童書の挿し絵に「絵本 子どもたちの日本史」(全5巻、大月書店)、『きつねの童子 安倍晴明伝』(子どもの未来社)、『命のうた ぼくは路上で生きた十一歳の戦争孤児』(童心社)などがある。
レビュー
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激動の昭和も遠くなりにけり
今更ではあるが、つい最近先人が舐めた大変な辛酸を知ることは、我々が混沌の現在から正しい未来へと至る為の貴重な道標になる。但し頑張って知ったとしても、それは単なる伝聞による知識であり、実際の体験とは比べるべくもない。その点はよく自覚すべきで、正に管見とでも呼ぶべきものに過ぎないだろう。 尚、これを読むと、露国は昔から戦争に犯罪者を使っていたことも書かれているし、翻ってみれば現代露国のP氏は甚だ罪深い人物であるものの、問題はやはり個人だけではなく、昔から変わらぬ「国柄」というものも確かに在ることが知れる。 また、朝鮮人(当時)や露西亜人の人間性(の良い部分)も知ることが出来る。これ迄とすっかり立場が逆転して、日本人が極めて困難な局面に追い詰められた時に、我が身を危険に晒しても救ってくれた外国人が居たことも書かれている。○○人=悪といったステレオタイプ的な認識で済む程世間は単純ではない。そしてこうした過去の外国の恩人を決して裏切ってはいけない。 それにはまず知る事だ。良い出版をしてくれた版元には感謝する。