作品情報
『トライアウト』は、題材の輪郭を丁寧に追いながら読者を作品世界へ導く。
書誌情報と受賞一覧を照合し、藤岡陽子の『トライアウト』を対象作品として確認した。単行本・文庫として確認できる場合は書籍識別子を補完し、雑誌掲載または未刊行原稿のみと判断した場合は識別子を空欄にした。
書籍情報
- 出版社
- 光文社
- 発売日
- 2015-03-12
- ページ数
- 376ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.7 x 1.5 x 15.3 cm
- ISBN-13
- 9784334768836
- ISBN-10
- 4334768830
- 価格
- 770 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品
シングルマザーの新聞記者・久平可南子は心に決めていた。息子のために仕事は辞めない。父親の名は誰にも明かさない。取材の折、彼女を見つめる戦力外通告を受けたプロ野球投手・深澤翔介。ふと気にかかり、インタビューを試みると、彼には可南子の秘密を知る素振りがあって……。仕事、育児、生きがい。今、前を向くことのリアルを、ひたむきな再起の物語に込める。
レビュー
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目に浮かぶ物語り
野球を通して、それぞれの人生を描いた作品でした、心に残る内容で、色々な思いが頭の中を駆け巡りました。
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読みやすい
なんのために人は頑張るのか、本能だからとりあえず頑張るのか。
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再起と恋のトライアウト
シングルマザーの新聞記者と戦力外通告されたプロ野球選手の再起の物語です。 この小説は、仕事、育児、生きがいという現代の女性のテーマに、野球という男性的な要素を組み合わせた斬新な作品です。 登場人物たちの葛藤や成長が丁寧に描かれてます。 感動的でありながらも辛口で、現実味のある恋愛小説です。
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綺麗な文章
癖がない嫌みのないしかし綺麗な文章で情景が頭に浮かびやすくどんどんと読み進めることが出来る物語です。 中高年(40代ぐらいかな)の人々が共感できる小説だと思います
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描く巧さと作る難しさ
何かいい。 とてもいい。 藤岡陽子の魅力というのはなんなのだろう。 この作家の名前を初めて知ったのは、 ほかでもないこの『トライアウト』の宣伝を通してだったと思う。 興味を持って読もうとしたが、入手できず、 代わりにすぐ手に入った『海路』を読んだ。 姿を消した老医師と、これを探す看護師を描いた不思議や小説で、妙に面白かった。 そしてこの『トライアウト』。 かつて栄光を手にしながら挫折した元プロ野球選手と、 過去の傷とそれゆえの家庭の問題を抱えた女性記者。 とくに後者を中心に、彼らに関わる人々をも含めて 人ひとりひとりの、懸命に生きる思いが丁寧に描かれる。 そういう人間の切実な思いがしっかりと伝わってくる、それが魅力なのだろうと思う。 そのへんを以前読んだ書評はうまく書いてくれていたという気がするが、 残念ながら誰のどの作品についての書評かもわからず(やはり女性作家だったような気もする) 内容も思い出せない。 しかし、今回ちょっと気になったのは、 ほかでもないプロ野球選手と女性記者という設定だ。 『海路』の設定がいかにも地味で、同時に風変わりなのと比べ、 ここでのそれは、作中でも小道具として使われているゴシップのネタのような、 つまり、いかにもありがちで、見ようによっては安手な設定である。 だから読む前には警戒感もあった。 しかし読んでみると、さすがにそこは筆力のある藤岡さん、 そんな外見など気にならないくらいに巧みに人の気持ちを追いかけていく。 野球というスポーツの魅力も、それに賭ける生き方の熱さも しっかり伝わってくる。 設定にしても、そうしたある種の派手さがけっして悪いわけではないし むしろそれゆえに惹かれる読者も多いだろう。 ただ私には、『海路』にあってここにはあまり感じられないものを 惜しむ気持ちがあった。 野球の熱のように作家の熱もこもっているが、 それがどこか作り物っぽい感じを生み出してはいないか。 言葉は豊かに紡がれているが、 むしろ『海路』におけるある種の舌足らずな感じの方が よりリアルな、したがって深いものを感じさせてはいなかったか。 そんなことも感じるのである。 いや、これは要するに、素材の違いというだけのことなのかもしれないし、 あるいは作家が別々の作品で取るスタイルに対する こちらの好みの問題というだけかもしれないのだが。 期待は大きいので、そのへんを確かめたい思いもあってほかの作品も読んでみたいし、 今後の作品にも注目していきたいと思う。
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人との関わりの中に答えがある
頑ななシングルマザーが孤軍奮闘するお話かと思ったが。 誰かに出会った事で自分の気持ちが動き、思いもよらなかった出来事を引き起こす。 どの本もそうだが、続きが知りたくて仕方がない。
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人生の後半戦
人生はたしかに自分との勝負。ゴールが あるから頑張れる。自分とどう向きあって、ゴールまで、頑張るか、勉強になった。
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時の流れ
父親を家族にも明かさないシングルマザーの主人公。 トライアウトという解雇された野球選手たちの選考会での邂逅から物語ははじまる。 女性らしい文章で丁寧に登場人物が描かれている。 出生にまつわって生まれた家族内の確執、妹の結婚など。 深澤のぶっきらぼうな物の言い方、態度は野球しかして来なかった人間の精神的幼さを表現してるのか。 藤村の粗暴でテストステロン豊富、性欲あふれるモテる男の鬼畜さ、ナイーブだった自分にはよくわかる。 描写がうまい。 息子が自分の父親の名前を知った時の反応を読んで少し笑ってしまった。 シュワルツネッガーの隠し子が、自分のほんとうの父親の名前を知った時の反応を思い出した。 「クール!」と叫んだという。 眩しいほど輝いていた甲子園優勝投手もプロになった後、決して平坦ではない選手生活を続け、年を取り解雇される。 すっかり女を捨ててしまったような主人公の可南子も、こっそり撮影されていた高校時代の写真にあるように、笑顔や自信にあふれた自分がいたのだ。 トライアウトを通して、それぞれの人生の新しいステージへの挑戦。 爽やかな小説でした。
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