作品情報
草葉の陰から届くような違和感が、静かな謎をほどいていきます。
小説宝石新人賞の対象作として知られる表題作を含む書籍です。死や記憶を重く扱いすぎず、軽妙な語りと謎解きで読ませる点に特色があります。
レビュー要約
-
読みやすさと謎解きの手触りを好む声が目立ちます。派手な事件よりも、会話や違和感の積み重ねから見えてくる真相を楽しむ作品として受け止められています。
書籍情報
- 出版社
- 光文社
- 発売日
- 2008-06-20
- ページ数
- 220ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784334926168
- ISBN-10
- 4334926169
- 価格
- 65 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/文芸作品/日本文学
Amazonで大田十折の草葉の陰で見つけたもの。アマゾンならポイント還元本が多数。大田十折作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。また草葉の陰で見つけたものもアマゾン配送商品なら通常配送無料。
レビュー
-
「草場の陰で見つけたもの」だけなら★4個になる
「草葉の陰で見つけたもの」が、第1回小説宝石新人賞を受賞したが、 これはキレのある文体と、晒し首にされた男の心の動きが絶妙で唸らせる仕上がり。 この作品を奥田、角田両氏が審査員なら、二人には書けない渋さに受賞したのもうなずける。 のも、もう1つの作品「電子、呼ぶ声」が全く光らないからだ。 2つの作品に共通しているのが、魂がない筈のさらし首やロボットという物体に心が生まれてくる、通い合うはずのないモノと通いあう心をテーマにしてる作風が2作品目「電子、呼ぶ声」でネタバレして飽きにつながっている。
-
理屈抜きで好きな本。
これと、森見登美彦さんの〝きつねのはなし〟がそう。 十年前からもう何十回と読み返してて、まだ厭きない。 この本は若い作家さんのデビュー作だし、確かに色々細かいとことかつきつめていくと難ありだとはわかるんだけど。 そういうのはもうどうでもよくて、ふいに読み返したくなるんだから仕方ない。 そもそも矛盾やツッコミどころが一つもない完璧な小説が読みたいわけじゃなく、感動とか怖さとかトキメキとか笑いとかを求めて本を探してるんだし。 そういう意味では読むたびにいまだ感動をもらえて感謝の尽きない本です。 どんなにイライラしてる時でも読後はとげの抜けた気分になるから、ストレスがたまりきった時の最終手段になってます。 〝草葉の陰で~〟のラストが好きだし、〝電子、呼ぶ声〟は最初から最後まで好きすぎて困る(笑)。 15歳と10歳の姉妹の世話を1ヶ月契約で任されたアンドロイド(?)。 服で隠れるところ以外は精巧に造られていて、ちゃんと人間に見える。 ちょっと変わりものの妹から以前飼っていた犬の名前をつけられても→(すでにいないものの名前を使い回すというのは実に合理的だ)と感心しながら受け入れたり。 感情的で素直でない姉に勉強を教えて褒めた時「褒められても嬉しくないわよ」と返す彼女に→(こっそりと拳を握るくらいなら、素直に喜べばいいと思う)とか。 あと、余分な描写はないのに、妙に美味しそうな彼の料理。プリンだって作ります。よだれが出る妹の気持ちがちょっとわかる(笑)。 彼にそんなつもりは全くなくても勝手に餌付けされていく姉妹が可愛かった♪ ラスト、の後。本に無いこの先はどうなっていくのか。後日談も読んでみたかったのに…! 待って待って。いまだあきらめきれてないけどもう10年。さすがに無いかなぁ。 他の話でもいいから、出してほしかったです。心の底から期待してたんですが。 素晴らしい本、とは評価されないかもしれない。でもほんとに好きな本なので。おススメします。
-
今後に期待しよう
奥田英朗、角田光代両氏の選考による「小説宝石新人賞」第一回受賞のタイトル作と「電子、呼ぶ声」の二編収録。 共通したテーマは「異形」たる自分と心に鬱屈を抱えた少女の関係とでも言おうか。 受賞作では、戦国時代を舞台に、泥棒をして切られさらし首になっても意識を持ち続け、毎日のように訪れて願いをかける少女を想うという「ホラー」系の奇想譚。 「電子、呼ぶ声」は一転して、「SF」の設定となり、母のいない家庭(父親は多忙でなかなか帰宅もできない)の娘二人とその面倒を見るために派遣された旧型ロボットとの関係を描く。ひたすら献身的なロボットに最初は反発していたが…。おっと、この設定はアイザック・アシモフの一連のロボットもの、特に「バイセンテニアル・マン」(映画「アンドリューNDR114」)に酷似。最低限の機能しかもたない、もちろん人間のような感情をもたない旧型ロボットの一人称としたならば、ありえない思考、描写だらけ。 若い作者、次に期待しよう。
-
突っ込みどころ満載だが、作者の感性が光っている
欠点はたくさんある。 例えば、この話がいつの時代かはっきりしないが、明治時代に入るまで、ロウソクは大変高価な貴重品だった。それを少女が毎晩持ち歩くのはおかしいとか、設定が乙一の夏と花火と私の死体に似てるとか、文体が池袋ウエストゲートパークみたいだとか。 もろもろあるものの、二十歳の作者がここまでのものを書いたことに敬意を表したい。 今後も書いていける人なのは間違いない。
関連する文学賞
- 小説宝石新人賞 第1回(2007年) ・受賞