日本の文学賞

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日本ミステリー文学大賞新人賞 受賞作 クリーピー

日本ミステリー文学大賞新人賞

日本ミステリー文学大賞新人賞 受賞作 クリーピー

前川裕

心理的な緊張と人間関係のねじれを描くサスペンス小説。大学教授とその隣人をめぐる不可解な出来事が、記憶と罪の問題を浮かび上がらせる。

犯罪記憶家族罪と贖罪人間心理

作品情報

心理的な緊張と人間関係のねじれを描くサスペンス小説。大学教授とその隣人をめぐる不可解な出来事が、記憶と罪の問題を浮かび上がらせる。

書籍情報

出版社
光文社
発売日
2012-02-18
ページ数
328ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784334928087
ISBN-10
4334928080
価格
220 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

犯罪心理学の教授の高倉には、奇妙な隣人がいた。父親とおぼしき同居人を「お父さんじゃない」と言う娘が住むその家庭に興味を抱いていた、高倉の友人の刑事は行方不明になってしまい、やがて高倉邸の真向かいの家が焼け、焼死体が発見される……。鬼気迫る臨場感をたたえた、傑作心理サスペンス誕生。

レビュー

  • 一気に引き込まれました

    「レビュー評価が高い」「ミステリー」で検索して暇つぶしになればと何となくダウンロードしたのですが・・・ 一気にその世界に引き込まれました。 事件の真相に早く迫りたい,でも恐い。 恐怖の隣人を早く掴まえてほしい,でも逃げたい。 読了するまでの間,普段の生活でもこの本で頭がいっぱいになりました。 迷わず★5つけます。 (個人的にはストーリーはhorribleで主人公の女子大生への目線がcreepyでした)

  • 隣の家からはじまる恐怖

    第15回日本ミステリー文学新人賞受賞作品ということで読んでみました。 主人公は犯罪心理学が専門の大学教授、著者自身がモデルなんでしょう。朝一時限目の授業を持ちたがらない先生たち、卒論指導のあとの学生とのコンパ、犯罪心理学の授業の様子と、なにしろ現役の大学教授が書いているのですからリアルでのぞき見的なおもしろさがあります。しかしストーリーは恐ろしい。日常のふとした違和感から始まり、高校時代の同級生の刑事が持ち込んだ未解決の一家失踪事件について専門家としての意見を求められたことから不気味な事件に巻き込まれてゆきます。 私たちは隣家の住人のことをどれほど知っているだろうか。仕事をしているようだが家にいることが多いようだ。名詞をもらったことがあるが、聞いたことがない組織名だった、でも確かめもしなかった。学校に出かける娘を見送る父親の様子がなんか変だ・・・そんな日常のちょっとしたことがとんでもない大きな犯罪の一断面だとしたら。日常と恐ろしい犯罪がじつは隣り合わせになっていた、これこそがこの小説の題名クリーピー(気味が悪い)な部分です。 本の帯に「展開を予測できない実に気味の悪い物語」とありますが、その通り。ミステリーですから内容は書けませんが、作品の中で教授がゼミ生に講義するアメリカの女優シャロンテートが殺害される「チャールズ・マンソン事件」の不気味さと同様な恐ろしい殺人事件が起きます。また、著者はカポーティが大好きなようです。このこともこの小説のテイストのヒントになるでしょう。とにかく今まで読んだ警察小説などとは異質のミステリーです。このあたりがミステリー新人賞を受賞した理由なんでしょね。

  • 気合いを感じさせる力作であり、それなりに吸引力はあるのだが・・・

    標題の意味は第二章 連鎖に書かれていて、シャロン・テート惨殺(または殺害)事件(文中ではチャールズ・マンソン事件)における、マンソン・ファミリーが獲物を探す時の言葉“creepy crawl(気味の悪い徘徊)”から。 映画『吸血鬼』(ロマン・ポランスキー共同脚本・監督・出演)での共演を契機に結婚したポランスキーとシャロン(当時妊娠中)の家に、マンソンたちが押し入り、脚本執筆のためロンドンに滞在していたポランスキーを除き、5人を殺害。 矢島善雄の人物設定は、他人の家に侵入するカルト集団のカリスマであったマンソンと、2002年北九州監禁殺人事件の松永太(河合園子の造形は松永と内縁関係にあった緒方純子?)がヒントになったと思われる。 改行が少なく著者の気概は伝わってくるが、殺傷事件がてんこ盛り状態、もっと絞った方がよかったのではないか。 これだけの犯罪を重ねた男の屈折の起因が、女にだらしない父からの遺伝子発現、妹弟と比べた容姿の差異というのはどうにも納得できない。 “猟奇”という言葉を即イメージさせる西野昭雄からのプレゼント(西野信子)、矢島善雄の終焉は、トマス・ハリス著『羊たちの沈黙』に端を発したシリーズの映画版から悪影響を受けていると思われる。 さらに、犯罪小説で最も考慮しなければならない死体の処理、凄まじい死臭の問題を、前者についてはこれほど簡単に放置という手段を用い、後者においてはこれほど軽々と無視するとは・・・。 野上誠次の長い手紙は河合園子の文章と言うより著者の文体そのもので、もう少し工夫が欲しかった。 “悪の天才”他、それに類した嵩上げ的安直な表現は控えた方がいいし、女性の容貌と服装の描写が下手過ぎなのは逆に笑いを喚起する装置として機能するが、それが狙いとも思えず著者の性的嗜好の一部が出てしまったのか? 第六章 幻影に書いてある“タイトルも記憶していないイタリア映画”のストーリーは、パリっ子フランソワ・オゾン監督、シャーロット・ランプリング主演のフランス映画『まぼろし』(2000年)のプロットそっくり。 『アンダルシアの犬』で画家のダリと共同監督を務めたルイス・ブニュエルの代表作『哀しみのトリスターナ』のヒロインと園子を連関させているところからも、著者は映画に興味があり、それは大学院時代に蓮見重彦の薫陶を受けたからなの? 物語中、“長身”に拘っている点からも、公称184センチの蓮見さん(私が間近でお会いした2002年、老いて背骨が縮んだか180もなかったような印象だったが)を連想させ、もしかして矢島のモデルは蓮見さんじゃないかと莫迦なことを書いておこうっと。

  • なかなかに作品

    どんでん返しに参りました。悪い奴が二人いるというパターンだと話が複雑になるミステリーに対して、上手い具合に辻褄を合わせるストーリーに感服。ただ、殺人の動機が弱いような印象はあります。それだけで人を殺すし、殺されるんだろうか。主人公の大学の先生がお節介なところが悲劇を招いてるところも、ミステリーに花を添えています。

  • 映画化には疑問が・・・

    西島、香川コンビで映画化されるということで読んでみた。設定が雫井修介の「火の粉」や宮部みゆきの「理由」に似てなくもない。不気味な雰囲気でスタートする出だしはまあまあだが、残念なことに各エピソードが偶然に支配されすぎてリアリティに欠ける。犯罪行為の理由づけも甘くて納得がいかない。

  • あなたの隣人は本物ですか?

    「クリーピー」というタイトルに惹かれて読んだ。主人公である大学教授の近隣で起きた事件が、過去に起きた事件と相似形であったことが、事の始まり。温厚そう見えた隣人が、狂気の刃を向ける…、予測のできない展開に息もつけなかった。それにしてもなんとおぞましい。本当にクリーピーだった。次に何が待っているのか、一気に読んでしまいたい誘惑と、あまりの気味の悪さに読むことをためらう気持ちがせめぎ合った。 事件から何年も経つのに、杳として行方の知れない容疑者はどこへ行ったのか。主人公と同じように私もまた容疑者の行方を追っていた。最後に何か企んでいるのではないか。しかし、予想は見事に裏切られた。身の毛がよだった後には救いがあった。これぞミステリーの醍醐味かもしれない。

  • 久々に止まらない

    読み始めたら読み終わるまで続けて読んでしまう面白さです。巧妙な構成で奇想天外の展開でワクワクしながら読み耽ってしまいます。ミステリーとしてだけでなく、登場人物の心の動きも良く書けていて文学作品としても心にも響くものがあります。

  • 気味悪い世界を堪能

    こんなにゾクゾクざわざわする小説は久しぶりだ。 「あの人はお父さんじゃない」と訴える娘。いつの頃からか見かけなくなった奥さん。隣家で何かが起こっている。隣のご主人は何かがおかしい... 何が起きているのか分からないが、とにかく気味が悪くて怖い。いや、何が起きているか分からないからこそ、想像がふくらみ怖いのか。 もしも我が家の隣の家で何か不気味なことが起きているとしたら、と考えると怖くて怖くてたまらなかった。 現代を扱った小説ながら、なんとなくおどろおどろしい雰囲気は、まるで昭和時代の話のようだ。作者にとってデビュー作であるが、60歳オーバーという年齢もあるのか、とにかく雰囲気が今風でないのが秀逸。 ツッコミどころは山とあるだろうが、そんな細かいことには気にせずに、この気味悪い世界を堪能したい。

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