日本の文学賞

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奇譚を売る店

酒飲み書店員大賞

奇譚を売る店

芦辺拓

古書店をめぐる連作怪奇ミステリ。古書蒐集に魅せられた人々の欲望と悲哀を、幻想、犯罪、書物への執着を交えて描く短編集。

古書怪奇ミステリ

作品情報

奇譚を売る店は、受賞歴と書誌情報を確認して記録した作品。

古書店をめぐる連作怪奇ミステリ。古書蒐集に魅せられた人々の欲望と悲哀を、幻想、犯罪、書物への執着を交えて描く短編集。

レビュー要約

  • 幻想怪奇と本格ミステリを横断する構成が魅力。書物に取り憑かれた人物たちの業が連作として積み重なる。

書籍情報

出版社
光文社
発売日
2013-07-18
ページ数
208ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784334928896
ISBN-10
4334928897
価格
517 JPY
カテゴリ
本/文学・評論/ミステリー・サスペンス・ハードボイルド

物語に、喰われちまえ。想像力の暴走に任せた、驚くべき古書幻想譚 また買ってしまった──。 店を出たとき、必ずつぶやく独り言。そうやって手に入れた書物が、目眩く悪夢へと誘う……。 博覧強記の探偵小説家が、想像力を駆使して、本そのものの業(カルマ)に迫った悪魔的傑作。

レビュー

  • いいです!

    こう言うの好きです。 言いかたはなんですが、こう・・ちょっとB級なニオイがする小説は良いですね、 あ~わかるわかる、この感じたまらないなって言う・・ 上手く言えませんがかなりツボだったと言うことで。

  • 奇譚を売る店を読んで

    このミステリーがすごいにランクインしたので,読んでみました。 現実と空想が入交り、どこまでが事実かがわかりませんが,この手の小説はよくあります。 ただし,起こることがすさまじいので,迫力があります。 頭をこんがらさせたい人にはお勧めです。

  • 後発作である「おじさんのトランク」「楽譜と旅する男」に比べるとさすがに試行錯誤感が否めないかも。

    「おじさんのトランク」「楽譜と旅する男」と作者さんの幻想小説を発表順とは逆方向へ遡っていよいよ第一作へ。他の二作は大いに楽しませて頂いたので当然ながら期待値は高い。 構成の方は連作短編なのだけれども、古書マニアである「私」の「また買ってしまった」という後悔めいた独白から入る冒頭が共通項となっている辺りに作者の遊び心を感じる。自嘲と共に買った物を読み耽っていると「私」はいつの間にか奇妙な事件や現象へと誘われていく……というのが主な展開。 各話で「私」が買うのは明治時代の精神科病院の案内であったり、戦後のカストリ小説誌であったり、既に廃刊したマイナーな児童向けマンガ雑誌であったり、制作されずにポシャった映画の企画書であったりと実に様々。ただ、展開自体は後発二作と比べると随分と怪奇調を帯びているというか、ホラーっぽい雰囲気を漂わせたものが多い。 少しばかりネタバレになるけれども後発の二作と通じる部分もあるのだが各話の独立性は本作が一番高いかも。何しろ「私」は毎回誘われた怪事件の末に悲惨な末路を辿るオチが殆どなのである。なので最初の話を読み終えると「あれ?主人公がえらい目に遭ったのにこれどう話を続けるつもりなの?」と戸惑われるかも知れないが、一章読み終えると次の話では何事も無かったかの様に「私」が古書を飼う場面から話が始まるので読者は再び「あれれ?『私』って同一人物じゃ無いの?」と大いに戸惑う事に(この点については最終章で意外な方向へと話が振られる) 怪奇っぽい話が多いとは申し上げたが、中にはメタフィクションっぽい実験作も混じっていたりする。特に「私」が子供の頃に読みながら続きが気になっていた児童漫画を漁り、投げっ放しな打ち切り同然のオチを突き付けられる「こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻」は終盤でフィクションと現実という階層の異なるリアリズムが溶け合う様な奇妙な味わいとなっている。 また、あとがきによれば作者自身が古書マニアの様で、古書を漁る楽しみを伝えたいという想いが割とストレートに出ている所も感じられる。特に第二章の「這い寄る影」なんかは戦後すぐに大量に出版されたカストリ雑誌の中で有象無象の作家が書き散らした後の時代に残らない珍作を漁る楽しさみたいなものが漂ってくるので思わず「古書店漁りに挑んでみようかな?」と思わされる方もいるかも。 ただ、読み終えてからの感想を申し上げれば、正直後から発表した二作に比べると完成度という点からは見劣りがする。とにかく各章で主人公である「私」の芝居っ気が強過ぎるというか、主人公の立ち居振る舞いが目立って、折角の怪現象を食ってしまっている印象。後発の二作が幻想的な怪事件を淡々と「私」の視線を通じて読者に披露していたのに比べると作者も方向性を決めかねていた様に思われる。 特に最終章で明かされる、各章の「私」が別人の様にしか思えない構成の真実が明かされる展開は芝居っ気が強過ぎて少々辟易させられたというのが正直な所。無論、この部分についての読者の反応があまり芳しくなかった事から作者なりに修正したから後発二作では怪事件や幻想じみた状況が主体になったのだとも言えるけれども。 作者の幻想小説シリーズをどれから読まれるかは読者自身が決めるしか無いが、本シリーズに関しては完成度が高められた後発作品から読んで正解だったなというのが正直な所。

  • 私には不向き

    読んでいて、意味が分かりずらかった。途中でやめました。読みづらいです。

  • 本好きにはたまらない本

    6人の本好きがたどる幻想的物語。作者はミステリー作家ではあるがこの物語はミステリーではなく幻想奇譚である。その手のお話の好きな人は満足すること請け合い。 本の装幀がこれまたよくて「本を所有する喜び」を与えてくれる。電子書籍では絶対不可能。

  • ぞっとする作家たち

    2013年に出た単行本の文庫化。 ミステリというより、怪奇小説に近いテイストの作品だ。ある古書店にまつわる奇譚が6篇収録されているのだが、独立した物語群が最後の一篇で見事に結びつけられていく。しかも、それがありがちな連作短篇とは異なり、真の恐怖へとつながっているところがすごい。 個々の物語もひねりが効いていて怖い。

  • 魅力的な作品であるがどこかで読んだことのある印象が強い

    古本屋で入手した古書を題材にした6つの短編からなる物語。古本屋という所は現実の世界と虚の世界と の接点なのでは?と思わせる怪しい雰囲気を内包しているようだ。各編ーまた買ってしまったーで始まる 物語の出だし、それはまるで魔法にでもかかってしまったかの様にお客を魅了する。 で、内容は江戸川乱歩の「押絵と旅する男」やA.シュワルツェネッガー主演映画「ラスト・アクション・ ヒーロー」に似た印象を受けた。新鮮味の少ない点が残念だった。

  • 昭和レトロの雰囲気満載

    芦辺拓という作家さんはこれが初読です。むしろ本格ミステリ作家として有名で、この種の本はめずらしいとか。ただ、あとがきにも書かれていますが、「幻想小説家としての資質も具えている」と以前から評され、ホラー小説のアンソロジーなども編んでおられるようなので、こういう傾向のものにも才能がおありなのでしょう。 どの短編も「また買ってしまった・・・」という古書愛好家のつぶやきから始まります。主人公は作者自身の分身ぽいですが、同じ人物ではなく、短編ごとに違うという設定のようです。どんどん本が増えていくばかりで、お金も減っていく、それなのについつい買わずにはいられない、本好きの心理がよく表されています。今の若い人はあまり古本屋には行かないと思いますが、奥のレジカウンターに座っているオヤジがじろりとにらむのが怖かったことなど、時代設定にもレトロ感があり、昭和の時代を生きた世代にはなつかしい素材があふれています。そして、ホラーやいわゆる”不思議な味”の小説が好きな人にはたまらないと思います。 「帝都脳病院入院案内」は、精神科医で作家でもある北杜夫氏(小説「楡家の人々」で有名)の生家で、実在した青山病院がモデルだということです。明治、大正の頃にはまだよく理解されていなかった精神病院のどこか怪しげな冊子。そしてその図面を基にしてジオラマの家を建ててしまう、そうしたらその中に何か動くものをみつけて・・・というあたり、これもなつかしい作家フレデリック・ブラウンの「人形」(”未来世界から来た男”収録)を思い出しました。 「這い寄る影」は、戦後、大量生産されたエログロB級大衆雑誌と、そこに寄稿する作家の悲哀、 「こちらX探偵局/怪人幽鬼博士の巻」は、販売日が待ちどおしかった少年漫画雑誌がテーマ、 「青髭城殺人事件/映画化関連綴」は、映画が最高の娯楽だった時代の話、実在の監督名などをもじった表記などは(円谷英二を葛谷瑛二とか)マニアの方にはクスっと笑えてとても楽しいと思います。 「時の劇場・前後編」は、希覯本に対するマニアの異様な情熱とオークション落札の話、 そして最後の表題作「奇譚を売る店」では和文タイプライターが登場。現在はパソコンのソフトやアプリですが、その前には文章を書く機能に特化されたワードプロセッサーがあり、さらにその前にはタイプライター、カナタイプライター、和文タイプライターがあったという変遷の話が、知っている人にはなつかしいでしょう。また、カナ横書きを普及させようとした団体”カナモジカイ”のことは初めて知りました。昔、小学校しか出ていない人が多かった時代に、漢字を多く含む文章では一般の人が文章を理解できないということで、カナの多用を推奨した団体だそうですが、1920年に設立され、一時期は一定の影響力があったようです。これが通っていたら、中国が簡易漢字を採用したり、韓国語がハングルのみで表記されるようになったのと日本も同じようになっていたかも??安易にそうならなくてよかったと思いますが。 話がそれましたが、この最後の短編で、とうとう現実と妄想、幻想の境目がなくなり、主人公、そして読者も取り込まれてしまうという流れになっています。 長くなりましたが、自分にはとても好みの作品でした。装丁と挿絵も内容の雰囲気にぴったり合っています。今度は著者の本格ミステリも読んでみたいです。また、こちらの雰囲気が気に入られた方には、井上雅彦「遠い遠い街角」もおすすめです。

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