日本の文学賞

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嗤うエ-ス

サムライジャパン野球文学賞

嗤うエ-ス

本城雅人

プロ野球界を舞台に、エース投手をめぐる疑惑と人間関係を追うミステリ。勝負の世界の華やかさと裏側の緊張を重ねて描く。

野球小説ミステリプロスポーツ

作品情報

嗤うエースは、本城雅人の視点から題材の核心をたどる受賞作である。

嗤うエースは、受賞時に注目された主題と書籍としての刊行情報を整理できる作品である。本文は、題材の背景、人物の選択、時代や社会の空気を重ね、読み手に考える余地を残す。

レビュー要約

  • 題材への切り込み方と読み進めやすさが評価されている。人物や背景の描写に厚みがあり、受賞作としての読み応えを感じる読者が多い。

書籍情報

出版社
幻冬舎
発売日
2010-08-01
ページ数
402ページ
言語
日本語
サイズ
13.5 x 2.9 x 19.5 cm
ISBN-13
9784344018785
ISBN-10
4344018788
価格
1650 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

嗤うエース [単行本] [Aug 01, 2010] 本城 雅人

レビュー

  • さすがスポーツ新聞の記者

    作者は元スポーツ新聞の記者。 この本は、ある神童的なセンスと実力を持ったピッチャーの14歳から27歳までの激動が描かれている。当然フィクション。 この本は、八百長と言うより、野球賭博について本当に詳しく説明してあり、さすが元スポーツ新聞の記者と言うことと、今回の相撲界に激震を巻き起こした「野球賭博事件」を狙って書いたのだろうと想像がつく。 この本の内容とは少しずれるが、あの相撲界の野球賭博が突然露見したのは、何か分けがあるのかもしれないが、相撲の記者は野球賭博が普通にそれこそ日常茶飯事的に行われているのは公然の事実と言うことだった。 野球賭博が全国組織で繰り広げられていて、全国統一のハンディで成り立っているという日本のすごさには驚かされる。日本の国技は相撲ではなく野球ではないのか? さてこの本、赤貧の家庭で育った主人公ピッチャー。父親は賭事で借金を作り蒸発。その環境で淡々と野球に打ち込み、高校時代は春も夏も甲子園で準優勝。プロに入っても二年目からエースで活躍している。 ただ甲子園の決勝の際には、8回まで完璧に押さえていて楽勝ムードだったのに9回に突如フォアボールとフィルダースチョイスでピンチを招き、味方のエラーで負けてしまう。二度とも。 プロ野球でも年に何試合か、突如乱れて楽勝が辛勝になったり逆転負けを食らったり…。 その原因が「野球賭博」関連にあるのでは…と気づいた警察・新聞記者・友人などいろいろな人間がそれぞれの立場で事実を解明しようと動く。 実際にこの主人公は八百長をしているのだ。しかしその方法が予想もできないすごいやり方で。 なぜそのようなことが出決るのか? どうしてそれができるようになったのか? いやそれをしなければならなかったのか。 完全にフィクションなのだが、いろいろな想いで読み込むことでものすごくおもしろい小説になってます。 この作者少し読んでみたいと思います。

  • 後藤正治さんの推薦

    週刊現代に後藤正治さんが書評を書かれていて絶賛していましたのでさっそく買いました。 和歌山の農村に住む極貧の家に生まれた少年が投げている試合で 偶然、刑事があやしい中年が少年にお金をはらい、八百長らしきことをやらせてしまったのを目撃する。 少年は地元名門校から甲子園の決勝までいくのですが、そこでも同僚選手はあやしいやくざものとの接点を目撃する。しかも試合には負けた。 刑事、そして高校時代のチームメイトが雑誌のトップ屋として、プロに入ったエースを追いつめていきます。 後藤さん曰く、この小説に中上健次さんの雰囲気を感じたとか。 そうですね。前半の場面ですよね。私もそう思います。あの雰囲気があるからエースが悪いことをしているのに感情移入しているわけですね。 読み終えてしまって、自分がなぜ追いかける側の刑事や記者ではなく逃げる側に関心がいくのか、やっと分かりました。 逃げる側に感情が入るか、追いかける側に入るかでは最後の気持ちはまったく違ってきます。 そして最後。私は深くにも目頭が熱くなりました。 野球のシーンはすくないので女子でも全然いけますよ

  • 野球、大好きです

    40代男性です。 自分自身、高校で野球をし、その後も色々なゲームを観戦したり、プレーしたりして楽しんできました。 さらには、多くの野球ドラマを漫画、映画、歌、読書、などなどでも楽しみました。 この作品は八百長を題材にしているだけに、暗く、疑心暗鬼の雰囲気を持ちながら進んでいきました。読んでいて、興味深い話でした。しかし、「野球の事を悪く言うならば、もう、本城さんの作品は読まないぞ」という、こちらが疑いの気持ちを持ちながら読みました。そんな危うい所も感じさせる内容でした。 結末に驚きました。「本城さんも野球が好きなんだ」と思いました。「野球を正しく愛さない人への憤りをもっているんだ」とも思いました。 必ずしもハッピーエンドではない。しかし、同時に、精一杯生きた一人の野球人の人生を描いてくれたと思います。 他の作品を読むのが楽しみです。

  • 運命が悲しすぎるけど・・・

    野球賭博の実態を、もとスポーツ記者ならではの視点から描いた社会派サスペンスを期待していましたが 人と人とのつながりは理屈ではなく、望むと望まらず否応なしの絆で結ばれているのだと教えてくれた 少し物悲しい中にも温かななにかを感じる、人間ドラマでした。 主人公がたどりつく運命があまりに悲しくて、ラストシーンは作者を少し恨んでしまいましたが 浪岡の想いがこの究極の状態になってこそでしか語られることがなかったのであれば 必然の運命だったのだ、と納得できました。 他の野球を扱った2作品同様、これを知ってから野球を観戦するともっと面白いという情報も。 野球好き、人情ドラマ好き、の方には、お勧めしたい作品です。

  • スポーツ小説というより、社会派小説?

    世間をにぎわせている野球賭博が題材ですが、時代的には少し前の、昭和40年代から50年代を背景にしています。 一概に野球賭博といっても、賭博のからくりなど初めて知る事実は多くて、こういうふうに一般の人を引き込んでいるのかと勉強になりました。確かにこれなら勝てると思って賭けてしまうかも(笑) 各登場人物を通してリアリティーが伝わってきたし、野球が市民の生活にいかに深く根付いてきたか(特に戦後から50年代にかけて)を改めて感じました。スポーツ小説というよりは、社会派小説といったほうがいいかもしれません。 不思議な事にいつの間にか主人公の浪岡に感情移入。でもオチで明かされた浪岡の本音、よく読めば伏線としてところどころ書かれていたことに気づきました。

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