日本の文学賞

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LOVE

三島由紀夫賞

LOVE

古川日出男

東京を舞台に、居場所を失った若者たち、殺し屋、野良猫たちの交錯を疾走感ある文体で描く青春群像小説です。

東京青春群像喪失再生

作品情報

LOVEは、受賞作として読まれるにふさわしい特色を持つ作品です。

東京を舞台に、居場所を失った若者たち、殺し屋、野良猫たちの交錯を疾走感ある文体で描く青春群像小説です。

レビュー要約

  • 作品の素材と文体の個性が評価され、読後に残る余韻や構成への関心を集めている。

書籍情報

出版社
祥伝社
発売日
2005-09-01
ページ数
329ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784396632533
ISBN-10
4396632533
価格
405 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

都市とそこで生きるものたちの喪失と再生を、鮮やかにきりとった青春群像小説 なんとも新鮮で、神話的で、「すべて」がある世界なんだ。 ——高橋源一郎 古川日出男は、我々の足元に広がる(でも、衰弱した我々には感じることのできない)「もう一つの世界」の匂いを嗅ぎ、その音を聴き、見つめることができる。ちょうど、野良猫がそうであるように。それは、なんとも新鮮で、複雑で、神話的で、ええい、「すべて」がある世界なんだ。 ——高橋源一郎 僕は速度だ。 あたしたちは全員同じだ。 でも、あたしたちは全員、違うのかもしれない。 現代なんて三月後には消費されて、東京の記憶から消されるんだろうな。 僕は速度だ。 あたしたちは全員同じだ。 でも、あたしたちは全員、違うのかもしれない。 現代なんて三月後には消費されて、東京の記憶から消されるんだろうな。

レビュー

  • 最初はまあまあ面白かったが、ちょっと長過ぎる。

    作者によれば、この作品は「巨大な短篇」ということらしいが、普通に読めば、東京(の 五反田周辺)と猫を主題にした連作短篇であり、映画で言えばグランドホテル方式を 取った作品ということになるだろうか。 個々のエピソードはそれなりに捻ってあって、まあまあ面白いと感じる瞬間もあったが、 読み進むにつれて、どうやら個々の物語とその登場人物たちは、単に一回限りのもの として使い捨てにされるだけで、最初のほうに出てきた人物がのちに再登場するとか、 この話が全体としてどこかに収斂するといったことはないらしいと気づき、その時点で やたらと饒舌な語り口が鼻につき出して、途端に飽きてしまった(首都高2号線とか 418号線とか、さすがに何度も出し過ぎである)。 個々のエピソードの収束のつけ方にしても、とりあえず何かしら事件を起こせば一丁 上がりみたいな姿勢がやや安易で、それを何とか文体の力で引っ張っているような 作品に思えるが、ほぼ10年前の作品ということもあり、今読むとジュブナイルやヤング アダルトといった単語を連想してしまう語り口が、空回り気味に思える部分もあった。 構成らしい構成はなく、この程度の水準の作品であれば、いくらでも筆の赴くままに 書き飛ばせるよという、作者の力量自慢をされているようでもあったが、せめてこの 半分の長さにして、『4444』のように構成にもひと工夫あれば、これより数段ましな 作品になったはずなのにと惜しまれる。

  • 三島由紀夫賞の謎

    わけが分からずかつ退屈な小説である。若者が何人か出てきて、わーってやって、あ、そう、というような小説で、なんでこれが三島賞をとるのか理解不能。古川は娯楽小説作家なのだから、どうしても賞をやりたいなら山本賞をやれば良かったのである。さもなくば、散文詩と見なして詩の舞台で評価すればよいのである。 三島賞というのは、かつては車谷長吉や佐伯一麦を発掘していたが、このところおかしな受賞作が続いている気がする(小野とか鹿島田とか小林とか)。

  • 古川日出男中級者におすすめ

    古川日出男は常に「今まで読んだことのない小説」をわたしたちに突きつけてきます。 今回の『LOVE』もその期待を裏切りません。 しかし「プロット(≒ストーリー)重視」の方は,この本を手に取るより先に『アラビアの夜の種族』や『ベルカ吠えないのか』を先に読むことをお勧めします。 これらを先に読み,古川日出男世界にある程度慣れてから,『LOVE』に進んでほしいです。

  • ゴタンダ・キャッターズっていいなぁ

    お気に入りの作家。なので、読むのをずっと我慢していた一冊。 期待通りだったな。というかそれ以上だった。今まで読んだ彼の作品の中でも一番好きだ。 描かれている、五反田界隈はなじみのあるところだし、それ以上に猫好き、ノラ猫好きの自分にとっては、自分のために書かれたかのような錯覚に陥るほど。 ゴタンダ・キャッターズの一員になりたい。

  • フランクな文体の群像紹介小説

    文体は誰かが誰かを誰かに紹介や説明をしているような感じで、まるで作者本人からかくかくしかじかこれこれこうでさ〜。とファミレスでお茶でもしながら話を聞いているようなとてもフランクな印象を受けました。こんな小説は初めてです。 説明として、東京の街中の細かな住所や場所等が作中で所狭しと出てきましたが、私は東京には全く疎くて意味不明でした。東京の方だったなら「ああ〜あそこね〜」となってより小説の中の世界に身を投じることが出来たのではないかなと思いました。そういった意味では東京の方にはおすすめな一冊と言えるのではないでしょうか。 こんな小説は初めてと前文で書きましたが、兎に角東京に住む人々の断片が集約されていてそれが微妙に絡み合って一つの街として表現している様に思えました。作者が述べているように【巨大な短編】です。そう、その通りと思いました。短編集の様でそれとは違って、一つの長編かと言えばそうではない。正に巨大な短編と言う表現そのもの。今までに無かったような不思議な小説です。だから賞を受賞できたのでしょう。そんな小説でも一貫して登場するのは猫です。猫にも人と同じように様々な群像があるのだなと、擬人化して感じました。 なおこの作品は 【第19回(2006年)三島由紀夫賞】受賞作

  • 「ベルカ」に対して

    ベルカで、二十世紀を犬たちの視点から書き直してしまった古川日出男。今回は、東京の街を猫たちの視点で書き直す。 あいかわらずよくわからないジャンル。三島由紀夫賞は、基本的に純文学の賞のはずなんだけど、それでも取れちゃうのはやっぱり実力があるから。だから三島賞、好きさ。きちんとあげなきゃいけない作家にあげているからな。 文体が魅力的。心内語をこうまでうまく使える人がいるでしょうか。あと、二人称がすごすぎる。二人称小説というのは、たいてい、ゲームブックのように非常にしょぼいことになってしまうけれど、これはきちっとしていて、非常にかっこいい。

  • テンポが良くて、おもしろいです

    とにかくテンポが良くて、おもしろいです。 村上春樹の『海辺のカフカ』と吉田修一の『パレード』と伊坂幸太郎の『ラッシュライフ』を足して三で割ったような感じとでもいえばいいのでしょうか。 『海辺のカフカ』のように猫や歴史の話が出てくるけど、登場人物や状況設定がもっと現実的で、『パレード』と同じく東京という街のもつ怖さが出ているけど、その出し方はチョロっという程度で、『ラッシュライフ』のようにグランドホテル形式だけど、もう少し軽快でノリがいいという感じなのです。 東京に住んでいる方々は登場人物の何人かに「わかるなぁ」と思いながら、また東京に住んでいない方々も時々「う〜ん」とものを考えつつリズムに乗せられて、結構楽しく読めるのではないかと思います。軽快さに乗りすぎて、あわてて読むと「ん?」となり、なんとなくもう一度読み直してみようかななどとも思わされました。

  • 「何よりカモが命じた、ガー、と。」

    古川日出男さん特有の短く切ったスピード感のある文章に捕らわれると、胸倉を掴まれたみたいに物語にひきこまれます。二人称で語られる物語も最高です。そして登場人物の名前がいつもながら冴えてるわー。 そんなで結局買ったその日に読みきってしまいました。 猫がかなり重要な役目を果たすので、「ベルカ、吠えないのか?」と対になってるのかな?となんとなく思いました。「沈黙」に対しての「アビニシアン」のような。 雰囲気としては「サウンドトラック」や「gift」なんかに似てるかな。

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