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評伝 黒澤明 (ちくま文庫)

Bunkamuraドゥマゴ文学賞

評伝 黒澤明 (ちくま文庫)

堀川弘通

黒澤明の助監督として現場を共にした堀川弘通が、青年期から世界的監督となるまでの歩みを、映画製作の記憶と同時代の空気の中で描く評伝。作品論だけでなく、戦時下の撮影、東宝争議、スタッフとの関係を通して、巨匠の人間像に迫る。

映画史評伝師弟関係戦後日本映画

作品情報

現場を知る映画監督が、世界のクロサワの素顔と時代をたどる。

『評伝黒澤明』は、堀川弘通が自らの映画人生と重ねながら黒澤明を描いた本格評伝である。助監督時代の記憶、戦時下の映画作り、東宝争議、『七人の侍』以後の展開などを通じて、創作者としての厳しさと人間的な魅力を立体的に伝える。

レビュー要約

  • 助監督としての近さが、資料的な記述だけでは出にくい臨場感を生んでいる。黒澤作品を支えた現場の緊張や人間関係を知りたい読者に向く。

書籍情報

出版社
筑摩書房
発売日
2003-09-10
ページ数
353ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784480038821
ISBN-10
4480038825
価格
1145 JPY
カテゴリ
本/エンターテイメント/演劇・舞台/演劇

第11回(2001年) Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞

レビュー

  • 黒澤明氏の評価 これに極まる。

    やはり、同じ時代 同じ職場を過ごした方だからこそ言える黒澤明氏のエピソード。これを読めば他の黒澤明氏の書物は読まなくても良いと思います。

  • 現場からの好意的な報告。

    助監督として長く傍に仕えた人の報告ですから、現場視点の内容の精度は高いでしょうが、本書を参考にしたという小林信彦さんの「黒澤明という時代」を先に読んでしまったので、目新しさは感じなかったです。が、本木荘二郎氏の話は初めて本書で知りましたし、大変以外ではありました。それよりも、目新しさを感じなかったのは、心酔しきっている方の、好意的にならざるを得ない筆致であることからの「またいつもの・・・・・。」という印象がらでしょうね。読んでも損はないと思います。

  • インサイドものとしては秀逸

    黒沢組の助監督からはじまり、ご自身も名作を多くものしている堀川監督の黒沢監督の評伝。ドゥマゴ賞を受賞したほどの味わいある筆致はさすが、と思わせる。 黒沢組の中核メンバーの中でも、良くも悪くもクールである程度距離を置いての視点から書いているところが良いと思う。単なる礼賛になっていないし、黒沢監督の独特なところを性格に捉えつつも、それがその後の弊害や苦労に繋がる部分を冷静に書ききっている点が、評論としても出色の出来を示していると思う。

  • よく書けてはいるのだが

    著者の堀川氏は、自身映画監督であるが、黒澤明の助監督として等身大の黒澤に接してきた人。それだけにこの本は、巷のクロサワ本とはひと味違ったものといえる。第一章「道を模索して」は既存の文献の引用が目立つので、あまり面白みがなかったのだが、第二章「助監督時代」以降、つまり堀川氏が見た黒澤明についての記述になってからは俄然、叙述が生き生きしてくる。『馬』の助監督のとき、主演高峰秀子とのあいだに結婚話やセックスについてのくだり(55-60頁)など、「ヒューマニスト」黒澤からはかけはなれた実像を知る思いだ。 また米英合作映画『トラ・トラ・トラ!』の挫折をめぐる経緯などは、黒澤の被害妄想、一瞬即発にまで悪化したスタッフたちとの関係、夜中の2時に撮影所のガラスを割りにいったという信じがたい奇行、そして孤独な彼をなかば放置した黒澤の親族たちにたいする思い「どう考えてもこれは異常というほかない」(294頁)などは、非常に率直でかつ真摯さに打たれる。 では、★4つか5つでもいいのではないかと思うのだが、★3つか厳しくすれば2つにせざるをえない不満が残るのも事実だ。たとえば『トラ・トラ・トラ!』のアメリカ側の監督がフレッド・ジンネマンから「二枚格落ちのリチャード・フライシャー」(285頁)に交代したと書いているのだが、フライシャーがジンネマンよりも本当に「格」が下なのかは疑問である。もちろん著者が、どの監督を評価しようが構わないが、フライシャー映画を心から愛する者の一人として、ときたま堀川氏の映画的感性を疑わざるを得ない記述が散見されることが残念でならない。 ちくま文庫版では、川本三郎の解説も内容を要領よくまとめてある。

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