作品情報
ただそこには、人びとの人生の語りがあるだけの本になります。
東京出身者、東京在住者、東京にやってきた人々の生活史を並置する編著。
書籍情報
- 出版社
- 筑摩書房
- 発売日
- 2021-09-21
- ページ数
- 1216ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 15.7 x 6.2 x 21.7 cm
- ISBN-13
- 9784480816832
- ISBN-10
- 4480816836
- 価格
- 4620 JPY
- カテゴリ
- 本/社会・政治/社会学/社会一般
♛第76回 毎日出版文化賞 ♛紀伊國屋じんぶん大賞2022 W受賞 150人が語り、150人が聞いた、東京の人生 いまを生きる人びとの膨大な語りを一冊に収録した、かつてないスケールで編まれたインタビュー集。 ……人生とは、あるいは生活史とは、要するにそれはそのつどの行為選択の連鎖である。そのつどその場所で私たちは、なんとかしてより良く生きようと、懸命になって選択を続ける。ひとつの行為は次の行為を生み、ひとつの選択は次の選択に結びついていく。こうしてひとつの、必然としか言いようのない、「人生」というものが連なっていくのだ。 (……) そしてまた、都市というもの自体も、偶然と必然のあいだで存在している。たったいまちょうどここで出会い、すれ違い、行き交う人びとは、おたがい何の関係もない。その出会いには必然性もなく、意味もない。私たちはこの街に、ただの偶然で、一時的に集まっているにすぎない。しかしその一人ひとりが居ることには意味があり、必然性がある。ひとつの電車の車両の、ひとつのシートに隣り合うということには何の意味もないが、しかしその一人ひとりは、どこから来てどこへ行くのか、すべてに理由があり、動機があり、そして目的がある。いまこの瞬間のこの場所に居合わせるということの、無意味な偶然と、固有の必然。確率と秩序。 本書もまた、このようにして完成した。たまたま集まった聞き手の方が、たまたまひとりの知り合いに声をかけ、その生活史を聞く。それを持ち寄って、一冊の本にする。ここに並んでいるのは、ただの偶然で集められた、それぞれに必然的な語りだ。 だからこの本は、都市を、あるいは東京を、遂行的に再現する作品である。本書の成り立ち自体が、東京の成り立ちを再現しているのである。それは東京の「代表」でもなければ「縮図」でもない。それは、東京のあらゆる人びとの交わりと集まりを縮小コピーした模型ではないのだ。ただ本書は、偶然と必然によって集められた語りが並んでいる。そして、その、偶然と必然によって人びとが隣り合っている、ということそのものが、「東京」を再現しているのである。 (岸政彦「偶然と必然のあいだで」より抜粋)
岸政彦(きし・まさひこ) 一九六七年生まれ。社会学者・作家。立命館大学教授。主な著作に『同化と他者化──戦後沖縄の本土就職者たち』(ナカニシヤ出版、二〇一三年)、『街の人生』(勁草書房、二〇一四年)、『断片的なものの社会学』(朝日出版社、二〇一五年、紀伊國屋じんぶん大賞2016受賞)、『質的社会調査の方法──他者の合理性の理解社会学』(石岡丈昇・丸山里美と共著、有斐閣、二〇一六年)、『ビニール傘』(新潮社、二〇一七年、第一五六回芥川賞候補、第三〇回三島賞候補)、『マンゴーと手榴弾──生活史の理論』(勁草書房、二〇一八年)、『図書室』(新潮社、二〇一九年、第三二回三島賞候補)、『地元を生きる──沖縄的共同性の社会学』(打越正行・上原健太郎・上間陽子と共著、ナカニシヤ出版、二〇二〇年)、『大阪』(柴崎友香と共著、河出書房新社、二〇二一年)、『リリアン』(新潮社、二〇二一年、第三四回三島賞候補)など。
レビュー
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ありがとうございました
岸政彦さんにはまってます。 猫派やし
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物語のない人生はない。
会ったこともない人たちの人生を垣間見ることに、こんなにも引き込まれるとは。同時に、私なら何を語るだろうと、語れるほどのことがあるだろうかと、翻って自分の生活を考えさせられた。
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すごい
この企画を通して素晴らしい一冊に仕上げたことに驚きます
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リアルな人生が面白い。
有名人ではない、ごく普通の人の人生を盗み見る様で、とても新鮮で興味深かった。
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よくぞ作ったもんです
たまたま時間つぶしに立ち寄った本屋で、「なんだこの辞書は?」と思って手に取り、その場で買ってしまったのでレビューさせていただきます。 こんなに分厚くて重い本を衝動買いすることになるとは…。 150人の方が語ってくれたご自身のこれまでの人生を聞き手さんがまとめてくれたものですが、本当に話し言葉そのまんまの素の語りです。 「って感じ。」を乱発していたりと、かなり稚拙な文章も少なくないのですが、ある意味現代を生きる人の素の言葉というのはSNSではたくさん見かけるけど書籍という形では案外少ないのでは。しかもこんな豪華なハードカバーで。 そういう意味では、現在の東京人の話し言葉がそのまま残るであろう、かなり貴重な文献にもなるかと思います。 とりあえず、適当に開いたページにある方の語りを一日数人程度読み進めています。おそらく全部読むのはいつになるやらという感じですが、読んでいると、語り手のこれまでの様々な人生、聞き手がおそらく一生懸命まとめてくれたであろう事、それからあとがきにもありましたが企画から編集までの膨大な苦労を思い浮かべてしまいます。 そういう意味では、この分厚い一冊の何倍もの濃さをも感じます。 ただ、この話言葉そのまんまの文体は、素人の作文を読んでいるのに等しく、決してものすごく楽しいものとは言いにくいかもしれません。 プロの方が書いた文章の方が、やはり面白いし読み応えあります。 正直、岸さんのあとがきが一番面白いと思います。 自分はここをまず読んだことで、ぜひ中身も読んでみたいと強く思いましたから。 このような、飾らない一般人の姿をまとめた本では、自分の知る限りでですが ・京都書院(現在はちくま出版で復刻してます)の「TOKYO STYLE」 ・いろは出版の「1歳から100歳の夢」 の二冊が非常にお勧めです。どちらも書店で衝動買いして、今も大切に持っています。 このような本が出版され、版を重ねてるという事実には、世の中まだまだ捨てたもんじゃない、とも思います。 ところで私がその場で買った決め手のひとつだったのが、3冊あったうち1冊にだけ【紀伊國屋じんぶん大賞2022 受賞】の丸いシールが貼ってあったからなんですが、これってレアなんですかね? あとでAmazon注文では、このシールは絶対ついてないだろうなと思ったのですが…。 ちなみに購入した場所はくまざわ書店さんだったので、尚更「?」でした。 でも、このシールがあることで、本のデザインもなんだかより引き締まったというか、特別感があるので買ってよかったと思っています。
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良い本かも
徹底したレッセフェールの元で出来たもんなんだから、情報不充分なところが多々あり、場合で人間像自体すら立てにくい 幾何に例えれば条件一つ出さないで証明しろと言われた感じ 本人に親近性のある人間でないと理解できない例についてなら、別の本での著者の「理解を越えた本を出したい」願望は叶ったとしか言えない その解釈しなくてもいい心の余裕を持つ人なら自由に楽しめるだろう
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昔、ターケルの分厚いインタビュー集が晶文社から出版されていましたね
昔々、晶文社といういまもある出版社が元気だったころ、「仕事!」「よい戦争!」「人種問題」など、分厚いインタビュー集が出版されていました。その真似かな、スタジオ・アヌーの「子供」というインタビュー集もありました。 その後、アメリカン・ジャーナリズムの刺激もあったのか、シカゴ学派の社会学者がシンボリック相互作用論に目覚め、もっと微細なるものを理論化する質的研究の大きな波が来ました。 要は立花隆さんが東大生にやったゼミのような、聴いて、調べて、まとめて、発表するという手法です。 聴くのは、耳を傾けることで、発言者が自分の話したいことを、自分が話したいペースで、自分が話したい組み立てで話せるように、インタビュアーが配慮すればいいだけです。 カウンセリングなんかでは、カール・ロジャースのノン・ディレクティヴな手法と言います。つまり、非指示的ですね。 ナラティヴセラピーでは、発言者こそが物語の主人公で、インタビュアーは脇役、モデレーターに過ぎないので、このような姿勢をノット・ノーイング(無知の姿勢)なんて言っています。 まあ、インタビュー時間のほとんどを主人公に語ってもらうようにしようということです。せれには、促すテクニックと妨げるテクニックがあって、ロジャースなんかがまとめているので、それを意識すれば、この本のインタビューなら、わりとうまくやれると思います。 で、ここに語られた物語は、このインタビューのときの発談者の真実であって、絶対的な真実(もし、そのようなものがあるとすればの話ですが…)と受けとるのはやめたほうがよいです。語られた物語をたのしむことにしましょう。 そうそう、こういうインタビュー集と、研究者のインタビューとの違いは何かというと、そこから理論が生まれるかどうかです(コービンという先生がそう言っていました)。 では、理論とは何か? それはゆっくりと勉強してくださいね。 追記:本書は分厚く重いし、読書台に置いてもなかなか大変です。「Popeye」誌の特別編集版「二十歳のとき、何をしていたか?」のような雑誌仕様の軽い紙ならまだましです。閑話休題、というわけでKindle化は必須です。Kindle化されれば、置き物として本を飾り、中身はKindleで読みます。ポパイのように写真はないのだから。 追記2:2022/02/01にKindle化されました。原本は2021/09に出版されたので早かったですね。筑摩書房のアホなところは,電子化された奥付の前に,「本作品は,2021年9月,筑摩文庫として刊行された」と書いてあるのですが,そんなんウソやん。それは筑摩書房から刊行された単行本やんか。筑摩文庫なんてあらへんし,自社の文庫を「ちくま文庫」ということも知らんのやなあ。アホや。笑うしかないわ。
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暑さ6cm。重さ1450g。1200ページ。
まるで辞書。 携行して通勤・通学時に読むわけにもいかないほどの圧倒的物量感。 市井の人々の人生は、かくも重たいのである。
関連する文学賞
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