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松林図屏風

日経小説大賞

松林図屏風

萩耿介

『松林図屏風』は萩耿介による日経小説大賞の受賞作。日本経済新聞出版社から2008年に刊行された作品で、受賞時に示された題材と語り口を通じて、人物の選択や時代の空気を描く。

人間関係時代の空気内面の変化

作品情報

『松林図屏風』は、日経小説大賞で評価された萩耿介の作品です。

『松林図屏風』は萩耿介による日経小説大賞の受賞作。日本経済新聞出版社から2008年に刊行された作品で、受賞時に示された題材と語り口を通じて、人物の選択や時代の空気を描く。 受賞作としての位置づけに加え、題名から立ち上がる印象と作者の関心が読みどころになる。

レビュー要約

  • 刊行情報や紹介文からは、受賞時に評価された題材の明確さと読み進めやすい構成がうかがえる。人物や状況の輪郭を追いやすい点が読みどころになっている。

書籍情報

出版社
日本経済新聞出版
発売日
2008-11-29
ページ数
295ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784532170899
ISBN-10
4532170893
価格
55 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

安土桃山の世、永徳率いる狩野派全盛の時代に独自の画風で対抗し、遂に脅かすまでになった絵師・長谷川等伯とその一派の盛衰を重厚な筆致で描く。謎多き巨匠の生涯に迫る力作歴史長編! 第二回日経小説大賞受賞!!

レビュー

  • この世あらざる絵

    温もりはない。 息吹もない。 そういった人の情はことごとく排除されている。 ……という等伯の「松林図屏風」。 金箔を押した眩い雲を背景に枝が縦横無尽に走り、花が零れる。花弁は天から降り、地に散り敷く。 ……久蔵が命を懸けて描いた「桜図屏風」。 二つは、いったいどんな屏風絵なのでしょうか。 日本画の知識は無きに等しく、「長谷川等伯」という名も、私はこの本を読むように薦めてくれた叔母から最近教えてもらいましたが、冒頭の「本能寺の変」から安土桃山時代に、あっと言う間にタイムスリップし、等伯や久蔵の視点で、そして、ラストは、史実では2男?(この本では長男)の宗宅の視点で、一気に読み上げました。 千利休や狩野永徳、秀吉の描写も興味深かったです。 ただ、「義晴」という人物の描き方は如何なものか。彼の心境の変化の理由が、私にはわかりづらく、もう少し書き込んでほしかったと思います。 また、等伯と義晴を絡ませる必要はあったのでしょうか。ちょっと疑問です。 でも、キーワードである「この世あらざる絵」が、いったいどんな絵なのだろうかと、最後まで読者を引っ張る筆致は見事だと思いました。とても面白かったです。 蛇足ですが、装幀の「松林図屏風」という文字は、暗所だと銀色に浮かび上がって見えて、美しいです。 追記 平成25年1月16日、直木賞受賞作品を聞いて愕然……。安部龍太郎著「等伯」。 えーっと思い、インターネットで調べたら、叔母が感動したのは、直木賞受賞作品の方だということが判明しました。 「松林図屏風」も、日本経済新聞社発行だったので、どうやら早合点してしまったようです。 抜けている私らしい誤りですが、前向きに考え、二つの作品を比較して読んでみたいと思います。

  • 表面上は長谷川等伯及びその息子の久蔵の"絵師の業"を中心とした伝記風時代小説であるが、「哲学篇+宗教論」という本質を持つ秀作

    作者の作品としては(発表順は逆だが)「イモータル(連作短編集形式の哲学篇)」に続いて本作を読んだ。本作は長谷川等伯及びその息子の久蔵の"絵師の業"を中心とした伝記風時代小説であるが、全編に哲学風味が漂っている点に如何にも"らしさ"を覚えた。 能登の染物職人の息子として生まれた等伯の成り上がり譚(秀吉のそれと重ね合わせている点が巧み)、それ故の格式が高くて華美な画風の狩野派に対する敵愾心、幾つかのラブ・ロマンスの織り込み等、物語としても楽しめるが、(ラブ・ロマンスを除くと)大枠は作中にも登場する等伯の親友日通の「等伯画説」の記載の域を越えるものではなく、新しい等伯像を描くというよりは、別の狙いがあったのではないか。等伯があるキリシタン豪商から「この世あらざる絵」の依頼を受ける(結局は中止となるが)エピソードが核となっているという印象を受けた。「この世あらざる絵」とは果たして何なのか、哲学談義の様でもあるし、禅問答の様でもある。また、キリシタンの集会で聴いた賛美歌によって等伯がある種の悟りを得る件も宗教論の趣きを呈している(「哲学篇+宗教論」はディドロ「ダランベールの夢」を想起させる)。本作の場合は主人公が絵師なので、「この世あらざる絵」あるいは「自分だけが描ける絵」となっているが、他の職業であっても、何を目標(生き甲斐)として仕事を進める(人生を生きる)のか、という読者への形而上学的問い掛けの色彩が濃い作品である。 そして、等伯が死の直前に最後に描き、本作の表題ともなっている代表作(国宝)「松林図屏風」(枯れて"いない"山水画の由)は果たして「この世あらざる絵」なのか否か、最後まで余韻が残る秀作だと思った。

  • 等伯と久蔵

    等伯が主人公ではあるのですが、 久蔵の存在がとても大きく感じられました。 絵師としての苦しみや、描くことへの火傷するような情熱や純粋さを凝縮した人生を送り ある意味絵師として太く短く"生ききった"久蔵。 狩野派に羨望とも嫉妬とも言える心情を持ち 権勢に泣き、権力に翻弄されるも、抑えた情熱で一派をまとめる等伯。 絵師として成功した後 妻、友、弟子、息子の死、様々な死が等伯の人生を通り過ぎます。 「死」に慣れたあと、どのように「松林図屏風」を描く心境に至ったか。 最初から最後まで、文章にこもる感情はとてもフラットで淡々としています。 しかし、そうであるからこそ作中の人物がよりリアルに感じられる気がしました。 最終節の、宋宅の手紙では思わず涙を流してしまい、自分でもびっくりました。 天才を描いた小説ですが、最後の最後に凡人として達観した思いをあんな素直に述べられるなんて… まったく不意打ちでした。 作中の人物全てに愛情を持って読める、本当に面白い作品です。 ただ、他の方も述べられていましたが、 久蔵が「桜図」を描く過程と心情を非常にうまく丁寧に書かれているので 等伯が「松林図屏風」を描く経緯があっさりと感じられました。 あの国宝「松林図屏風」を生で見たことがあるなら、ぜひあの絵と対峙した時の感情や 絵の雰囲気・空気感を思い出しながら読んでいただきたい。 等伯の最期の心境と重なり更に感慨深く感じることができると思います。 おすすめです!買って良かったです。

  • 表題は、偽り!

    ・何故に、この表題なのでしょうか。 「松林図屛風」は、国宝絵画の中でも、見知ってる人の多い作品。それだけに表題に謳われれば、本に手が伸びる人は多くなる、実は私もそうだったが、なのに本文には、「松林図屛風」の一字なく、連なる一文もない。 また「松林図屛風」は、等伯の代表作、といって間違いでない作品。では作家の生涯を表わし得る作品か、を考えるに、この本を読む限り、俗に見える生き方が占め、相応しい、とは言い難い。 実際「松林図屛風」は、作中の智積院(祥雲寺)「楓図」と時期前後する作で、この二作を見ても、彼の画業は幅広く、また後も続き、「松林図屛風」を到達の証とするには、無理がある。 云うならば等伯「評伝(選考委員;高樹のぶ子氏)」本の表題を、「松林図屛風」と謳う理由は、実際上もこの本を読んでも、見出し難い。何故に表題としたか、するを良しとしたか、第一に作者が、さもなくば日経小説大賞選考委員が、明らかにすべきではないか。しないのは、表題は詐欺も同然、と云うしかない。

  • Mac

    松林図屏風がどのような状況等で描かれたのか、推測の域ですが、大変上手く表現されていると思います。益々、松林図屏風を観覧したくなりました。

  • 小説らしい作品です。

    ストーリが明確でr楽しく読めました。直木賞の等伯とは少し趣が変わり良かったです。

  • もう一つの世界

    もう一つの戦国時代を探す。 戦だけでなく、文化そのものの時代の匂いが漂う この書に見つけました。

  • もう少し掘り下げてほしかった。

    実物を見た時の背筋の震えが表現されていないように思う。あの美しさは言葉では表現できないのでしょうか?どなたかあの実物の言語に絶する美しさを文章にしてください。

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