日本の文学賞

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人探し

小説推理新人賞

人探し

遠藤秀紀

歩き方を手がかりに個人を特定する歩容解析を使って、母を殺し自分を傷つけた男を追う能勢恵の執念を描くミステリー。

ミステリー歩容解析復讐家族犯罪

作品情報

歩き方で人を特定する技術が、復讐の物語を動かす。

第44回小説推理新人賞受賞作。2023年12月に双葉社から刊行され、歩容解析という現代的な技術と復讐の動機を重ねた緊迫感のあるミステリーとして読まれている。

書籍情報

出版社
双葉社
発売日
2023-12-20
ページ数
240ページ
言語
日本語
サイズ
18.8 x 12.8 x 1.7 cm
ISBN-13
9784575247039
ISBN-10
4575247030
価格
1848 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

歩容解析――人間の歩き方で個人を特定する技術。顔認証を超える個人同定率を誇るシステムを開発した能勢は鉄道会社の社員に接触、警察とも関係を築く。 能勢は鉄道会社が持つカメラや自動改札機のデータ、警察が運用できる市街の防犯カメラのデータを使用し「あること」をしようと画策していた……。 驚愕の第44回小説推理新人賞受賞作。

1965年東京都出身。2022年「人探し」で第44回小説推理新人賞を受賞。 東京大学大学院博士課程退学。現在は大学教員。

レビュー

  • 進化するテクノロジー、変わらない人の心

    現代科学の進展を現代社会の問題と結びつけながらリアリティのある展開で進んでいく物語は大変読み応えのあるものでした。その中で主人公をはじめとして様々な登場人物の思いや、愚かさも含めた人間らしさが相まって、深く考えさせられるものでした。 テクノロジーの光と影、人間の持つ憎悪と他者への愛や正義などの対比が見事で、決して答えを押し付けられることなく作品に入っていくことができました。 緊張感のある作中の、ふとした季節の美しい描写が好きです。場面転換の意味もあると思いますが、現実世界との接点を思わせたり、登場人物の苦悩とは裏腹に美しい世界が広がっていることに物語の深みを感じさせられたりしました。

  • リアリティも怖さも半端ではありません

    とにかく怖かった。 主人公はどこかで癒されるのではないか...と期待しつつ読み進めたが、ことごとく裏切られ話は後半へ... 読み終えても数日間は、私の思考を支配するくらい強烈な一冊だった。 いままで動物学者としての遠藤秀紀さんの著書を楽しんできた者としては、歩容解析のリアリティはさすがだと思った。既成観念や権威への鋭い目が文章の端々に感じられるのも著者の醍醐味であり楽しかった。

  • シンプルなストーリーですがバランスがよい

    歩き方の解析システムで人探しをするお話です。世の中にあってもおかしくなさそうなシステムで、最後の伏線回収で納得感と満足感が得られました。

  • 監視社会の怖ろしさ

    著者は東大の博物館の教授で農学・獣医だそうである。工学部で、究極のロボットは生体である/生体は究極のロボットである、ときいたことがある。歩容解析とはそれを地で行く。治安維持のためといえばいいがプライバシーもなく監視社会の怖ろしさを感じる。すでに実用化されているのではないか。はじめのほうの性被害の描写は推理小説とはいえ東大教授がもうすこし品よく描けないものか。主人公の女性研究者の怨念の根源となっていることはわかる。

  • オリジナリティあふれる知的なエンタメ

    小説推理新人賞受賞の短編に加筆して長編化したもの。 作者は現役の東大教授(東大総合研究博物館で働く動物学者・解剖学者)だそうだ。 人間の歩き方で個人を特定する「歩容解析」の画期的システム「ラミダス」を作り上げた女性・能瀬恵がヒロイン。オリジナリティあふれる知的なエンタメである。 能瀬は警察や鉄道会社とタッグを組み、防犯カメラ映像から歩容解析で未解決事件の犯人を探していく。 だが、彼女の真の目的は、ラミダスを用いて個人的な復讐を遂げることにあった……という話。 清水玲子のマンガ『秘密 -トップ・シークレット-』は、殺された被害者の脳から生前の映像を再現する架空の科学捜査の話だった。 歩容解析から防犯カメラ映像で人探しすることも、近未来には可能になるのかもしれない。 人工股関節を入れたり、痛風になったりすると歩容が変わって探しにくい……なんて話も面白い。 面白く読んだが、ヒロインの終盤の復讐方法(◯を✕△する)が私には理解不能だった。 作者は解剖学者だそうだから、もしや、その知識を活かしたくてこういう展開に……? 他にも不満点がある。 脇の人物が類型的過ぎて魅力がない。「叩き上げのベテラン刑事」とか、「天才肌だが非常識なエンジニア」とか、世間一般のイメージのテンプレそのまんまな感じがしてしまう。 あと、全体的に会話に作り物感があって、不自然でぎこちない。 以上が減点ポイント(エラソーですみません)で、ゆえに星4つとした。

  • 帯の「東大教授が描く復讐劇」は余分

    新聞で作者紹介を読んで興味をそそられ読んでみたが、面白くなかった。 登場人物も次々出てくるけど誰も魅力が無いし、主人公の復讐劇もなんかなあ~って感じ。 巻末の作者紹介において「「18歳で小説を書き始めた時と同じ土俵に立ちたいから現在の職歴はあえて表示しなかった」と作者は朝日新聞で述べていた。なのに帯に「東大教授が描く復讐劇」とかある。 出版社が売りたくて余計な事をしたのかどうかしらないけど、こんな言葉を惹句とするのが浅はか。 あえて無名の新人としてそっとしておけばいいのに。 そのほうが、文章の拙さも好意的に読まれるのではとか思う。

  • いろいろと・・

    石倉の喋り方、あんな口調の人いるかな・・?主人公の復讐、何故あのやり方だったのか?ちょっとわからなかった・・。ラミダスを使った人探しは面白かったけど、なんだかなぁと思う所が多くて自分にはちょっと合わなかった。

  • 掴めそうで掴められない

    歩容習慣を分析して、人を探してくれるAI技術「ラミダス」。 人間の顔認証は顔を隠したりしたら、把握できない。その代案として人間の歩き方を研究して人を探す技術を開発した。 主人公は自分の辛い過去に繋がる人を探すため、ラミダスを開発した。この技術を実現するためには人々の歩き方を学習するデータが必要だ。その役割を鉄道会社の防犯カメラの動画データが担った。また、殺人など犯行現場から立ち去る被疑者を特定して現実の社会に貢献しようとする。 しかし、いかにいい意味としてこの技術を開発して活用したくても、これは極端にいうと監視社会を意味することでもある。 連作短編としてもっと人々の思いを深堀すればよかったと思うが、新人文学賞に出した原稿だからそこは無理かもしれない。 人の歩き方を間接の動きや構造などを解剖学的に詳しく説明してくれるのでリアリティがあったが、そこが逆に難しく感じられた。 よく練られて作品で次の作品が期待される。

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