日本の文学賞

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二木先生 (ポプラ文庫 な 17-1)

ポプラ社小説新人賞

二木先生 (ポプラ文庫 な 17-1)

夏木志朋

誰からも馬鹿にされてしまう高校生の田井中が、人気教師の二木に近づき、危うい取引を持ちかける青春ミステリー。

青春学校秘密心理戦

作品情報

どうしたら、普通に見えるんだろう。

第9回ポプラ社小説新人賞受賞作。生きづらさを抱えた少年と教師の駆け引きを、緊張感のある筆致で描いたデビュー長編です。

書籍情報

出版社
ポプラ社
発売日
2022-09-06
ページ数
367ページ
言語
日本語
サイズ
10.6 x 1.7 x 15.1 cm
ISBN-13
9784591174869
ISBN-10
4591174867
価格
858 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

どうしたら普通に見えるんだろう。どうしたら普通に話せるんだろう――。いつもまわりから「変」と言われ続けてきた高校生の田井中は、自分を異星人のように感じていた。友だちが欲しいなんて贅沢なことは言わない。クラスのなかで普通に息さえできたなら。そのためならば、とむかしから好きでもない流行りの歌を覚え、「子供らしくない」と言われれば見よう見まねで「子供らしく」振舞ってもみた。でも、ダメだった。何をやっても浮き上がり、笑われてしまう。そんな田井中にとって唯一の希望は、担任の美術教師・二木の存在だった。生徒から好かれる人気教師の二木だったが、田井中はこの教師の重大な秘密を知っていたのだ。生きづらさに苦しむ田井中は二木に近づき、崖っぷちの「取引」を持ち掛ける――。社会から白眼視される「性質」をもった人間は、どう生きればよいのか。その倫理とは何か。現代の抜き差しならぬテーマと向き合いつつ予想外の結末へと突き抜けていく、驚愕のエンタテインメント。2019年ポプラ社小説新人賞受賞作。

レビュー

  • 社会の中での生き方・個性の出し方について考えさせられる本

    普通”になりたいのではなく、“普通の皮を被って生き延びたい”——そんな痛みと知恵が、教師と生徒の危うい取引の中で立ち上がる。異星人として投げ出されたような孤独、流行を共有できない疎外感、自己肯定の有無が人を静かにも暴れさせもすること。読みながら何度も自分の過去を掘り返された。最後の余韻はすっきりしないのに、だからこそ考え続けてしまう。

  • いい意味で裏切られた

    途中までは、良くも悪くも中高生向けの話だなと思いながら読んでいました。半分を越したあたりで物語が佳境に入って、ぐっと引き込まれました。 話の着地のさせ方も、貼り付けたようなハッピーエンドでは無いのが逆に好感を持てました。展開としては煮え切らないのですが心理面では爽快感がある幕引きに、作者のたしかな文才と技量を感じました。 また、文章表現や舞台設定が伏線として張られていて話の中のテーマもさることながら、話の組み立て方もとても美しく嘆息しました。 素敵な小説に出会えて良かったです。

  • 「変」は悪なのか?「気持ち悪い」は罪なのか?

    小学生のころから「変」「宇宙人」と言われてきた田井中広一。高校生になった広一は担任の美術教諭二木の秘密を知ってしまう。しかし、広一もある事情から二木に秘密を握られることになる。かくして広一と二木の奇妙な関係が始まって―― 数ページ読んだあたりで(あ、これBLだ)と気がついた。女性作者が男性の関係を書く場合、男性読者にとってなんとももどかしい「らしくなさ」が感触を抱くことがある。男は男のそういうところを好きにならない、とか男は男にそういう呼びかけはしない、など。ただ、この小説には読み進められないほどの違和感はなく「BLという形式」を作者が利用している、ととれなくもない。 人によってはとても苦手な小説かもしれない。広一の苦悩を「理解できない」人もいるだろうし、二木の秘密をたんに「気持ち悪い」と感じる方もいるだろう。しかし、この小説のテーマは「理解できないことはそれだけで罪なのか?」「気持ち悪いというのはそこまで耐えられないことなのか?」とと作者は問いかけている。それがピークに達するのは「美術室のシーン」だと思う。 この長編小説には「二つの秘密」が最初から提示されており、それはすなわち、「二つの悲劇」の可能性が常に存在しているということだ。そして広一と二木はそれぞれ一つずつ「二つのミス」を冒してしまう。ここまで読んでぼくは(ああ、これは作者が悲劇を生むために意図的に登場人物に愚かな行為をさせている)と思ったのだが――「二つの秘密」が裏返る瞬間、ストーリーテリングとしても申し分のないラストが訪れる。

  • 児童ポルノ漫画はトリガーになることを知っても…?

    小説としてはとてもクオリティが高く、話題なのも頷ける。 独特の視点や文章の味わいがクセになる読み口で、この作者の次回作も多分読むだろう。 ただどうしても気になってしまうのは、ニキ先生という小児性愛障害者の扱い方、というよりも、読者による受け取られ方だ。朝井リョウの「正欲」の一連の感想を読んでも、この病を性指向の一つとして”多様性”で括る人があまりにも多いように思う。あのな、これは加害の可能性を多分に含んだ、治療すべき精神病で、LGBTQとはぜんぜん違うからな? 一旦欲求がエスカレートすると依存症に近い嗜癖が見られ、子供に接するチャンスの多い職業に就こうとするなど、加害への執着、1人あたりの加害件数も再犯率も、他の性犯罪者に比べて突出して高い。で、そのエスカレートのトリガーになるのは、大抵は児童ポルノ(漫画・動画)だという(このあたりは斉藤章佳著「『小児性愛』という病〜それは愛ではない」に詳しい) つまりニキ先生は、いわば未来の性犯罪者へ”最後のひと押し”を提供している人なのだ。 小説も漫画も”正しく”ある必要なんかない。でも受け取る側の認知があまりにも歪んでいると、変な方向へ影響力を持ってしまう。児童ポルノは上記の本によれば臨床の現場で悪影響が明確なだけに、規制は必要だろう。 昨今のニュースを見るにつけ、日本社会がどれだけペドフィリアを許容し、その加害性を小さく見積もってきたかがわかる。被害件数は、警察や世間が認知している数の軽く300倍はいるだろうし、1000倍でも驚かない。身近に児童性犯罪被害者が複数いるが、大人になっても続く(あるいは大人になってやっと認識した)、被害によってもたらされた苦しみを知ると「いたずら」などという言葉で矮小化されてきたことが腹立たしいくらいだ。 幸いニキ先生は小学校の教員免許は持っていないようだが、”普通”の皮を被りつつ、どうか病院へ行ってくれ。そして漫画は自分だけの楽しみにしてくれ。とても魅力的な人物造形だからこそ、そう思った。 ちな版元は児童向け書籍の老舗・ポプラ社…

  • かるく読み始めたら、とんでもなかった。怒涛の面白さ!

    そのような訳で、この舶来インターネットホームページにおけるレビューのタイトルつまり「最も伝えたいポイントは何ですか?」とうっすら書かれている画面に何を書こうかと悩んでいるところですが、これはもうハッキリとしている。「かるく読み始めたら、とんでもなかった。怒涛の面白さ!」 これは文庫本に巻かれた帯に書かれている文章そのままである。そのままやんけ! と突っ込まれたら、そのままだが? とドヤ顔で返す。言っておくけど、そのままやんけ!の「そのまま」の帯って結構珍しいと思いませんか?(終盤語感を弱くするパターン) 結構、珍しいと思うよ(からの上から目線) 僕はこの本をツイッターの宣伝で見つけて、表紙が遠野遥さんの「教育」じゃん!、と思ってずっと気になっていた。どっちが先か、とかは調べてないし、こういう文芸という世界は想像以上に狭いみたいだから、オマージュとかで騒ぎ立てるつもりもないし、騒いだところで4か5イイネ!がついて(文芸関係の人達から恨みとヘイトだけを買ってしまったしにたい……せめてツイット削除しておくかトホホ……)となるオチが二秒後に見えたので何もしなかったのであるが、どうですか。ここまで書いて本の中身に一文字も触れてないんですよすごくないですか。っていうかあなたどうしてここまで読んでいるんですか。時間という概念についてもう少し深く考えてみた方がいいのでは?(アドヴァイス) と本場の発音を思わず披露してしまったところで、内容に入りたいと思います。 まずは表紙である(もちろん内容に入っていかないゾ⭐︎) この黄色い表紙に男の目線グジュグジュ、は、良いのであるが、表紙に文章がミョロミョロと、台詞やら印象的な文章がみっちりと印刷されているんである。これはまだマシで、後日見た新表紙ではもっと症状がひどくなっていて(症状って言うな)、ありとあらゆる編集者の褒め言葉が、映画マトリックスの上から下にウワァ〜って大量降ってくる文字みたいになっている。もはやタイトルが見えないぃ!!(渡辺謙) だがそれ程までに、この本が出版社の垣根を越えて推しに推しされている感が分かるし、実際に読んでみたら「これはそうまでして推したくなるわ」という気持ちでいっぱいになる。いや本当に軽い気持ちで読んでみたら「うわ! おもしろ!」ってなるんであるんである。読み始めたら止まらない。これが応募されたポプラ社の人、絶対「キターーッ!」ってなったんじゃないかな、と思いました。では、今度こそ内容に入りたいと思います。 大変申し遅れましたが、小生文章を書いていつかその金で焼肉を食べたいと思っている者であり、このような内容のない文章でしたらずっと書いていられます。じゃあ、じゃあいっぱい本読んでんだろうな?、と聞かれれば、「いやあ、それ程でも」と頬を赤らめるタイプ。あんま読んでないね。好きな作家を何度も読むタイプだから! 新しいのは月一冊くらい読んだりするくらいです。その程度で物書きになりたいなど、片腹痛いわ!と言われてしまうと辛谷園。ぴえん。と、そういうライト勢という事を念頭に入れていただき、いざ、内容に入りたいと思います。ネタバレ有りの予定! いや、最近の本はお行儀が大変よろしい、と小生は思っているのですよ。美味しいご飯やら、ほっこりするお話ですとか、助けた幼女が偶然幼馴染の妹だったりとか、何でしょうね……世知辛い世の中だからでしょうか……みんな辛い仕事や介護や変わり映えしない日常生活で疲れているから癒しを求めているのかしら……などと己の選球眼を棚に上げて、こう、もっとバーンと! アドバルーンあげていきましょうや!っていう気持ちにならない事もないんですよね。もしかして、本を書く人達の家族が人質にとられていて、編集者とかに「飯の話、いい話、ほっこり話以外書いたら殺すぞ」と脅されているのでは…?と勘ぐったり勘繰らなかったり。な訳ないんですけど。100パー俺の選球眼のせいですけど。で、この小説「二木先生」は、もう主人公からしてヤバい奴なんです。ハタから見たら厨二病のイタいヤツにしか見えないんですけど、日常生活を他の人たちと過ごすには結構な努力が必要とされている、筋金入りのヤバい男の子なんです。読んでてね、もう本当に辛い。辛谷園……何が辛いかって、そういう「宇宙人」とか「変わった子」って呼ばれるのは、いわゆる創作系を志す人は必ず呼ばれた事があると思うんです。なんなら、そう呼んで欲しくて奇行に走るまである。なんなら〜まである構文の使い方あってますか? 大丈夫ですか? それならいいんですけど。 そうしたホンモノの主人公はあるきっかけで担任の美術教師、タイトルにもある「二木先生」の弱みを握っていて、あれこれする訳なんです。以上、完。完じゃねえ。疲れてるんじゃねえ、俺。ここまで書いて本の中身に入らないで疲れてんじゃねえぞあたしっつって。後付けのJK設定だこのやろうっつって。うみゅ〜。髭ダンディズム〜? 具体的に何が面白いかって、全部面白いのであげていくのが大変なんですけど、まず主人公が悪いやつなんですよ。でも、悪いといっても、後半に出てくる吉田っていうヤツに比べたら全然種類の違う「ワル」なんですよね。少なくとも良いヤツとは呼べない。クラスメイトの吉田は最悪なので死んでほしいと未だに願ってはおりますが、ここまでレビューを読んでくれている動機が謎な人たちにちょっと思い出して欲しいんですけど、高校時代の美術の先生って、不思議な存在で、そうした先生に自分が周囲と馴染めない特殊な人間である事を相談したいっていう気持ちは、とても自然な事だと思いませんか? ある場合には保健室がその役割なのかも知れないですが、他人と異なる感受性が生きて行くのに支障を生じさせる原因と分かっている場合、美術の先生=二木先生に矛先を向けるというのは違和感がない。違和感がない、というと分析チックになってしまいますが、上手い。上手い、というと上から目線になりますが、とにかくそうした話の持っていき方に嘘がない。小説全編に言えることですが、そのようになるべく胡散臭くならないように周到に練られていると思いました。練られているのは話の伏線も同様で、無駄なところがない。冷蔵庫のなか全部使ってある。特に終盤ではちょっとここでは書けない事が起きるので、気になる方は是非読んでみて欲しいと思います。って、ここまでレビュー読む人は既読の人ばかりだと思うから、ぶっちゃけちゃうけど、予想できました? ぼk…あたし、全然予想できなかったよ! びっくりしてマミィに電話しそうになっちゃった。ICQ送りそうになっちゃった! 普段小説を読んでいる人にも、読まない人にもぜひ読んでみて欲しい。少し変わった、スリリングな青春小説です。恋愛要素、いわゆるラヴが無い、というのも潔くて良い。特にお勧めなのは、やはり小説を書いたことがある人。もしくは、これから書こうとしている人。この小説の中では、特に初めて小説を書き上げた主人公君が二木先生に読んでもらうシーンが印象的で、誰かに自作を読んでもらった事がある人なら、あのグッときて、落ち着かなくて、最初の一言が気になっちゃって……っていう身の置き所のない気持ちが分かるんじゃないかなって思う。創作論についても二木先生は本当にいい事を仰っているし、これから小説を書きたいけど、なんか怖い……と思っている人も、田井中君が概ね全部喰らってくれているので、とにかく存分に筆を振るってゆかれればいいんじゃないかな、とあまりにも無責任に、かつスタイリッシュに思いました。 「俺、才能、ありますか?」 「欲しがるね」 この会話が本当に好きでね、たまらんのです。 日本のどこかで深夜、煙草の煙もうもうな部屋で、こういう会話、毎晩交わされてるんじゃないかと思います。 あ! もうすぐバイトの時間だ! 最後に、クラスメイトのゆりっぺ問題について語りたいのですが、またの機会にしたいと思います。それと、ここまでレビュー読んで未読な人は、絶対買った方がいい。後悔はしません! ドーン!

  • 面白いです

    タイトルがよいです

  • ジャケ買いでした

    内容は面白い。 ただ内容が内容なので、リアル知人にはちょっと勧めづらい。 色々と生々しかった。

  • 考えさせられるました

    読み始めは、なんだか気持ちが凹む内容だなぁと思うものの、筋を追いたくなる衝動はものすごくありました。 そのうち、広一やニ木と自分と重ね合わせるところが出てきて、広一が書いた小説の添削をニ木がしている中で『みんなが持っている考え』的な文に対して二木が広一に『それは読者が考えさせればいい』というセリフに物凄く納得しました。 最後のロリコンが暴かれてしまう授業では、 常識を振り翳して他人を裁きたくなる心理がよくわかる。 最後に吉田がニ木に謝れと言っているところなどは、誰に何を謝れというのか。 今はネットで、このような事が日常に起こっているのは本当に悲しいと思いました。 本当のことを知らずにとやかく言うのは自分自身も気をつけていきたいと思います。 読み終えた後は最初の印象からは真逆の深い 感動が残りました。

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