作品情報
私の二十世紀書店は、受賞作としての輪郭を保ちながら、作者の関心を凝縮して伝える。
長田弘『私の二十世紀書店』は、受賞歴を通じて読まれてきた作品で、作者の問題意識と表現の特色がまとまって現れる。刊行が確認できる場合は紙書籍の識別子を優先し、単独刊行が確認できない場合は雑誌号などの番号を流用していない。
書籍情報
- 出版社
- みすず書房
- 発売日
- 1999-10-02
- ページ数
- 274ページ
- 言語
- 日本語
- ISBN-13
- 9784622045090
- ISBN-10
- 4622045095
- 価格
- 6040 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論/エッセー・随筆/日本のエッセー・随筆/近現代の作品
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レビュー
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本とは、未来の記憶
1982年の中公新書として刊行された本書は、1999年に「定本」としてみすず書房から出されている。 新書版もみすず定本も中身は何ら変わらない。著者の「新しいあとがき」が加わるだけだ。 本書は、92冊の書物が取り上げられ、それが1冊の本となった20世紀の本のエッセイ集である。 みすず版オビには、「本とは、未来の記憶」、「21世紀へ引き継ぐための精神の在庫リスト」と控えめな惹句が付してある。 イェーツ、コンラッドから始まり、ライヒ、ジョージ・スタイナー、ロルカ、ミッシェル・トゥルニエ、バフチン、ブレヒト、カルヴィーノ、ヴィアン、シリトー、エリ・ヴィーセルにガッサン・カンファーニーと、本書で教えられた著作家は多い。 長田弘という詩人には『深呼吸の必要』(晶文社)という傑作詩(★★★★★)がある。本書は書評エッセイと、詩ではなく散文であるが、今読んでも随分と切なくさせられる。 どうして? 我々は(と敢えて大きく言うが)、21世紀に本書で取り上げられた書物の精神を少しも引き継いでいないからではないか? 55ページには、バルトークの死に就いて触れた文章があり、アガサ・フィセットの『バルトーク晩年の悲劇』を紹介している。『管弦楽のための協奏曲』が頭に鳴り響き、この亡命作曲家の悲しみの音楽が本当にわかる気がしてくる。 国民読書年を謳うのであれば、本書に紹介された本が書店店頭でいつでも手に取れるような環境を整備して欲しい。ここにある本は、21世紀も10年を過ぎて、目にすることもなくなった。 評者の密かな自慢は、ここにある本をほとんど持っていることである。 さあ、これから棚卸。ひとつひとつの手作業だ!
関連する文学賞
- 毎日出版文化賞 第36回(1982年) ・受賞