作品情報
情報を生み出す触覚の知性:情報社会をいきるための感覚のリテラシーは、触覚を軸に読者を作品世界へ導く。
情報を自分事として理解するために、身体と深く結びつく触覚へ注目する科学読み物。触れること、残る感覚、オノマトペなどを通じて、情報社会のリテラシーを考える。
レビュー要約
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触覚研究を社会の情報理解へ接続する発想が評価されている。実験やプロジェクトの具体例が多く、専門外の読者にも身体と情報の関係を考えやすい構成になっている。
書籍情報
- 出版社
- 化学同人
- 発売日
- 2014-12-22
- ページ数
- 184ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 13.3 x 1.6 x 18.6 cm
- ISBN-13
- 9784759816631
- ISBN-10
- 4759816631
- 価格
- 1650 JPY
- カテゴリ
- 本/科学・テクノロジー/工学
触覚がつくる情報への感受性 身体を通して情報に接するとき、 情報あふれる現代社会をいきるための知恵が生まれる。 「触知性」が拓く感覚の未来 情報あふれる現代社会において、私たちは情報とどのように付き合っていけばよいのだろうか。 本書では、情報と自分との関係を適切に判断し行動するためには、 身体的な体験を通した理解が重要であるという立場から、 身体に深く根ざした感覚である触覚と情報を結びつける力を「触知性」と名づけ、 情報に対する感受性のあり方を考える。 心臓の鼓動に触れて生命の意味を理解する「心臓ピクニック」、 オノマトペの触り心地を可視化する「触相図」など、 さまざまな実践から見えてくる、触覚と情報の関係とは。 【本文より】 触覚という感覚は、記号化されたものを身体的に感じる、記号を受肉させる感覚といえ、 そして、触覚から記号を生み出すことは、身体に根ざしつつも他者と共有できる 知恵を新しく生み出す営みであると考えられます。 これから私たちに必要なのは、触覚と情報の関係性の探求とその実践の体系であるといえます。 【目次】 序章 触知性 第1章 触覚と情報 一 触覚 二 情報 三 メディアの触覚性、触覚のメディア性 第2章 触れて情報を理解する 一 記号接地 二 心臓ピクニック 三 触覚の実在性と象徴性 第3章 触れて現れる情報、触れて残る情報 一 メディアのメッセージ 二 Yu bi Yomu 三 触の類像、触の痕跡 第4章 触覚の語彙、語彙としての触覚 一 分節、象徴、オノマトペ 二 触感のカテゴリ――触相図 三 音象徴、触象徴 第5章 触覚の文法 一 アブダクション 二 触譜で表されるマッサージ 三 言語的世界認識 情報社会をいきるための感覚のリテラシー――あとがきにかえて
東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了。博士(情報理工学)。 現在、日本電信電話株式会社(NTT)コミュニケーション科学基礎研究所人間情報研究部主任研究員。 東京工業大学大学院総合理工学研究科連携講座准教授兼任。 視覚・触覚の知覚メカニズムに関する研究、感覚の言語表現の研究を行う。 人間の知覚特性を利用したインタフェース技術を開発、展示公開するなかで 人間の感覚と環境との関係性を理論と応用の両面から探求している。 学会活動とともに、文化庁メディア芸術祭やArt Electronicaなどの芸術祭においても数多くの展示を行う。
レビュー
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情報と身体を再接続するために
この本はとても丁寧に平易な文体で書かれており、特に人間性に関する知見や洞察が深く掘り下げられていて、情報社会における人間と技術の向き合い方に対する力強いメッセージが込められている素晴らしい書物です。そのため、工学系の研究者だけではなく、人文系の学生や研究者にも、そして広く情報技術と人間の関係に興味のある人々にもお奨めします。 工学系研究者として多数の実績を残してきた渡邊淳司さんは、サッカードと呼ばれる眼球運動の特性を用いた錯視のシステムの研究などを行っていましたが、近年は「触覚」というテーマにフォーカスを絞り、お互いの心臓の動きを感じ取れる「心臓ピクニック」やオノマトペと感情をマップした「触相図」といったプロジェクトを通して、私たちが日々当然のものとして見過ごしがちである触覚を介したコミュニケーションを提案しています。そこでは、言葉という記号だけでは自分ごととして捉えることの難しい情報を、触れる・感じられるようにすることによって、体験的に理解することの重要性が浮き彫りになっています。特に興味深いのが、本書は安易に「言語」と「非言語」を対立させずに、その二つが一種のループ構造のなかで支えあっているダイナミックな様相を分かりやすく記述している点です。 特に心臓ピクニックに関する説明のなかで記述されている、親しい人間同士がお互いの生命を感じ取れるようになることを通して、言葉では伝えられない感情を共有できるという力強いメッセージは、今後とも人間性の深い観察が求められるようになってくる情報技術研究のひとつの道標となるでしょう。
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帯が切れていた
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触覚による芸術表現の可能性
なぜ触覚を利用した芸術表現はないのかな?という疑問を常々持っていました。美術や音楽や料理など、視覚や聴覚、味覚・嗅覚を利用した芸術作品・芸術的な味わいのある作品は、世の中に多数あるにもかかわらず、触覚だけ極端に少ない、絶無に近いと思っていました。が、本書では、触覚による伝え・共感できる方法がいくつか紹介され、触覚・皮膚感覚を使って表現・伝達・共感する方法がまだまだ発展する可能性があることに、確信を得られました。
関連する文学賞
- 毎日出版文化賞 第69回(2015年) ・受賞