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ブリュメール18 日:革命家たちの恐怖と欲望

大佛次郎論壇賞

ブリュメール18 日:革命家たちの恐怖と欲望

藤原翔太

ナポレオンが総裁政府を倒して権力を得たブリュメール18日のクーデタを、革命家たちの側から読み直す歴史書。民主主義を制御できなくなった人びとが、革命の成果を守るために権威主義的な統治を選び取っていく過程を、派閥、憲法、選挙、地方行政の動きからたどる。

フランス革命ブリュメール18日のクーデタナポレオン民主主義と権威主義政治制度

作品情報

ナポレオンはどのようにして担ぎ上げられたのか。ブリュメール18日を革命家たちの恐怖と欲望から再考する。

ブリュメール18日のクーデタを、ナポレオン個人の権力掌握としてのみ捉える通説を問い直す。総裁政府下の政治的・社会的混乱、改憲派の動向、選挙制度と地方統治の再編を追い、革命家たちが秩序を求めて新たな統治の形を作っていった姿を描く。

書籍情報

出版社
慶應義塾大学出版会
発売日
2024-04-19
ページ数
200ページ
言語
日本語
サイズ
19.5 x 13.8 x 2.5 cm
ISBN-13
9784766429596
ISBN-10
4766429591
価格
2640 JPY
カテゴリ
本/ノンフィクション/歴史・地理・旅行記/歴史/その他

第24回(2024年)大佛次郎論壇賞 受賞 第42回 (2025)渋沢・クローデル賞奨励賞受賞 ナポレオンはどのようにして担ぎ上げられたのか 革命期に発展した民主主義を制御できなかった革命家たちは、みずから権威主義体制を望み、形成していく…… その震源となったクーデタの過程と内実に迫る ナポレオンが総裁政府を打倒し権力の座についたクーデタ「ブリュメール18日」。本書ではこのクーデタを、ナポレオンが独裁を志向した結果として捉えるのではなく、むしろフランス革命の成果を守るために、改憲派の革命家たちがナポレオンを権力の座に引き上げた事件として理解し、革命家たちの視点に立って考察する。革命期に発展した民主主義を、思いどおりに制御できなかった革命家たちが、まさにその民主主義のなかから権威主義体制を形成していく過程を、派閥の動向、憲法、選挙制度、地方行政の改革をとおして明らかにする。 【目次】 はじめに 第一章 ブリュメール派の形成――恐怖政治のトラウマを抱える集団 革命前期の展開/1795年憲法/総裁政府体制の発足/フリュクティドール18日のクーデタ/ナポレオンと軍人たち/フロレアル22日とプレリアル30日のクーデタ/改憲派勢力の結集/ブリュメール派 第二章 新体制の設立――クーデタの実行と担ぎ上げられたナポレオン ブリュメール18日の展開/ブリュメール18日の正当化/シィエスの憲法草案/主導権を握るナポレオン/1799年憲法/人民投票の実施/ポストを得るブリュメール派/ブリュメール・エリート 第三章 地方行政システムの再編――強化された中央集権 中央集権的な統治へ/革命期の地方行政システム/地方行政に関するブリュメール派の歴史認識/プリュヴィオーズ法の概要/執行の単一性/行政裁判/地方利益の代表/三層構造の地方行政/地方行政官の任命制/ブリュメール派と地方統治 第四章 選挙制度の改革――安定的な統治を求めて 世論に基づく統治へ/制度のしくみ/郡単位の選挙/直接選挙と相対多数/不在者の取り扱い/革命期の選挙制度/制度の理念と思惑/革新的な投票様式/議会での応酬/名士の選出/選挙の実態/ブリュメール派と選挙制度 第五章 安全保障国家の形成――国内外の危機と世襲帝政の樹立 クーデタ翌日の首都/クーデタ翌日の地方/匪賊行為の鎮圧/ブリュメール派の軍事作戦/国際情勢の変化/憲兵隊改革/司法改革/特別裁判所の創設とブリュメール派の分裂/世襲帝政への道 おわりに 注 あとがき 年表、人名索引

藤原 翔太 (ふじはら しょうた) 1986年生まれ、島根県出身。2016年トゥールーズ・ジャン・ジョレス大学博士課程修了(フランス政府給費留学)、博士(歴史学)。 現在、広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。著作に、『ナポレオン時代の国家と社会──辺境からのまなざし』(刀水書房、2021年)、『東アジアから見たフランス革命』(共著、風間書房、2021年)、訳書に『女性たちのフランス革命』(慶應義塾大学出版会、2022年) など。

レビュー

  • 本の内容

    フランス史に精通している人むきです。

  • ブリュメール18日のクーデタを、ナポレオンの側からではなく、革命派の側から検証した意欲作

    『ブリュメール18日――革命家たちの恐怖と欲望』(藤原翔太著、慶應義塾大学出版会)は、1799年のブリュメール18日のクーデタを権力欲に取り憑かれたナポレオン・ボナパルトの側からではなく、敢えて、ブリュメール派と呼ばれた革命家たちの側から検証した意欲作です。 因みに、カール・マルクスの『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』は、ナポレオンの甥のルイ=ナポレオン・ボナパルトという卑小な人物が、なぜ独裁者になれたのかというテーマのもと、1851年12月2日のクーデタを考察しています。 ブリュメール派は、政治的には穏健共和派あるいは立憲君主政派に分類される人々で構成され、さまざまな経歴を持つ一方で、フランス革命により台頭し、絶対王政と革命独裁を敵視するという共通点を持っていました。 著者・藤原翔太は、ブリュメール18日のクーデタを、ブリュメール派がフランス革命の成果、すなわち自分たちが革命によって得たもの――地位と財産――を守るために、ナポレオンを担いで、権力の座に引き上げた事件と捉えています。革命期に生み出された民主主義を思いどおりに制御できなかった革命家たちが、まさに、その民主主義の中からナポレオン帝政という権威主義体制を誕生させてしまったというのです。 著者は、目先の利益のみに心を奪われて右往左往している現代人に、ブリュメール18日のクーデタを歴史的教訓として学んでもらいたいと願っています。 独創的な視点と実証的な内容が際立つ、読み応えのある一冊です。

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