作品情報
新刊を売り切らなければ、世界が滅びる。
GA文庫刊、二〇二一年一月発売。第11回GA文庫大賞受賞作。イラストは肋兵器。
レビュー要約
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即売会や同人活動の細部をファンタジーの危機に接続する発想が楽しまれている。創作への愛情が前面にあり、設定の勢いを好む読者に向く。
書籍情報
- 出版社
- SBクリエイティブ
- 発売日
- 2021-01-14
- ページ数
- 280ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 10.6 x 1.3 x 15 cm
- ISBN-13
- 9784815608873
- ISBN-10
- 4815608873
- 価格
- 350 JPY
- カテゴリ
- 本/コミック・ラノベ・BL/ライトノベル
「ずっと……ずっと、あなたを探していました、世界を救うために」 自分の同人誌によって、魔王の復活が防がれる。突如現れた女子高生ヒメにそう諭された同人作家のナイト。ヒメの甲斐甲斐しい協力のもと、新刊制作に取り組むのだが…… 「えっ、二年間で六部だけ……?」 「どうして『ふゆこみ』に当選した旨を報告していないのですか」? 「一日三枚イラストを描いて下さい」 「生きた線が引けていません」 即売会で百部完売しないと世界が滅ぶっていうけど、この娘厳しくない!? 「自信を持って下さい。きっと売れます」 同人誌にかける青春ファンタジー、制作開始!
小田一文(おだ・かずふみ) 本作で第12回GA文庫大賞《金賞》を受賞しデビュー
レビュー
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同人サークルを舞台にした現代劇だが、一般人にも配慮して幻想要素は控えめ📚
まず著者は、本作がデビュー作となる方で、本作も公募新人文学賞にて大賞は逃したものの、金賞を得ており、近々コミカライズされるかもしれません。 表紙のヒロインは、世界の破滅が避けられる『世界線』を求めて、98回も同じ時を繰り返して来たと言う、 何処かで見た様な 『タイムトラベラー』で、そのループ状態から抜け出せる手段を確保するべく、男子主人公のもとに押し掛けます。 その手段と言うのが、将来に男子主人公が記す事となり、世界を救うキーアイテムと化す『信託の書』を完成させる事で、彼女は男子主人公を謎の刺客から守ると同時に、彼を『救世主』として覚醒出来る様に尽力すると言う流れです。 但し、その『信託の書』の実態は【同人誌】で、未来の『救世主』は年間(!)6部しか売れていない【ピコ手】であり、ついでに超常的な戦闘力も持ち合わせていません。 その為、ヒロインは男子主人公のアパートに乗り込んで来て、護衛(と手料理を披露)したり、未来の『救世主』らしく(同人活動について)スパルタ教育したりと、裏山的な親密度で楽しませてくれます。 そして作風としては「君は未来の救世主だ!しかし戦闘力はゼロだった!」みたいに「上げて落とす!」コミカル展開を主軸に、自称「精神年齢700歳の処女」であるヒロインが「成人向け同人誌で卒倒」したりと、ある意味「同人界」を「異世界」に見立てた『逆・異世界転生モノ』とも言えそうです。 それでも、知的なヒロインのマネジメントは的確で、羞恥心&拘りの強さ故に頒布部数が伸び悩んでいる現状を次々と指摘していき、その事で男子主人公が成長していく様も、ドラマの一つとして描かれます。 尚「同人界」に疎い方向けにも、各章幕間等に『用語辞典』的な注釈解説も用意されており、テンプレ的な展開やニッチな用語が分からなくても十分に楽しめます。 またイラストは、 漫画 の作画担当としても活躍されている【肋兵器】が担っており、その作風は「Gペン」タッチでは無く、SNS等に公開されている作品同様の「鉛筆&水彩画」タッチで、挿絵の数は控えめです。 総じて「99回目の世界線」と言うファンタジー要素を有していますが、その要素は1割にも満たない程に抑えられ、大半は「オタク」読者への既知感と、その逆となる「一般人」からの異世界感で構成されています。 従って、ほぼ現代日常劇として楽しめ、青春群像劇寄りな作品を好む方にも悪く無いと感じましたので、色物さが際立っていない点を評価して、☆×5とします。
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「ゆずれない部分」に救われる人もいる……同人誌という文化の本質に真正面から向き合った意欲作
「変わった趣味・嗜好」を持つ事は悪い事では無いのだけれども「楽ちんな人生」を遠ざける一要素にはなり得ると思う。世の中に娯楽産業は山ほどあるけど、そのほとんどは「より多数に売れること」を前提に作られる事が多い……商売というものを考えたら当たり前の事だけども、そこには必然的に「弾かれる存在」が産み出される。 「みんな」は喜んでいるけど、「わたし」を満たしてくれない娯楽作品ばかりが溢れているという状況はまことに精神衛生上に宜しくない。ベストセラー、ミリオンセラー、興行収入300億円越え……みたいな賞賛が寄せられる作品でも自分の趣味にピタリと合うとは限らないし、何となれば「みんなが喜んでいるものを楽しめない自分は変なのでは?」みたいな不安の元にすらなり得る。 前置きが長くなったけど、今回のGA文庫の新人賞受賞作品である本作は読んでいる間、盆暮れにビッグサイトに集まる膨大なサークル参加者が、何ゆえ売れるとは限らない同人誌を安くない印刷費を支払って製作するのか、はたまた一般参加者のうちメジャーサークルをしり目に島中を漁る人々は何を求めているのか……そんな疑問について考えさせられ続ける一冊だった。 本作の主人公は底辺同人作家「星夜騎士(「せいやきし」ではなく「すたーらいと」と読む)。二年間あちこちの即売会にサークル参加してきたが売れた自作は六冊だけ、というピコ手の中のピコ手であり永遠の島中サークルの主である。 一見すると同人界における「みそっかす」の様に思われるかも知れないがコミケに参加する人であればご存知の通りサークル参加者の大半は刷った自作をほぼそのまま自宅に持って帰る羽目になる、売れる事を期待してはならない立場を強いられている。それじゃ彼らは何が嬉しくてせっせと売れない同人誌を作っているのか……そんな疑問が沸くのは当然の事ではないだろうか? 話の導入部分でも彼が大手サークルに挟まれた自スペースで惨めさを噛み締めている姿が描かれる。何しろ作家兼売り子の一人参加で話し相手はふらりとスペース前に顔を出した腐れ縁のメイドレイヤー「デスメイド」と悪態を突き合うだけという惨状(どちらかと言えば冴えない主人公の方が好きな読者としてはこれだけでも大いにそそる物を感じた) 話は閉会も迫った中・星夜騎士の前に一人の女子高生と思しき少女が姿を現した所から動き始める。オタクの集会では目立ち過ぎる整った容姿を持つ彼女は冴えない同人作家を前に床に膝を着くと「救世主さま」と呼び掛ける。奇妙な少女、タイムリープ能力を持つ異能の剣士・時守緋芽と出会った事で星夜騎士は「10年後には魔王に滅ぼされる世界を救える唯一人の人物」として「冬コミで100冊完売する」という試練を課される事に…… といった具合に表向きは冴えない同人作家生活を送る大学生が世界の運命を左右する立場に立たされつつ、美少女剣士とほぼ同居みたいな関係になる冒険物語っぽく見えるかも知れない。実際に幕間では魔王によって滅ぼされかけている10年後の世界で仲間とともに絶望的な運命に抗う緋芽の姿が描かれたり、星夜騎士が100冊の自作同人誌を売らねばならない冬コミの裏では激しい異能バトルが演じられたりもする……が、個人的にはこの辺りはどうでも良い。 先に悪口を言わせて頂くと、メインヒロインである緋芽が超常能力を駆使して戦う場面は妙にタイプムーン作品の色を妙に強く感じるし、ぶっちゃけ未来の世界絡みの部分は登場人物の掘り下げも大して深く無く、はっきり言えば中途半端に感じた。取りあえずいじけた主人公が100冊の同人誌を売るという試練に向き合うために世界の運命を絡めたのでは……そんな印象すら覚えた。 が、そんな欠点を遥かに上回る魅力を本作は備えている。 まず注目すべきは主人公である星夜騎士の同人作家としての生き様かと。ひたむき、といえば聞こえは良いが通称「ソラフネ」と呼ばれる人気アニメの二次創作同人誌を描くのは良いけど、描く内容が問題でいわゆる「マイナーカプ」専門の作家なのである。 同じ二次創作でも原作が匂わせる人気キャラAと人気キャラBの絡みというメジャーカプではなく、「どこをどうヒネった解釈をしたらそのキャラ同士がひっつくの?」と陰口を叩かれかねない妄想を、それもウケの悪そうな暗い雰囲気の話に仕立てた上で「俺はこれが好きだから!」という愛情だけで同人誌という形に仕立て上げるほどの頑固者、それが本作の主人公である……当然ながら即売会にやってくる一般参加者のウケは宜しくない。 当然ながら世界を破滅から救おうとする緋芽からは「なんで支持者の多いメジャーカプじゃダメなんですか!」「もっとハッピーエンドに寄せて!」と責められるのだけど「解釈違い」をタテに頑として首をタテに振らない所が素晴らしい。そんな姿を通じてマイナージャンル・マイナーカプに拘る同人作家にとって「世界」なんてどうでもいいのだという想いがビシバシと伝わってくる。同棲に近い生活を送りながら緋芽と星夜騎士の想いは終始噛み合っていないのである。 星夜騎士の誰に受け入れて貰えるかも分からない、自分がマイノリティだと突き付けられる可能性も多分にある本を自分の「好き」を 「強情でもなくて同人作家なんてやってられません」 「解釈違いの本は描けません。描いたら信念と共に心が死ぬの」 と自分だけは裏切るまいとする姿はセールスの良さだけを「覇権」という言葉に置き換える様に「売れる物が正義」とされて「より多数にウケるためには」と無限に妥協を強いられてしまう時代には余りにも無謀で、無茶で、だからこそ愛おしい。 結論から言えば彼を排除し続けた世界はそんな売れなくても自分の「好き」を裏切らなかった同人作家によって救われてしまうのだが、そんな「ひとりぼっち」を恐れない頑固さに救われる存在を描いた事で本作は同人誌の持つ意味をこれ以上なく掘り下げている。 世界中の誰からも理解されない「自分の『好き』」を形にしてくれた一冊が存在する事で人はどれだけ救われた気持ちになるか……何百というサークルを漁っても、壁やシャッター前の大手サークルの長蛇の列に並んでも中々満たせない自分の趣味を肯定してくれる作家がいてくれることがどれほど心の支えになるか、その心情を本作は見事に形にしている。 誰にも理解して貰えない趣味・嗜好を愛情だけで同人誌に仕立てる作家と商業誌にも大手サークルの同人誌にも自分の「好き」を満たして貰えず孤独に陥っていた読者の出会い、「自分はひとりぼっちじゃなかった」という確信がどれほど幸福を産み出すか……終盤で描かれた一幕では「そうだ、これこそ同人誌の、即売会の意味だ!」と大いに膝を打った次第である。 ちょっと変わった趣味を持つだけの自分を「趣味に合う作品を与えてくれない」という形で一人ぼっちに追いやる世界は時に呪わしく、何となれば滅びてしまえと不穏な想いに囚われる事もある。だが、だからこそ自分と同じ「好き」を貫いてみせる作家の存在が満たされる事の無い読者にとってどれだけ救いとなるか、「売上こそが全て」という声ばかりが幅を利かせる時代の中で「君は決して一人ぼっちじゃない」と作品を通じて呼びかけるマイナー同人の世界が持つ意味を知らしめたという点で本作は賞賛されるべき一冊なのである。 追記 この作品はある種の「セカイ系」としても読めるかな、と。いわゆるオトナ社会が押し付けてくる世界の救済より目の前の犠牲となる少女を選ぶのが「セカイ系」の典型だとしたら、これは「自覚無きセカイ系」という新しいジャンルカも。 回り回って最終的に世界を救う事になる主人公にとっては自分のマイカプを貫いたという自覚は在れど、その選択が世界を救ったという自覚は無く(主観的には珍しい熱烈なフォロワーに出会えたという認識で留まっている)、世界の救済を優先させようとするオトナ役の緋芽にも世界を滅ぼしかねない主人公の選択が「正解」だったという認識が無い。 主人公が「誰が認めなくても自分は大切にしたいと思うモノを貫いて」誰もが無自覚なままハッピーエンド的な世界の救済に向かってしまうセカイ系。こうして見るとかなりユニークな構造ではあるんだよな。
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リアルな同人活動で、キャラ立てがよく、とても面白かった。
まず、とても面白かった。 同人活動、というものはどれだけ一般的に知られているのだろうか。このところはFGOではサーヴァントたちが、張り合うかのようにグラブルでもちっちゃかわいい子たちがなぜかイベントで同人活動をする。そこはかとなくオタクで、FGOかグラブルをやってる勢なら同人活動も知ってるのかもしれない。Twitterしてると、同人関係の話が流れてきますしね……。 最近では女性向け同人の話だが「私のジャンルに「神」がいます」がバズって書籍化したし、男性向けだと……ヒラコー先生の「大同人物語」……は、まああれはなんか違うかもしれない……編集を行う同人ゴロがいた時代のだし……。しかしなんにせよ、Twitterで飛び交う「貴サークルは~」の文言を目にしたり、気になったり、興味がある人は多いのかもしれない、とこの題材に思う。 ある程度理解できる分野の話でもあるので、どういう風に書かれているのだろうかと、普通の小説を読むのにプラスしてちょっとした好奇心を持ちつつ読み始めた。 TwitterはVwitter、pixivはpixit、他もいろいろとわかりやすく名称を変えて、同人活動についてが書かれていく。 知っている分、え、それしか部数出してない人を壁配置する??とか突っ込みたいところは出てくるのだが、主人公の描きたい思いや主張には頷けて、かプ解釈違いや、同士に読んでほしいもよくわかる。 また、主人公のもとに押しかけでやってくる美少女や元々知り合いで角を突き合わせる関係にあるコスプレ美少女や、キャラクター配置は萌え小説なのだが、しかしメインヒロイン枠であるはずの緋芽はヒロインというよりは戦士だし、主人公がまじめに、創作活動をする話となっているのがいい。 言ってることがまっとうで、主義主張も理解でき、メインキャラクターが基本的に真剣でまじめだ。キャラ立てがよく、同人誌を手に取ってもらえるためにするべきことというのにも納得でき、イベントまでの流れを面白く読んだ。 世界を救う系パートの部分もなかなか意外。 途中で「私にはできなくて、ほむらちゃんにできること、お願いしたいから」を思い出していた。 同人活動は、基本は普通の生活の合間に行うものだ。学校に行ったり、仕事に行ったり、他、普通の生活を行う中で原稿を書くための時間を作り、何を書くか考えて、創作ができるように日常のペース配分を真剣に行い、毎日「原稿しないと…」と考えながら生活することになる。小説投稿、同人活動、あらゆる創作を行う人に敬意を表したい。 文章も読みやすく、最後までするすると読めた。次回作も期待しています。 ところで、続けて一緒に12回で金賞受賞していた「忘れえぬ魔女の物語」を読んだのだが、こちらの世界の中で主人公が「忘れえぬ魔女の物語エモい」と読んでいそうな話だったので、同時発行となっているところがちょうどよいというか、先に「貴サークルは…」、次に「忘れえぬ…」の順番で読むと面白かった。
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同人活動リテラシーがあれば結構刺さる / 昔も今も同人誌制作は変わらない…(笑)
底辺同人作家として細々と活動している大学生の主人公(♂)が、突然現れた JK に「あなたの同人誌が 100 冊売れないと世界が滅んでしまう」と言われ奮闘する…という「お前は何を言ってるんだ」系の現代日本を舞台にしたファンタジー作品です。 今は昔、コミケ晴海時代に制作&売り子サイドで、今もエンジニアとしてエンタメ業界に身を置く自分としては、誇張されている部分もリアリティある部分もラノベらしいフィクションの部分のどこにも「?」が生じなかったのでスルスルと読み進めていき、残りページ数がおよそ 3 割ほどとなった時点で「…あれ、まだここまでしか話進んでいないけれどどうやって話を収めるんだろう…?」と思いながらラストまで読み進めました(間を開けず通しで一気に読みました)。 作品としてはラノベレーベル賞の応募作ということで、単巻で話のオチをある程度つけつつも続刊へのヒキ要素を鏤めて…というある種分かりやすい構成で変な読み疲れはありませんし、(GA 文庫公式の 本作品の特設紹介動画(YouTube)でも『そういやどうして同人誌で世界が救えるんだ?』『私にもわかりませんっ』とあるように、根本的な疑問はほとんど解決していないので、最後まで読んでしまった以上続きはかなり気になります(特に、「彼」だけが話の根幹に何も関わってこないわけはないと思っているので… ) しかし、自分は個人としての同人活動は同人ソフトがメインで、同人誌の方は残念ながら画才に恵まれず、自分の同人ソフトのグラフィックを手伝ってもらう代わりに入稿直前の消しゴムかけ&トーン貼りのヘルプをしたり、知人の商業漫画家の売り子をしたりといった感じでしたが、当時は無かった SNS やデジタル作業といった部分以外はこの令和の時代でも大して変わらないんだなあと…そういった感慨もありました。 ただ、単なる読み手としての知識でしかそういった同人活動リテラシーが乏しいと、自分と同じようには楽しむことは少し難しいのかな…とも思いましたが、エンタメとしてはきっちり成立しているので興味があれば手に取ってみて良いかと。
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同人作家物語。色々惜しい
主人公視点の口語体文章は軽快で読みやすいです。 弱小サークルの同人作家の悲哀が良く描写されてます。 残念だった点はふたつ ・ファンタジー設定が全然話に噛み合ってない ・問題解決手段が安易すぎる 「主人公の同人誌が100冊売れないと世界が滅ぶ」設定は納得の行く説明がなく浮いてました。 申し訳程度に入ってるバトルも蛇足感ありあり。 ファンタジー要素は廃して普通に上を目指して頑張るクリエイターストーリーで良かったのでは。 100部達成のためにやったことはネット上の宣伝と会場でのアピール程度で拍子抜け。 目標達成のためにどんな解決方法を使うのかが面白さの肝だと思うのですが。 シリーズ化前提なのか敵キャラの扱いなど投げっぱなし・説明不足な点も多く粗が目立ちました。 ヒロインの造形が類型的でもう少し癖というかキャラ立ちが欲しかったです。 美少女設定のはずですがイラストは地味子っぽいですね。
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全ての愛しき同人作家ども
Twitterで広告を読み、気になっていたこの本。 届いてすぐ読んだものの一気に引き込まれた。 主人公がイベントで周りの売れていくスペースを横目で見ながら一向に売れない本に項垂れるさまは刺さり、過去にコピー本を出して全然売れなかったことを思い出して泣きそうになったくらいだ。 そんな主人公に転機が訪れた。 不思議な美少女、ヒメが現れ、主人公の作った同人誌が世界を破滅させる魔王の物価を防ぐのだと諭され、新刊作りへ。コミケで百部完売しないと世界滅亡という昔なつかし『電波少年』も裸足で逃げ出す無茶振りミッションに挑む主人公とそれをサポートするヒメだが、作者の同人誌やイベントへの眩しいまでの慈しみが溢れていて目を細めた。 特に、新刊を順調にはけさせるためにとヒメがメジャーカップリングで新刊を出してはと提案し、主人公がそれを拒み、「解釈違いの本は書けません。描いたら信念とともに心が死ぬの」とヒメに言い切る姿は潔くも、「だよね。だからこそ二次創作って楽しいし、世界が広がるよね」と頷いた。 同人誌製作や新刊アピールのための工夫等のプロセスが緻密かつ熱がひしひし伝わる反面。 未来世界でのヒメとヒメを裏切ったかつての仲間の対決シーンが正直、陳腐で、退屈な劇中劇を見ているような居心地悪さを感じたのが難点。 しかし、それを差し引いても余りある、新刊100部が売れるかというくだりの手汗握るはらはら感、そして、主人公が断固として押し通したマイナーカップリングが生んだ奇跡と多幸感。それがもたらす伏線は見事!と思った。 オンラインでしか同人活動をしていないが、頑張ってオフラインで同人をやってみようかという背中を押され、あと、無性にチキングラタンが作って食べたくなったので(笑)、星5つ。
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同人系ラノベ
同人誌製作を元にしたラノベ。 同人誌が売れたら世界が救われるという「なるほど、わからん」という話。 同人系がメインといった印象ですが、知らない方でも分かるようになっています。 ちょっと変わったラノベが読みたい方には良いと思います。
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夢をあきらめない大切さ
19歳で大学生の「俺」が同人誌即売会で実質1部も売れずに悲しい思いをしていると、周りがざわめくほどの可愛い女子高生が(しかし鬼気迫る勢いで)「ずっと探していました、救世主」と頭を下げ、「あなたの同人誌が100部売れなければ世界が滅ぶ」と迫ってくる……。 これが異世界転生系ならば本文3ページ目あたりで転生するのですが、この小説は転生系ではありませんし(主人公の俺自身が、転生も特殊能力も否定します)、謎の美少女が登場するのが17ページ目で、その少女の正体が明かされるのが42ページ目。 物語が展開しないので、出だしだけちょっとしんどい(読みづらい)かもしれません。しかしそれこそ42ページ目あたりからは軽快です。内容を明かしすぎると面白さを削ぐかもしれませんが、少女は『星夜騎士と彼が率いる星霜煌炎騎士同盟が世界を救う』という預言に基づいて行動しており、俺のペンネームが星夜騎士だった。納得のいく物語です。 同人誌のちからを信じることが、世界を救うことになる物語であり、創作と青春の苦悩で、半同棲のイチャイチャコメディで、オタクで、コミマ・コミケの話でもある。100部用意して売り切ることが世界を救うことになるが、1部も売れていない主人公が経済的に無理をして100部用意することは破滅への道でもある。同人作家として大成する夢を追い続けるか、それとも現実的に夢をあきらめるか(=しかしあきらめると世界が滅ぶ)。 主人公が夢と現実のどちらを選ぶかという二律背反をテーマにしています。 小説の展開としては、主人公とヒロインが軌道修正しながら作っていく同人誌の内容が、世界を救うことと合致すればいい。映画で言えば、『ギャラクシー・クエスト』に似ています。自虐的で、脱構築的なところから出発しつつも、夢をあきらめないという胸アツな王道をめざしていく。 GA文庫大賞で金賞を受賞したのも納得です。
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