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風のローラースケート (福音館文庫 物語)

新美南吉児童文学賞

風のローラースケート (福音館文庫 物語)

安房直子

『風のローラースケート』は、安房直子の連作童話集。山の峠を舞台に、人間と動物、不思議なものたちが出会う幻想的な物語を収める。

童話自然幻想

作品情報

山の峠で、風と動物たちが小さな不思議を運んでくる。

福音館書店から復刊版も確認できる安房直子の童話集。峠をめぐる物語を通して、自然と人間の境目がゆるやかにほどける世界を描く。

レビュー要約

  • やわらかな幻想性と、自然の中で人と動物が交わる感覚が評価される。静かな語り口の中に、長く残る温かさがある作品集である。

書籍情報

出版社
福音館書店
発売日
2013-05-10
ページ数
192ページ
言語
日本語
ISBN-13
9784834028003
ISBN-10
4834028003
価格
660 JPY
カテゴリ
本/文学・評論

動物と人間の入会地である峠周辺を舞台に、その幻想的な交流を「ほんとうにほんとうに楽しく」書いたと作者が生前述懐した、新美南吉児童文学賞受賞の連作童話集。登場人物が遭遇する出来事は、短夜の夢のごとくあえかで美しく、いかにもうまそうに描写される食べものも読者の想像をふくらませてやまない。かつてサンリオから出ていた雑誌『詩とメルヘン』編集長として安房作品をいくつも掲載した、やなせたかしによる解説を附す。

安房直子 1943年東京生れ。日本女子大学国文科卒業。大学在学中より山室静氏に師事する。70年「さんしょっ子」で日本児童文学者協会新人賞、73年『風と木の歌』で小学館文学賞、82年『遠い野ばらの村』で野間児童文芸賞、85年『風のローラースケート』で新美南吉児童文学賞、91年『花豆の煮えるまで』でひろすけ童話賞をそれぞれ受賞。ほかの作品に、『まほうをかけられた舌』、『ハンカチの上の花畑』など。93年逝去。歿後も多くの読者に愛され、また新たな読者を獲得している。 小沢良吉 1928年東京生れ。日本大学藝術学部中退後、藤田嗣治に私淑しパリに留学する。64年から数年、京王百貨店や旧東京ヒルトンホテル、逓信総合博物館などの壁画を製作。69年より17年間、銀座三越で「小沢良吉豆絵展」開催、70年ごろより児童書の仕事をはじめた。作画ともにした作品に『三びきのねこのはなし』、「小沢良吉ねこシリーズ」など、挿絵を提供した主なものに、征矢清作『もっくりやまのごろったぎつね』、松谷みよ子作『うちのねこちゃん』、新美南吉作『ごんぎつね』など多数。

レビュー

  • 山の住人たちの楽しい交流

    大変良い状態の本を送って頂きました。安房直子さんが「本当に本当に楽しく」書いたと述懐したとの言葉の通り、読者である私も本当に本当に楽しく読むことができました。

  • 美味しいものがたくさん 不思議な山への招待状

    山に住む人たちと山の生き物たちとの不思議な交流を書いた短編集。 風のローラースケート 月夜のテーブルかけ 小さなつづら ふろふき大根のゆうべ 谷間の宿 花びらづくし よもぎが原の風 てんぐのくれためんこ 愉快な話、しんみりする話、美しい話、ほのぼのする話。 どの話にも共通するのは美味しいものが出てくること。 少し怖い話もありました。 「谷間の宿」は、山の不気味なお宿で一夜を明かす話。山の美しさだけではなく、自然の怖さを伝えるようでとても良かったです。お宿で出される食事が美味しそうなのも仕掛けが分かるとぞっとします。 「花びらづくし」は年に一度、桜の季節に現れる「さくら屋」にまつわる話。桜吹雪の中、たくさんの美しいもの、美味しいものを売るこのお店、開いているのは桜の精たち。そのため買い物の条件がとても厳しい。招待状がないと入れない会員制で、その招待状は山で暮らす人たちにしか届かない。買い物は百円分まで……。作中に出てくる桜のアイスクリームやゼリーがとても美味しそう。 どの話も素晴らしいけれど、一番心に残ったのは「てんぐがくれためんこ」。 きつねとのめんこ勝負や、きつねが作るおいしそうな天ぷらうどん。一度読んだら忘れられない情景に主人公の成長が重なる傑作だと思います。 ぜひ読んでみてください。冒険心が満たされること、お腹が空くこと請け合いです。

  • 心がほっとします。

    こんな風になるのかな。と思い描きながら読み進めることができました。

  • 優しい秋の香りがします

    山の茂平茶屋を舞台とした短編童話集です。 特に、中に出てくる食べ物の描写は、味噌おでん、桜のゼリー、ふろふき大根など、思わずごくりと唾をのみ込むほど美味しそうに描かれています。 イタチやタヌキなどの動物がローラースケートにのったり、洗濯をしたりと空想的に描かれてはいても、程よい距離間があり、大人でも抵抗なく受け入れられ、これまた愛嬌たっぷりです。 異常気象で秋と春が短くなった昨今ですが、暑さが和らいですうっと涼しい風が通り抜けたときのような、また寒い冬の木枯らしが治まってポカポカと温かい日差しを感じた時のような、ホッとする瞬間を教えてくれる童話です。 すでに廃刊ということですが、非常にもったいないです。

  • うすもも色とまくらの誘惑

    『花びらづくし』 桜の精のおまつりに招待された、茶屋のおかみさんが語る体験談。一人称の短いおはなしです。 安房さんの多くの作品において、異世界との間に引かれているはずの境界線は、大きくにじんでいて判然としません。グレイゾーンへの出入りの描き方のさじ加減は絶妙で、実はこの世界も、すべてにじみの濃淡のなかに含まれているのでは、と思えてきます。 おかみさんがやっとのおもいで桜林の外へでてきたとき、まだ“あの音”が聴こえていた、という描写はとても印象的です。 長居してしまったおかみさんの体験もそうですが、穏やかな日常を営む村人たちが、「さくら屋」という、もしかしたら戻れないかもしれないもも色の世界に魅入られ、ふつうに受け入れていること自体そもそも不思議であり、うっすらとした怖さを感じさせます。この作品には、ただのほのぼのとしたおとぎ話にはない、あとを引く独特の余韻があります。 桜の精たちがこしらえた魅力的な桜のアイテムが、制限つきで購入できる商品であるというなつかしい遊び心も素敵です。“さくらアイスクリーム”や“花びらゼリー”はおいしそうで、おもわず味を想像してしまいました。

  • 暖かい童話です。

    山を舞台にした短編童話の連作。 動物と人間のあったかな交流に和みます。 ごくごく自然に人と動物の世界が交わっていて、おかしな言い方ですが古きよき山、典型的ながら愛しい昔話の山だなぁと思います。ノスタルジックなほどに民話的な雰囲気。 あんまりに世界観が優しいので、ときめき高じてほろりとしてしまいました。

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