謎の独立国家ソマリランド
未承認国家ソマリランドを入口に、プントランド、南部ソマリアへと踏み込み、現地の人々の言葉から国家と秩序の実像を探るノンフィクション。危険地帯の報道イメージを、笑いと観察でほぐしていく。
作品情報
国家とは何かを、ソマリア周辺の現場から問い直す。
国際社会に承認されないまま民主的な統治を続けるソマリランドを中心に、海賊国家と呼ばれるプントランド、混乱する南部ソマリアを著者が訪ね歩く。現地取材の会話と体験から、国家、治安、氏族、国際政治を立体的に描く。
レビュー要約
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現地の複雑さを笑いを交えて読ませる筆力が高く評価されている。政治や治安の重い題材を扱いながら、人物の生き生きした描写によって読み進めやすい。
書籍情報
- 出版社
- 本の雑誌社
- 発売日
- 2013-02-19
- ページ数
- 520ページ
- 言語
- 日本語
- サイズ
- 3.5 x 13.8 x 19.5 cm
- ISBN-13
- 9784860112387
- ISBN-10
- 4860112385
- 価格
- 2740 JPY
- カテゴリ
- 本/文学・評論
第35回(2013年)講談社ノンフィクション賞受賞 第3回梅棹忠夫・山と探検文学賞受賞 BOOK OF THE YEAR2013 今年最高の本 第1位(dacapo) 本屋さん大賞ノンフィクション部門 第1位(週刊文春) 西欧民主主義敗れたり! ! 著者渾身の歴史的<刮目>大作 終わりなき内戦が続き、無数の武装勢力や海賊が跋扈する「崩壊国家」ソマリア。その中に、独自に武装解除し十数年も平和に暮らしている独立国があるという。果たしてそんな国が存在しえるのか? 事実を確かめるため、著者は誰も試みたことのない方法で世界一危険なエリアに飛び込んだ──。世界をゆるがす、衝撃のルポルタージュ、ここに登場! プロローグ 地上に実在する「ラピュタ」へ 第1章 謎の未確認国家ソマリランド 1 ラピュタへのビザはどこで取得できるのか 2 ソマリ人は傲慢で、いい加減で、約束を守らず、荒っぽい 3 市場に札束がごろごろ 4 動物だらけの遊牧都市 5 世界でいちばん暑い町 6 海賊に拉致されたドイツ人と刑務所の海賊 第2章 奇跡の平和国家の秘密 1 ソマリランド観光案内 2 天変地異には要注意 3 知られざる覚醒植物カート 4 ソマリランドはなぜ治安がいいのか 5 ワイルド・イースト 6 だいたいソマリランド最高峰登頂記 7 ソマリランドが和平に成功した本当の理由 8 独立は認められないほうがいい? 9 「地上のラピュタ」は、ライオンの群れが作る国家 第3章 大飢饉フィーバーの裏側 1 ソマリア三国志 2 北斗の拳を知らずしてラピュタは語れない 3 世話役はカートの輸出業者 4 被差別民の意見 5 ハイエナには気をつけろ 6 アル・シャバーブの影 第4章 バック・トゥ・ザ・ソマリランド 1 奇跡の政権交代 2 ソマリの超速離婚 3 血の代償 4 ワイヤッブの裏切り 第5章 謎の海賊国家プントランド 1 海賊の首都ボサソ 2 氏族の伝統が海賊を止められない理由 3 籠の中のカモネギ 4 プントランドも民主主義国家? 5 ソマリランドの「宿敵」はこう語る 6 世紀末都市ガルカイヨ 7 謎の源氏国家ガルムドゥッグ 8 史上最大の作戦 9 続・史上最大の作戦 第6章 リアル北斗の拳 戦国モガディショ 1 モガディショ京都、二十年の大乱 2 世界で最も危険な花の都 3 剛腕女子支局長ハムディ 4 旧アル・シャバーブ支配区を見に行く 5 完全民営化社会 6 現場に来て初めてわかること 7 カートとイスラム原理主義 8 アル・シャバーブを支持するマイノリティ 9 アル・シャバーブはマオイスト? 10 すべては「都」だから 第7章 ハイパー民主主義国家ソマリランドの謎 1 戦国時代のソマリランド 2 「地上のラピュタ」に帰る 3 アフリカTV屋台村 4 ソマリランド和平交渉の全てを知る長老に弟子入り 5 ソマリの掟「ヘール」の真実 6 ソマリ人化する 7 世界に誇るハイパー民主主義 8 伊達氏の異能政治家・エガル政宗の恐るべき策謀 9 地上のラピュタを越えて エピローグ 「ディアスポラ」になった私
レビュー
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面白く読みつつ世界の多様性を感じます。
無茶苦茶面白い本でした。 日本人には理解出来ない世界が有ることを知りました。
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この著者スゲェー
得体の知れない国に旅行したいと思わないし、ましてそんな国に一人で乗り込むなんて。ま、だから、めちゃくちゃ面白かったんだけど。氏族の話が最初はいまいちわかりずらかったけど、読み進めていくと理解できた。ま、この本を読んでぼくの冒険心に火がついたことは確か。この著者とカートを食べながら、いろんなことを聞いてみたいなと思った。
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平和な独立国家ソマリランドは本当に存在していた!!
事実は小説より奇なり。実際にその世界に踏み込まなければ見えなかった事実。ソマリランドという国があることすら知らなかったが、本当にあったのだ! しかもそこに暮らすソマリ人たちも、その平和の保ち方も独特。これは、外から見ているだけでは決して書けない本だ。
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現実とは思えない現実
世界観ギャップがとても興味深い内容だった。彼らがどのように世界を認識しているのか、さらに興味がわく。 人間という生き物ってなんなんだろう?とか考えてしまう。 高野さんの本はどれもトリップさせてくれる。
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臨場感にあふれているだけでなく謎解きも筋が通っていて納得感がある
ソマリランドがたいへん秩序ある国であることの理由が、当事者の方たちへのインタビューや観察によって考察されていてたいへん説得力があるし、インタビューや観察の過程にライブ感があり、読み物としてもおもしろい。ソマリランド人になりたいという熱い語りで終わっていたので、ソマリランドの現在に変化があるとしたら、その要因に対する解説を続編で読みたいと思った。
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ソマリアで氏族の世界で
何と言っても、女編集長の美貌と若さと卓越した行動力、イスラムの国でしかもアフリカのソマリアでこの様な、自立した女性がいる事に感動した。彼女は、大統領を目指すと言っている。10年後、20年後のソマリアが楽しみである。
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期待しすぎた
高野さんの本は5、6冊読みました。アヘンのが一番好きです。その次は納豆。 このソマリランドのは、ちょっと値段が高いなと思いましたがレビューが良かったので買いました。しかし、他の本に比べて正直あまり楽しめなかったです。面白い事は面白いんですが、こんなに長くなくて良かったし、歴史もそんなに掘り下げられてもあまり興味が持てなかった。なかなか危ない所で、あまり自由に動けなかったみたいですし。でもソマリの氏族を日本の氏族に例えたのは、僕的にはありでした。たぶんアレがなかったらほんとに混乱して、かなり飛ばして読んだかもしれません。僕は頭があまり良いほうじゃないので。しかしそれでも、けっこう飛ばして読んでしまいました。 あくまで私の予想ですが、高野さんは今回かなりのお金を遣い込んでしまったので、採算を取るためにネタはあまりないけど色々重複させて内容を長くし、その分本を高くしたのでは。勝手な事言って申し訳ないですが、読みながらそんな事をずっと考えていました。なんか同じ事ばっかり書いてるように感じたんですもん。 あとこれもほんとにしょうもない予想ですが、高野さんがその後もソマリランドによく行くようになったというのは、現地に親しい(好意をよせている)女性ができたんじゃないでしょうか。私は読んでいてそう感じました。違いますかね? 男ってだいたいみんなそういう思考回路ですよね。 でも本の好みは別にして、たしかにこの値段に相当する内容はありましたね。そうとう調べてこんで書かれてますし。労力もお金も相当つぎ込まれた事だと思います。本当におつかれさまでした。また他の本も読ませてもらいます。 そんな感じです。
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命賭けの突撃取材! 高野秀行の代表作となる作品に巡り合えた。
まず初めに私が過去5年間で読んだ本の中で、これがベストの作品だ、という断り書きからレビューを始めたい。 高野作品は文庫本化されたものは、あらかた読んでいた。 印象としては、気軽に読める「イロモノ」 または、はっちゃけた青春冒険譚の「キワモノ」 あるいは、タイトルからして、おバカまるだしの「バカモノ」 という雰囲気で暇つぶしに読んでいた。 だって「『ミャンマーの柳生一族』だぞ! 時代劇じゃあるまいし。 怪獣探しの旅も、最後は変なオチが必ずついて、冒険というよりも珍道中という色彩が強い。 今回もそんなノリを期待して読んだ。 けれど、違った。 これは、極めてまっとうな、かつ前人未到の驚異のルポルタージュであり、 アフリカをめぐる国際政治を学ぶ際の必読書となる良質なドキュメンタリーである。 実は本書を読む前に著者と同じ早稲田の探検部後輩にあたる角幡唯介の 北極探検記「アグルーカの行方」を読んでいた。 本書と共通するのは、ともに「命賭けの冒険」という点である。 ただし、「アグルーカの行方」も目茶面白かったが、 金持ちニッポンの馬鹿者が高いお金をかけて わざわざ北極くんだりまで行って「自分探し」をしようという行為に、 いささか平和ボケと金持ちの道楽を感じる読後感を持った。 同じ「命賭け」でも、本書の危険は質が違う。 テロの暴力と隣り合わせの危険である。 しかも、本書はその危険性を極力抑えて書いている。 これもひとえに著者のソマリアに対する愛情に起因するものだ。 イスラム過激派から著者が待ち伏せ攻撃を受けたくだりは、 ある意味、もっともクライマックスともなるシーンであるはずが、 もったいないことに、この場面は最後のほうに後日談程度の軽い扱いで済ましている。 読者に「ソアリアは危険で野蛮な国だ」という印象を排除させるための、 心憎い配慮といっていい。 従来のほかのライターによるノンフィクション作品に比べて、 おそらく高野作品に対する専門家の評価が低いのは、彼の取材手法によるところが大きい。 こうるさいジャーナリストであれば、取材者の厳格なモラルであるとか、 取材対象に対する「適切な」距離などを己に課して、 あくまで冷静客観に対象にアプローチをすることを心がけるだろう。 ところが、高野秀行はどうだ。 たとえば、ミャンマーシリーズでは、自らアヘンに手を染めて中毒になっている。 今回も「カート」と呼ばれる覚醒植物、日本でいま問題となっている 「合法ハーブ」漬けとなってこれでもか、というばかりに醜態を晒している。 でも、私はそんな彼の姿勢に共感を持つ。対象の胸ふところに自ら飛び込んでゆき、 相手と共感共苦に身を置くことで、ソマリア人の胸襟を開き、本音を引き出す。 そうして、見えなかった「何か」を掴むという突撃取材は、彼にしかできないものだ。 学者やジャーナリストはできるだけ傷つかない安全なところから、 こわごわ対象に手を伸ばし、高みに立った視点で偉そうにものを書く。 でも、高野秀行は違う。 現地人と裸の付き合いをして、信用を勝ち取る。でもって、最後はほとんど現地人と化す。 そのプロセスは涙ぐましい努力と苦労があってのものであるはずが、彼はそれを書かない。 むしろ自らを道化として描くことによって、 あくまで、読者と同じ立場か、あるいは、それ以下に自らを貶めてまで、 とにかく面白いものを書こうという姿勢を貫いている。 こうした彼のストイックな姿勢に私は激しく、胸打たれる。 500頁を越える大著であるが、それを感じさせない。 むしろ、読みながら「早く終わってほしくない」と思いつつ休み休み読んだ。 私はよい本に巡り合うと、いつも、このような読み方をする。 自分の目で直接見るまでは信じない、という高野イズムの結晶となった作品が本書だ。 この教えをこれからの人生の手引きとしてゆきたい。